07.07.24(TUE)-25(WED) 燕 岳 北アルプス


 梅雨が明けませんね。何年か前もこんなことがありました。天気予報を見ていたら北アルプスは24日だけ晴れそう。燕岳なら一泊で行ける。早速用意して4時起床、5時出発で飛び出した。前橋は快晴で久し振りに浅間山もすっきり見える。麓に雲海が張り付いているのが気になったが・・・ 


 コース:
 [1日目]、中房温泉登山者用駐車場8:30→中房温泉登山口8:45→第二ベンチ10:40→合戦小屋12:20→燕山荘13:30-14:40→燕岳山頂15:50→燕山荘16:50(泊) (所要時間8時間20分)
 [2日目]、燕山荘6:00→合戦小屋7:10→第二ベンチ8:35→中房温泉9:35→駐車場9:45 (所要時間3時間45分)

 中房川沿いの林道は舗装路だが、狭く曲がりくねっていて、すれ違い困難な所が何箇所もある。対向車と会いたくない場所だが、行きも帰りも3台のバスと遭った。

 駐車場:登山者用の駐車場は、登山口から500mほど下の中房川の川岸にある。無料、100台程度。中房温泉に宿泊すれば登山口の宿泊者用駐車場が使える。

 登山口:中房温泉前。トイレあり。 
燕 岳


 高速で佐久平へ抜けるとやはり曇りで山は見えない。ちょっと不安。しかし豊科のインターを下りる頃には雲が切れ、あこがれの常念岳など北アルプスが目の前にど〜んと見えて一安心。国道147から中房温泉への分岐に、もたつきはしたが無事クリア。初めてなので中房川(深い渓谷)沿いの道の狭いのに驚く。山としてはメジャーな方なので、もっと広い道かと勝手に思っていた。

 駐車場は手前に国民宿舎有明荘があるのですぐ分った。既に7〜8割は埋まっていたから土日はかなり混雑しそう。準備をして坂道の車道を中房温泉に向う。中房温泉前の登山口に着いてびっくり。バスでやってきた中学生くらいの生徒さん達であふれている。学校で行う集団登山らしい。思わず二人で顔を見合わせてしまった。確認すればよかったのに既に手遅れである。大きなトイレも満員で行列になっている。その前には我々くらいの年代の団体さんも4〜50人はいる。さて今晩の泊まりはどうなるのだろう。しかしまあ来てしまったんだから、それはそれで楽しんで登る外はない。


一般登山者用駐車場 当日の登山口の様子


 同年代の30人ほどのグループに入れてもらって、みんなの後について登り始める。出だしから急な崖のジグザク登りだが、目の届く範囲は全て人の行列になっている。バスツアーのガイドさんかと思われる若い人の話では、団体は全て予約制なので、泊まりについては心配していないとのこと。大丈夫ですよと言う。我々は燕山荘のホームページで予約不要と確認していたので予約はしていない。そのうち前を歩いていた5〜60人の中学生が、先生の指導で我々を前に出してくれた。元気な「こんちは」攻撃を受けながら前に出る。第一ベンチに着くと団体さんはザックを降ろして休憩したので、我々は立ったまま水だけ補給して歩き出す。しばらくは数珠繋ぎの行列からは開放された。

 第二ベンチ、第三ベンチ、富士見ベンチ共、休憩する人が沢山いて、時間記録のカメラも向けられないほどである。第二ベンチを過ぎる頃からは既に下山してくる登山者や、昨日登った集団登山の生徒の行列とすれ違う。狭くはないが特に広い道ではないし、崖自体はかなり急だから、お互いに気を遣って待ったり待たれたりを繰り返す。集団登山の生徒達も事前によく教育されているらしくマナーはいい。引率の先生達もトランシーバーで前後の連絡を取りながら、渋滞しないように上手く流してゆく。お陰さまで混んでいる割には余りストレスを感じずに登れた。とは言え道端にギンリョウソウの奇麗なのが何本か顔を出していても、何時ものようにしゃがみこんで写真を撮っている暇はないし、状況でもなかった。


