久二男さんの木尽くし日記 その100



ヤマモモ、ヤマノイモ、われヤマモト
06/8/31

ヤマモモ(ヤマモモ科)漢名「薯蕷」

20bにもなる常緑高木、密な円形樹冠のため街路樹としてよく植栽されているな。雌雄異株、3〜4月葉腋に尾状花序を出す。核果は直径1〜2aで6月下旬に暗紅紫色に熟す。万葉時代に単に「モモ」とよばれた植物は、現在のヤマモモだったそうです。「楊梅」の名で、李白が詩に吟じ、清少納言が見た目は格別でもないのに、文字に書くと仰々しくなるものの例として「枕草子」に何気なく書き記した「山もも」は古くから東洋の人びとの心をとらえてきた、とのことです。甘酸っぱい果実の味、作られる酒が広く親しまれるのも解りますよね。

静岡県伊東市の浮山、赤沢の溶岩台地には生育するヤマモモmyrica rubra(ヤマモモ科)の林があり、新日本名木百選に選ばれたヤマモモの巨樹は、徳島県由岐町にあるのだと。ヤマモモが食用、染料採取用、肥料木として古くから利用されてきた。しかし、二度にわたる世界大戦中に合成染料の入手が困難となって伐採され、現在では大木があまり残っていないとも言われています。

ヤマノイモ(ヤマノイモ科)

ヤマノイモ属植物は多年生で、乾季や冬季など生育に不適当な季節には地上部は枯れて、栄養分は地下部の魂茎または坦根体とよばれるデンプン貯蔵器官に蓄えられる。また地上部の葉腋に栄養分を貯蔵した「むかご」をつける種も多い。

「山芋」「自然生」「自然薯」ともよばれ、生でナガイモやヤマノイモを食用にする日本の調理法はきわめて特異であるのだとか。ヤマノイモ類の分布は、ほぼ熱帯圏に限られるそうだが、日本列島は温帯圏にありながら、特にヤマノイモ属植物が分布している地域である。

「いもを洗うような雑踏」「いもがらで足をつく」「いもづる式に検挙」などなど、あまりいいイメージはない、「いも助」や「いも堀り坊主」となると、これはもう悪口以外のなにものでもないという人もいる。しかし、日本人にとって「いも」が日常生活の中で親しまれていることを示しているのだそうな。そのかたの言うには「いも侍」「いもねえちゃん」とよばれても、けなすだけでない、親しみや笑いをもたらす明るさが感じられると続き、「いも」は日本文化の基層を物質的に支えてきた植物といえるだろうと締めくくっています。食料難時代を、いもは本当によく食べましたが、おいしくなかったな。でもこどものころ春にサツマイモ、ジャガイモの苗を植え秋に収穫するときには嬉しかったなー。

今でも、「いも掘り坊主」「いも侍」そのままのヤマモトです。

それでは、残暑厳しい折お体ご自愛ください。





続きはネジバナ   メニューはこちら   りっちゃんちはこちら