09.02.28(SAT) | 崇 台 山 | 安中市 |
藤岡の庚申山総合公園も何度行ってもいい散歩コースだけれど、他にまだ行ったことのない程々の散歩コースを探したら、安中市と富岡市の境にある崇台山(そうだいさん)を見つけた。これも群馬100名山のひとつだと言う。近くに安中市学習の森という施設があり、そこの駐車場を基点に歩けるらしい。近くに加賀100万石前田家の五男利孝の菩提寺、長学寺があって、その3箇所を一回りすると標高差で50m、約1時間半くらい、探鳥コースとしてもいいところらしいので早速出かける。 |
コース:安中市学習の森駐車場10:50→学習の森を一巡り11:30→崇台山登山口11:40→崇台山山頂11:55-12:20→下高尾の県道13:10→長学寺13:50→学習の森14:30 (所要時間3時間40分) 学習の森は安中の駅の上から富岡に抜ける県道212号沿いで、近くまで行けば案内もあるが、ちょっと分りにくいかも。崇台山は前橋から富岡に抜ける県道10号の下高尾、上高尾から登る道も何本かあるらしいが、気軽で安心な駐車場がわからない。 駐車場:広い舗装駐車場が5面位あって土曜日でも2面がほぼ埋まる程度だから、崇台山ハイクに使わせてもらっても、それ程気兼ねせずに済む。トイレ勿論完備。 崇台山標高299m 学習の森からの標高差50m |
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崇台山 | 下高尾の県道からの標高差150m 距離1.2km |
安中市学習の森は、ふるさと学習館と称する立派な公民館のような箱物と、生涯学習施設と称する巨大なログハウスのような施設を中心に、バンガローが数棟あるキャンプ場と遊歩道のある公園のような施設である。 今回初めてだが藤岡の庚申山と同じで、公園の裏山の尾根歩きだろうくらいに考えて、ろくに勉強もしないできたので、ふるさと学習館の裏山へ伸びるよく整備された遊歩道を見たときには、あれを登って尾根伝いに行けば崇台山だろうと勝手に思った。 |
学習の森の散歩道 バックはふるさと学習館 |
きれいな道と立派な駐車場 正面は赤城山がバッチリのはずなんだけど。 |
その遊歩道を登ってしばらく歩いたら”結婚の森”という広場に着いた。味気ないぼん杭のようなベンチと水飲み場のある広場で、道は終わりである。その先に崇台山なんて小さな案内のある小道を期待したのに、見事に裏切られた。でも野鳥がいっぱいやってくる遊歩道はそれなりに素敵だよ。だけど”結婚の森”ってなに?。 仕方がないので戻る。生涯学習施設の上まで戻ってきたら、また尾根に向って分岐する整備された道があった。これかなと思って登って行ったら尾根近くに小さな赤い鳥居のある石の社が祀ってあった。前に狐の置物が有ったからお稲荷さんだと思う。道はそこで終わり。その先は踏み跡もない。有ったら迷い込んでいたと思うけど。 |
生涯学習施設 | 道を隔てた対面に何故か電車がある。 入口に美容と健康にダチョウ料理と書いてある。 ここが出発点で電車に向って右に、 舗装道路を右の里山を巻くように進む。 |
また生涯学習施設まで戻る。ちょうど庭を整備している人が居たので崇台山への道を聞く。「ああここからは登れないんですよ。下の道を右に行くと登山口があります。あの辺りが崇台山ですよ。」と向かいの尾根の一角を指差して教えてくれた。一旦学習の森の施設を出て、前の舗装道路を教えられたとおり歩く。中耕地の集落を抜ける。途中でまた地元の人らしい同年輩の男性にあったのでもう一度登山口のありかを聞く。「道なりに行けば向かいの山裾に案内があるよ。」と教えられた。 |
登山口の道祖神 | 中耕地の沢の棚田 ここへ出る手前にも右手に似たような沢の棚田がある。 |
上の右の写真の、右の崖沿いの農道を詰めると、尾根の上で崇台山と長学寺の分岐に出る。崇台山への直接の登山口はこの棚田を渡った左の山の手前にあって、小さな案内板と道祖神がある。 |
尾根の上の散歩道 | 崇台山山頂 |
雑木の林から孟宗竹のような大きな竹の中を登ると気分のいい尾根に出る。数分で山頂に着く。学習の森から僅か25分しか掛からなかった。丸くなだらかな山頂はサクラの木数本を残してきれいに切り開かれていて展望がいい。ただしこの日は霞んでしまって妙義山と荒船山までは何とか見えたが、遠くの山は見えなかった。 |
山頂には三方に道がある。大雑把に言うと我々は西の尾根から山頂へ来た。南にも尾根が延びてその上に道が見える。この道が長学寺への道だと思われる。尾根のすぐ下にも同じ方向に向う農道か林道のような道がある。南東にも尾根がありそこへも直接下っていける道がある。この道は尾根の先で南の尾根から来た道と三叉路でつながり、一方はさらに東に下っている。 | ||
南側の展望 |
山頂には南の尾根側に同年輩の男性の二人組みと、北側の見晴らしのいいところにフィールドスコープを三脚に乗せた、探鳥に来たご夫婦の計4人が居て食事中のようだった。我々も東側で食事。食事を終えた男性二人組みが声をかけてフィールドスコープをのぞかせて貰っていたので、私ものぞかせてもらった。凄いけどこれ担いで歩くのちょっと大変そう。 |
我々は南東の尾根を一旦下る。尾根の先から山頂を見返したかったのと、その三叉路からUターンして南側の尾根の下に伸びる林道を下れば、どこかで長学寺に分岐する道が有るだろうと、また勝手に思っていた。 | ||