合戦小屋 槍の穂先が見えた。


 富士見ベンチからは、名前通り南アルプスの左に富士山が見えた。合戦小屋と燕山荘へのヘリの荷揚げが始まっていて、凄い騒音が繰り返し続く。合戦小屋も大変な数の人が休んでいたが、学校登山の関係者か若い人達も多かった。合戦小屋付近からは槍の穂先が見え始め、いやが上にも期待が高まる。


ヘリの荷揚げ、凄い騒音
バックの南アルプスと八ヶ岳の間に富士山も見えているんですが・・・
やっと燕山荘が見えた


 合戦尾根コースは合戦小屋を越え、合戦沢の頭に抜けるまでほどんど急斜面の木々の中で、展望はよくない。合戦尾根に抜けるとやっと燕山荘が見え、燕岳、北燕岳が見え、立山、剣、白馬など北側の展望が広がる。大天井岳へ続く尾根の上に槍から南岳までの稜線が見えるようになる。


 下から生徒達の賑やかな声が聞こえてくる。追いつかれる前に山荘に着きたいと頑張ったが、結局山荘の下で3〜40人の生徒に追いつかれてしまった。朝の中学生とは服装も違い、体格もよく大人びていたから、高校生かもしれない。
槍ヶ岳もすっきり見えてきて期待が膨む


 燕山荘の前のテラスは大変な賑わい。何はさておき受付を済ます。案内されたのは旧館の二階の4畳半ほどの部屋で、布団が4枚敷かれていて8人入るとのこと。やれやれ、狭苦しいが贅沢はいえない状況である。とりあえずホッとする。普段は個室として使用される部屋らしく、壁は新しい杉板で張ってあり、小さな版画が掛けてあったりして、最近の個室需要に対応したものだろう。2段式の蚕棚ではないので頭の上はスッキリしている。団体さんは蚕棚の方らしいが、そちらは布団二枚に枕三つ位だったから、バランスはちゃんと取れている。


 食事は6時45分からとのことだからまだ5時間近くある。外は快晴、燕岳山頂まで往復1時間位らしいから、そのつもりで外に出る。山荘に着くまで人ばかりで、落ち着いて昼食を取る気にもならず、ひたすら登ってきたので、流石に空腹である。テラスのベンチで冷えた(余り冷えてなかった)生ビールで乾杯。コンビニのおにぎりを二つも食べた。
燕山荘からの大展望の一部
奥穂高岳から槍、笠ヶ岳までの展望


 山荘を一回りして展望を楽しみ、燕岳山頂との鞍部へ下るまでは良かったが、登り始めると疲労と酔いがまわってろくに登れない。お腹はパンパンで、その上幾ら水を飲んでも口が渇いてしょうがない。生ビールは燕岳山頂から帰ってからにすべきだった。ほろ酔い加減でふらふら登る。


ご機嫌の奥様
後ろは燕岳山頂
簡単に行けそうなんだけど・・・
燕岳山頂へ向う途中のコマクサ


 山荘にザックを置いて次々登ってくる中学生の行列に道を譲るのを口実に、少し広いところでは必ず岩に腰掛けて休憩しながら登る。何しろ時間はたっぷりだし、この大展望だから急ぐ必要など全然ない。それにしても中学生達の元気のいいこと、わいわい登り走り下りてくる。彼らのしなやかな体が羨ましい。


クモマスミレ 燕岳山頂との鞍部から燕山荘


 この稜線の花は何と言ってもコマクサが見事だが、ミヤマキンバイやクモマスミレ、ハクサンイチゲなども咲いている。夕食後の燕山荘オーナー赤沼健至さんの山の話によると、踏まないだけでコマクサは現在のように復元したと言う。人が増殖して植えた草津白根のコマクサとは違い、淡いピンク一色で儚げに見える。やはり白いコマクサが一株あって、写真を撮る人が周りを踏むので増えないということである。


