久二男さんの木尽くし日記 その9



ブナ
03/10/27

ブナの木、漢字では「木」編に「無」と書いてブナと読ませる。和製の漢字です。

意味は、昔この木は水気が多く腐り易い、建築材として使えない、せいぜいベニヤ板、ご飯のおしゃもじ、炭焼きの材料といったものにしか利用価値が無く、「木」では無いとまで言われ、人々にはさげすまれ、ほったらかしにされた木です。しかし現在では見直され、乾燥の技術もよくなりましたので良質の家具も出来ています。所に至っては、木編に「貴」と書いてブナ。

田舎で、1960年代前半頃までよく炭焼きを行いました。炭といっても備長炭などには程遠く、当地ではカジゴ焼きといって炭の半分ぐらいしか火が持ちません。しかしあまり標高のない300メートルぐらいでも出来ましたので行われたと思います。太さ直径15aぐらいのブナの木を大量に切って焼く訳です。

ブナは60年経たないと花をつけません。80年でようやく実がなりますのでその前に切られるということは子孫が残せません。したがって萠芽更新(ボウガ)によって増やす手段をとります。切ればきるほどその株から芽を出していきます。

ブナの実はクマさんの主食。高カロリーのこの実は、もちろん他の動物も争って食べます。

4年に1度の割合で大豊作となります。しかし私がロッジに行った年、1993年に大豊作となり1年空けただけの'95年またまた大豊作になったのです。

そのころ専門の方から聞いたことは、人間による環境破壊が植物に危機感を抱かさせ、これじゃー子孫が残せないと判断して実をたくさんつけたのでは、と言うものでした。

大量につけた実、しかし半分はシイナ「粃」です。「比」の漢字には実の入っていないもの、ぺちゃんこでからっぽのもの、ぴったりくっついて中身の無いものといった意味があります。つまりお米の中身の無いもの、噛むと乳液みたいな味がするだけのものです。

さてこの「粃」の下に「政」という字を書くと「粃政」(ひせい)となって今の政治を言います。




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