04.04.01(THU) 角田山 新潟

 妻が角田山のミスミソウを見に行きたいななどと言っている。ミスミソウ見るために往復400kmもドライブするの?と二の足を踏んでいる所へ、Hさんから国上山に行ってユキワリソウ(オオミスミソウ)を見て来ましたと素敵な写真添付のメールを頂いた。以後妻が僕を見る目がちょっと変。それでもきり絵の目処が立っていないし、今週は天気悪いし来週じゃ遅いから来年にしょうなんて言ってたら、4月1日は晴れるって言うんです。天が彼女の味方ではミスミソウ見に行かない訳には行かないでしょう。朝5時に目覚ましセットして出かけることにしました。


コース:桜尾根入口9:00→角田山山頂11:00-11:30→五ヶ峠:灯台コース分岐点11:40→角田岬灯台13:20→桜尾根入口13:40  (所要時間4時間40分)

桜尾根入口は角田岬バス停前の山側の駐車場にある。入口の案内は無いが道は山頂まで明瞭で迷う心配は無い。

駐車場は15〜16台程度。ここに止められなくても道路の海側には何百台も止められる駐車場があるから心配ない。トイレは海側の駐車場にある。
角田山:灯台コース、左の尾根が桜尾根

 Hさんからは角田山のユキワリソウ(オオミスミソウ)なら桜尾根から登って灯台コースを下るのが好いとアドバイスを頂く。山渓の分県登山ガイドには桜尾根は出ていない。インターネットで角田山桜尾根を検索したら、山トンボさんのレポートが出てきておおよその見当は付いた。
 6時、前橋出発。国道460号で五ヶ峠の下を通り日本海へ抜け、角田山が海に落ち込むすごい絶壁を右に見ながら角田岬へ。角田岬のトンネルを抜けて角田浜の海水浴場へ出るとすぐバス停があり、その山側の駐車場が桜尾根入口である。


 9時に登り始める。10分も登るとあちこちにミスミソウが現れる。ところが花は沢山あるのに開いていないのである。カタクリも現れるがこれも開いていない。”どうして?”と詳しそうなヒゲのおっちゃんに聞いたら、開花温度があるようである。陽が当たらないと駄目らしい。陽が当たっても開くまでにかなり時間が掛かると言う。桜尾根は西向きの斜面だから陽が当たるのは最後である。しかも今日は前夜から冷え込んでいる。早起きして飛んできたけど、桜尾根は何時ものようにゆっくり出てきてちょうどいいようだ。
 それでもたまたま陽当たりの良いところや、時間の経過とともに開いている花が増え、カメラを向けることが出来た。(とはいえ程よい距離でこちらに向かって微笑んでくれる花は少なく、立ち入り禁止のロープが恨めしい。)
角田山のオオミスミソウ


白い花が多いが紫もある。
この赤い花は帰りに五ヶ峠によって植栽地で撮ったものである。栽培種かもしれない。

 このような小さな花のアップの撮影はコンパクトデジカメの最も苦手な領域である。クローズアップモードで撮ってもほとんどは地面にピントが行ってる。その上この花は細い茎に支えれれていてよく揺れるからブレる。もともとオオミスミソウは暑さに弱く、おっちゃんによれば風通しの良いところでないと夏が越せないそうである。今日は内陸では快晴無風である。にもかかわらず角田山のミスミソウに風が吹きつけるのは、温められた内陸で上昇気流が起こりそこへ向かって海風が吹き込んでいるためである。従って桜尾根のミスミソウを撮るための条件は、海風と陸風の勢力がバランスするやはり午後のわずかな時間しかないことになる。
 とか何とか御託を並べても結局は好い写真が取れなかったことに対する妻への言い訳である。一眼レフにマクロレンズをつけて何十年も歩いたが、結局たいした写真は取れなかった。腕あるいは能力の問題である。僕に出来ることはデジカメの利点を生かして撮りまくるだけである。下手な鉄砲も数撃ちゃ何とかである。そのために赤城大明神はじめ諸々の神様にお賽銭を上げて幸運を祈るのである。


 例によって沢山の人に抜かれたが11時には山頂に付いた。昼食には早いが朝も早かったので陽当たりの良いところで昼食にする。かなりの人出だが花の時期としては程々であろうか。様々な人達を眺めながら勝手なことを思う。一昨年来た時は暖かくカタクリにギフチョウが舞っていたりしたが今日は寒く蝶が飛ぶ雰囲気ではなかった。
 灯台コースには来た道を戻るが桜尾根への分岐を過ぎ、小さな小屋を過ぎてすぐ五ヶ峠への道を右に分岐する。道標があって分かりやすい。
灯台コースのカタクリ

 分岐付近はギフチョウがいるだけあって食草のウスバサイシン?が多い。葉っぱの下の落ち葉が動かされて花を探した跡がある。ミスミソウやカタクリと違ってきれいとか可憐とは縁の遠い花だが、”花好きはもう!”と言う感じである。角田山はカタクリも多い。埋め尽くされているといった所もあるが同じようなところで全然無いところもある。何処でもいい訳ではなく陽当たりか風通しかカタクリも結構うるさいのである。角田山の垂直分布で言うと半分より下がミスミソウ、上がカタクリで、中間は混ざり合っていてそこにキクザキイチゲもあると言うような感じである。流石に午後は花も満開の笑顔を振りまいてくれる。しかしミスミソウに関しては急な崖に咲いているものが多く、登山道を外さずにどアップの花の笑顔を撮るのは難しいだろう。大きな三脚に望遠レンズでも持っていけば雰囲気のある写真が撮れるかもしれない。




キクザキイチゲの白と青
(灯台コース)

 灯台コースは花も楽しめるが、日本海に向かって突き出した角田岬灯台めざしての下りが変化があって楽しい。海が見えるようになると登山道は砂岩の中に火山礫を押し固めたような黒っぽいごつごつの岩の急な道になり、周囲の木々は冬の強風に耐えた丈の低い独特の枝振りの潅木に変わる。水平線には佐渡が大きな島影を落としている。疲れを忘れる爽快なコースである。


佐渡島と日本海を見ながら快適に下る。 絵に描いたような角田岬灯台


 灯台コースは文字通り灯台で終わる。手前を左に下ればトンネルの入口に下れるが、灯台まで行って右手を更に岬の先端に向かって下ることが出来る。先端を回り込むように下って角田浜のほうに戻り、波に濡れた砂浜に飛び降りれば、文字どうり標高0mから角田山山頂の標高482mまで丸々味わったことになる。こんな山も珍しい。右の写真は桜尾根入口から灯台を見たもので浜に下ってしまえば駐車場まで10分とかからない。
 まだ2時前なので帰りは旧道を車で登って五ヶ峠へよってみることにした。五ヶ峠の駐車場は4〜50台止まれるだろうか、満車だったらしく駐車場の前後2〜300mはあふれた車が狭い路肩に停まっている。大変な人気コースであることが分かる。2時過ぎには下ってくる人も居るので運良く空いた駐車場に入れることが出来た。駐車場のすぐ上がミスミソウ植栽地である。ここは赤や濃い青、八重のミスミソウが植えてあってそれなりに綺麗で簡単に楽しむことができる。

 
桜尾根入口から角田岬灯台

 後は高速を坦々と帰る。朝は見えなかった朝日や飯豊、八海山・越後駒・中ノ岳等の巨大な白い山塊の展望を楽しんだ。家に帰り洗車が終わってもまだ明るさが残っていた。日が長くなった。







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