あと少し。
もうバテバテだから辛い。
中学生達の元気なこと。
山頂からの展望
お隣の大天井岳(槍ヶ岳は何枚も紹介したので略)
右遠景は前穂高岳


 結局一時間以上かけて山頂到着、山頂では中学校の先生が生徒を10人ほどのグループに分けて、次々と記念写真の撮影をやっている。合間を見計らって声を掛けて、生徒達の足元の山頂の標石だけ撮らせてもらって北燕岳側に下る。疲れてボケていたのと、人が多すぎてカメラを向けることも出来ず、燕山荘の正面テラスも山頂の様子も写真に撮り損ねたが、少し時間を取ってアングルを工夫して撮っておけば、それなりに面白かったのにと、今思えば残念である。


三俣蓮華岳・鷲羽岳など北アルプス中部の山々 山頂の標石、隣に三角点がある。
ただそれだけ


 一足伸ばせば北燕岳で時間もあったが、もう限界で燕岳山頂を巻いて戻った。こんなに沢山人がいては、流石の雷鳥も今日はハイマツの影に隠れているだろうと思っていたら、後で北燕岳まで歩いた人の話を聞くと雷鳥親子に会えたという。我々は雷鳥には付いてない。


北燕岳
バックは立山と剣岳
岩のオブジェ


 夕食:サラダを含めて5品ほどのおかずとスイーツまで付いたが、すべて手作りという感じの、身体に優しそうな美味しい夕食だった。

 山の話とアルプホルンの演奏:オーナー赤沼健至さんの燕岳自慢と小屋の歴史、熊やコマクサなど自然保護の話など、映像を交えて楽しく聞かせてくれる。アルプホルンの実演も始めて聴けて面白かった。星が奇麗だというのでその後外に出て見たら、北斗七星と北極星が正面で久し振りに天の川を見たが、それより松本から安曇野の町の明かりが、信じられないほど近く奇麗に見えた。

 喫茶ルーム・トイレなど:築70年と言う本館はピカピカに磨きこまれて趣がある。特にこんな気分のいい喫茶ルームって他の山小屋にあるのかなあ。トイレはバイオトイレ?だが、和式で床に段差があるのでちょっと狭い感じ(まあ本館の中に匂いもないトイレがあるだけで有り難いことだが、よくなればなったできりが無いね、ごめん)。

 同宿の人たち:全てほぼ同年代のご夫婦で、一組は常念岳まで縦走するという。朝3時過ぎに私が目覚めた時には既に部屋にはいなかった。もう一組は同じ群馬のカメラマンで、特大のカメラザックに何時も20kgは背負っているという。奥さんも付き合っていると暇なので自分も始めたという夫婦カメラマン。朝焼けを撮る為に4時前に出発。もう一組は長野の妙高の近くから来た少し若いご夫婦で、朝は稜線を少し歩いてから下ると言って、我々と同様ゆっくりしていた。

 睡眠:流石に疲れて9時消灯で10時ごろから3時まで熟睡できたようである。下が調理室らしく食器や調理器具の触れ合う音が、私が寝付くまで聞こえていた。それにしてもこの狭い山の上で、今日はおそらく400人は下らない人たちの食事の世話など、よくやるものだと本当に感心した。下は戦場だったんだろうね。



24日の夕焼け 25日の朝焼け


 24日の落日は6時45分の食事を済ませたら、すでに終わっていた。25日の日の出は4時45分だと言うので、4時からの最初の朝食組みに入れてもらって、外に出て待っていた。残念ながら雲があって、太陽を直接見ることは出来なかった。


天使の梯子 25日の朝の下山の時の燕岳


 槍・穂高も稜線から上は厚い雲のなかである。私達は下るだけなので急ぐ必要はなく、喫茶ルームでゆっくり寛いでから、のんびり下った。途中雨が降り出したので上だけは合羽を着てザックカバーを付けたが、麓に着く頃にはその雨もやんでいた。この日も登ってくる集合登山の中学生達がいたが、昨日登った子供達に較べるとちょっとかわいそうな気がした。


シナノキンバイ 八重のミヤマキンポウゲ?


 温泉:国民宿舎有明荘、一番風呂に入浴させてもらう。内風呂は深めで大きなヒノキ風呂。広い露天風呂も楽しめる。朝早いのに(10時頃)フロントの対応も好意的で親切だった。頭を洗いひげをそり、着替えてさっぱりして帰ってきた。




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