南東側の展望 |
その通りに南の尾根の下の林道を下る。この辺りはかなり上まで梅林があったようだ。一旦放棄されて夏つる草などに覆われてしまったようだが、また手入れされてきれいな梅の花が咲いているところもある。道は手入が行き届いて展望もよく、なだらかで、小鳥のさえずりも聞こえて長閑な歩き易い道だ。一ヶ所右へ分岐する道はあったがその道は尾根通しに山頂へ向かっているように見え、長学寺へ下る道には見えなかったので、そのまま林道を下る。 | ||
林道(農道?)を下る。 |
下高尾の小さな神社(諏訪神社) | ホトケノザ |
そのうち風景はどんどん広くなり、畑地や田んぼが広がり、畦にはホトケノザやイヌフグリが咲き、フクジュソウが植えてあったりする。道端の畦でヨモギの新芽をつむ野良着の老夫婦がいた。二人で「今日はいい天気になったなあ。もうじき節句だからなあ」と言いながら細かいヨモギの新芽を竹のざるにためていた。小さな神社と牛小屋の廃屋を過ぎるともう下高尾の集落で、県道まで出てしまった。さて長学寺へはどう行ったものだろう。誰かに教えてもらおうと集落に戻ったが外には誰も居ない。結局さっきの老夫婦の所まで戻って道を聞いた。「ああそうかい。長学寺に行きたいんかい。こっちの道の方が歩き易いから間違える人が多いんだよ。」と言いながら、中高尾から長学寺へ行く車道へ抜ける近道を教えてくれた。小さな神社の前の細い道に入り墓石の並ぶ下を抜けてほぼ等高線に沿って回り込むと広い舗装道路に出た。おそらく昔は神社の前の小さな公園で遊ぶ子供達が走り抜けたであろう小道は、冬でも草が伸びたままだった。 |
長学寺への舗装路の周辺 | 長学寺への分岐の六地蔵 |
広い車道を歩く。人家もなく車も1台しか遇わなかった。2〜300mほどもある耕作された広い沢の対岸の土手の上に紅梅が並んで咲いている。近付いてみたいが疲れてきて寄り道する余裕がなくなっていた。何しろ沢を詰めて向かいの尾根を越えなければ学習の森には帰れないのだから。右手の沢の奥に先ほど下った尾根の白梅が見えた。沢の田んぼはきれいに手入れされているが、休耕田か耕作放棄地かススキが残されたままの所もあった。尾根の先端を回り込むと長学寺への分岐と六地蔵が見えた。 |
分岐には長学寺0.4kmの案内がある。疲れてきていたので長学寺へよらずに舗装路を進めば、そのまま尾根を越えて学習の森へ帰れそうな気がして迷っていたら、長学寺のほうから地元の人らしい男性が下ってきた。聞いてみると行けなくはないが同じことだから、長学寺を通っていった方がいいと言う。遠くの尾根の上の高圧電線の鉄塔を指して、「あそこが峠だから、見えなくなっちゃうけどあそこを目指して行ってください。」と教えてくれた。 | ||
長学寺山門と鐘楼 |
迷いは消え長学寺へ向う。やがてツバキや梅の花が咲く長学寺の前庭が見えてきた。ヒヨドリが群れて大きな声で鳴き交わしている。椿の花にくちばしを突っ込むからくちばしも鼻先も黄色になっている。 本堂の方から山歩きの格好をした男性が下りてきたのでまた道を聞いて確認する。「本堂の前を抜け道なりに登って、三叉路を右に曲がって下さい。」と教えてくれた。 |
長学寺はさすがに前田家の菩提寺らしく、庭も山門も本堂も墓所も風格を感じさせる立派なお寺である。参拝させてもらう。門前の庭を造成中で小型の建機が入っていて、ちょっと雰囲気を壊している。 | ||
長学寺本堂 |
墓所の前辺りに崇台山への案内がある。教えられたとおりしばらく道なりに登って分岐を右に曲がる。(左に曲がれば尾根を下って、先ほどの広い車道に出るのだろう。)さらに登ると峠の鉄塔の下に出た。ここにも崇台山への小さな案内はある。峠を越え沢に沿って下る。沢には峠近くまで耕作された田んぼの跡が残っている。今は放棄されたのだろう。やがて沢の田んぼは広くなり、対岸に登るとき歩いた登山口の道祖神が見えてきた。 いやあ疲れた。たった3時間あまりのなだらかな丘陵歩きなのに、完全にエネルギー切れという感じ。学習の森に帰りついたら頭がぼーとして眠くなってしまった。電車の車体を改造したダチョウ料理屋さんでシーサー君とにらめっこしながら一休み、眠気覚ましにコーヒーだけ頂いて帰ってきた。 |
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ダチョウ料理屋さんのシーサー君 |
崇台山は安中側の中耕地や富岡側の下高尾、上高尾の集落の人々にとってはただの里山で、中耕地の田んぼの畦から山頂までわずか15分、上高尾の長学寺から20分あまり、尾根近くまで田があり梅林がある。この地区の子供達にとってはよい遊び場だったに違いない。だから地元の人には庭のようなもので、きれいに手入れはするが、ここに道案内が必要などとは夢にも思わないのだろう。だから初めての人にはちょっとわかりにくい。分りにくいが地図も道案内もいらない。もともと昔の人は、初めての道はたずねながら歩いたのだ。今回5人の人々に道をたずねた。皆さんよく知っていて親切に教えてくれた。道をたずねながら歩く散(山)歩もありかな。こんな名山が日本中にたくさん残ってほしいと心から思う。それにしてもこの周辺はゴルフ場ばかりだ。いつの日かこれらのゴルフ場がまた里山として、地元の人々に返還される日が来るのだろうか。 |
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