04.04.15(TUH) 三ツ岩岳 西上州

 昨年はアカヤシオを見に行かなかったので今年は見に行くことにする。昨年のトラベエさんのHPにアカヤシオの綺麗な写真が載っていたので、これを参考に妻と共に西上州の三ツ岩岳に向かう。昨年のトラベエさんが29日で大正解だったのに15日ではいかにも早い。しかし待ちきれないというところもあるが、今年は花が早いと言うし、外すなら前に外したほうがちっとはましな発信が出来るというものである。三ツ岩岳は初めての山なので久し振りにマップピンを一本増やすことが出来る。

コース:登山口(竜王の里宮口)10:00→最初の稜線(コル)10:40→二度目の稜線11:00→竜王大権現コースとの合流点11:40→山頂11:50-12:35→竜王大権現13:05→登山口13:40  (所要時間3時間40分) 分かりやすい道標完備で道に迷うことは無い。

道路:下仁田から県道に入って南牧川に沿って南牧村役場を目指す。磐戸の三叉路を右折し村役場手前の雨沢の三叉路を左折すれば登山口のある大仁田ダムまでは一本道である。林道というより山村の幹線道路でダム工事があっただけに不安なところは無い。

登山口:駐車場:2001年に完成した真新しい大仁田ダムの堤体の真下、立派な里宮橋のたもとに竜王の里宮という社があり、そこが登山口である。駐車場は登山口前に2〜3台、数10m手前に楽に10台は止められる舗装駐車場がある。トイレも最新の設備のものがある。
大仁田ダムの堤体の上から見た三ツ岩岳

 登山口には竜王の里宮と呼ばれる社があり、周辺の高い崖のところどころにピンクのアカヤシオが見え、やあ咲いてる咲いてると気分が明るくなる。
 村外れに竜王の里宮があり、山頂近くの岩壁の下に竜王大権現が祭ってあるところを見れば、この三ツ岩岳には昔から竜(水の神)が住み、大仁田や奥ノ萱の集落の民と共に暮らしていたのだろう。里宮には竜王の子分の大天狗と烏天狗の顔に似た石が納められており、雨が降らないと民が集ってこの石にひどいことをして、竜王を怒らせ、雨が降るように仕向けたという。
 登山道に入ってすぐ道端にぺったんと黄色い一見らしきものがあり、綺麗なトイレが目の前にあるのに、こんなところで大雉を撃つ奴が居るのかとあきれて目をそらしかけたとき、それが大きなガマ蛙であることが分かった。珍客来訪とデジカメを目の前まで近付けたがピクリとも動く気配は無い。私は昔から蛇も蛙も、ガマだって別に嫌いではない。しかしこの黄色い大ガマの写真はあまりに生々しく、見ていて気分が悪くなる人が居るのではないかと思われるので、ここでは紹介しないことにする。
 すぐ竜王大権現コースが右に分かれるが、このコースは帰りに利用する事にして直進する。杉の植林された森のコースはかなり急で沢を源流まで詰める。コースにはエイザンスミレが咲き、シロバナエンレイソウが可愛いつぼみを葉の上に載せていた。

二番目の尾根のアカヤシオ 同尾根から見た山頂ピークのアカヤシオ

 最初の尾根に出るとあちこちにアカヤシオやミツバツツジのピンクが見える。ここでは時期的に同じになるものもあるらしい。まだ遠いし木の間越しなので写真を撮っても無駄だと思うが取りあえず撮る。一休みである。
 絶壁の間の崖を登って二番目の尾根に出る。ここからは小さなピークを二つ三つ越える。アカヤシオも増え期待が高まる。アカヤシオに彩られた身の危険を感じるような急な崖を登る。ロープが張ってあるが思わず”ゆっくり、三点確保だよ”と声をかける。ここばかりはストックが邪魔だ。この崖を登りきると三番目の尾根に出る。ここが主稜線で竜王大権現コースとの合流点である。

主稜線のアカヤシオ 山頂ピークのアカヤシオ

 主稜線に出ると一気に身近にアカヤシオが増える。2人ともニコニコでアカヤシオの下を山頂に向かう。花付きは良く咲き切った木もあるがほとんどは5分咲き程度でつぼみがまだ一杯ある。一つ前のピークから見た山頂ピークはピンク色に染まっているが、もしアカヤシオが全部開いたらどんな色になるのだろうと思わずうなってしまう。

山頂 山頂の展望

 山頂はアカヤシオに囲まれ、展望も良くその上誰も居ない。最近は花の山ともなればウイークディだって満員である。風も無く春の陽光にあふれた西上州らしい静かな山頂を独占できるなんていうのは、天佑以外の何ものでもない。赤城大明神の霊験はあらたかなのである。マ、ちっとは冷徹な読みの正しさもあるかな?で、誰はばかることなく勝手なことをいい、展望を楽しみ、花を訪れるマルハナバチやアゲハとたわむれ、食べかつ飲んで(紅茶だよ)アカヤシオを楽しんだ。この山は小鳥も多く山頂までヒガラがやってきて鳴き交わし小枝にぶる下がっては餌を探していた。

竜王大権現:垂直の岩壁の下に古い祠がある。
三ツ岩岳は小さな険しい岩峰の集まりである。

 十分のんびりして山頂を後にする。下りは分岐点を直進して竜王大権現を目指す。小さなピークを越えたり巻いたりしながら、要所に立てられた道標に従い尾根を下る。やがて槍のような岩峰(きっと竜の角だ)を持つピークの手前を右に下ると、すぐ下の大岩壁の陰に竜王大権現が祭られている。ここからは30°程度の勾配だが、立って見ると滑り出さないのが不思議なくらい急な斜面に見える立派な杉の林を下る。勾配は一度も緩むことの無い一気下りである。しかし道はそれほど痛んでいないから歩きやすく、思うより短時間で合流点に達し登山口に着いてしまう。登山口にはもう一台車が駐車していたが山では誰にも会うことは無かった。

 帰りに大仁田ダムの堤体の上に車で上がってみた。正面に歩いてきた三ツ岩岳が見える。竜王大権現が祭られた岩峰を頭としてその後ろに重なる峰々が、臥した竜の背中に見えなくも無い。しかしこんな立派なダムが完成してしまっては、もはや村落の人々は水に困ることは無いだろう。竜王様もあがったりである。子分の大天狗や烏天狗がひどい目に合わされることも無く、暇をもてあましていることだろう。あるいはこの大仁田ダム湖の緑の水底に深々と沈み、一時の午睡をむさぼっているのかも知れない。大仁田川沿いの集落は桜も桃もレンギョウも、ユキヤナギやシバザクラまで一時に咲き競い、春真っ盛りである。
竜王の里宮の登山口:駐車場と左側トイレ



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