03.08.29(FRI) 黒檜 赤城
 とうとう梅雨が明けたという感じなしに8月も終わりですね。今年は何故かタイミングが悪く山へいけませんが、24日はせっかく晴れたのに何と車が故障、もはやこれはご先祖様の思し召し以外考えられません。親の死んだ年くらい落ち着いて喪に服せということなのでしょう。と納得したのですが29日の朝は青空です。修理した車も戻ってきたので”まあ試運転を兼ねて”赤城へ行ってきました。赤城ではもう秋が始まっていました。

コース:大同駐車場10:00→駒ケ岳登山口10:10→尾根11:00→駒ケ岳山頂11:15→黒檜大神のピーク12:20-12:45(昼食)→黒檜山頂12:50→黒檜山登山口14:15→大同駐車場14:35 (所要時間4時間35分)

 久しぶりに駒ケ岳側から登ったら、駒ケ岳側から始まった登山道の改修工事は、駒ケ岳を越えて黒檜山頂(黒檜大神のピーク)まで完了していました。安全に登りやすくなったと思いますが、階段登りは嫌だという人には嫌われるかもしれません。

 大同の広い駐車場はガラガラでした。
大弛みの上の小さなピークから黒檜山:もう紅葉が始まっています
 駐車場の前の大同の国民宿舎(赤城緑風荘)が解体工事中でした。赤字で廃止とは聞いていましたが壊されていくのを見るのは痛々しい限りです。私自身は一度も利用したことは無く何時建てられたか記憶にありませんが、少なくとも30年近い歴史のある施設です。平成13年度の利用者は14,600人(単純計算で1日40人:これでも赤で潰れちゃうのかね!信じられないな)で前年度比20%減だそうですから、それなりに遠くから赤城に遊びにこられた多くの方達に利用された、リーズナブルな施設だったはずで、ちょっと残念ですね。壊された自然が元に戻るならそれはそれなりに良いことだと思いますが、跡地がどうなるのか私は知りません。

 歩き始めてすぐ、もう下ってくる男性に出会いました。いつもの事ながら心掛けの違いを思い知らされます。色付き始めたオオカメノキの赤い実や、アキノキリンソウ、ハンゴウソウなど少ない花を数えながら整備された道を登ると、尾根道に出る手前で「階段ばかりでつらい、つらい」と言いながら降りてくる男性と出会いました。黒檜の山頂まで登り行程の半分位は、木製のしっかりした階段を登っているイメージです(実際はそれほどじゃないと思いますが)。尾根に出る頃になると、だらけ切った体がどうにか山歩きモードを思い出したらしく、少し楽になりました。
解体される国民宿舎(赤城緑風荘)


 駒ケ岳の山頂には千葉から来たご夫婦が食事中でした。赤城は初めてで黒檜は登りも下りともかなり険しいと聞いて、ひざがあまり強くないと言う奥さんを心配して黒檜まで登るのを少し躊躇しているようでした。山支度もしっかりしているし谷川岳も三回登ったと言われるので、確かに大変だけど天気はいいしまだ時間は充分あるしゆっくり行けば大丈夫だと思いますよ、と奨めましたが後でちょっと後悔しました。

 大弛みからのきつい登りは、以前は登山道の崩壊が進んで足場の悪い所がありましたが、改修のお陰で足場はしっかりし、道幅も確保されているので歩きよくなりました。が、きつい事に変わりはありません。ここには色付いたグミの実がたくさんあって、心が和みます。熟した実をひとつ口に入れてみましょうか。私達の年代では幼い日がよみがえって来るはずです。
グミの実

 赤城大神の祠と赤鳥居のあるピークには誰も居ず、赤トンボが群れていました。大沼の上から飛来したイヌワシ?が、上昇気流に乗って羽ばたきもせず、みるみる鳥居峠のはるか上空に消えてゆくのを見ながら食事にしました。

 駒ケ岳山頂であったご夫婦も元気に到着しました。奥さんが登山道に出てきた大きなガマを見つけました。そう言えば赤城山でガマを見たのは初めてかもしれません。彼も大沼で生まれ黒檜山を登ってきたのでしょうか。ご夫婦に黒檜山の山頂への道を教えてあげました。
オオカメノキの実

 山頂ではお孫さんを連れたご夫婦と会いました。7歳の男の子です。子供は強いですね。前橋の保育園で子供達を榛名や赤城に登らせているところがあるそうです。みんな頑張って登るそうです。

 山頂を下り始めると、勾配が急になり始めたあたりで例のご夫婦に追いつきました。奥さんの足がつってしまったそうです。旦那さんが一所懸命面倒を見ています。しばらく休んでひざにサポータなどして下るそうです。ゆっくり下ってくださいと声をかけてお先に失礼しましたが、足場の悪い急な下りがしばらく続きます。ちょっと心配になりました。駒ケ岳の山頂では”迷っているならおやめなさい”と言ったほうが良かったのでしょうか。弱さには自信があって、我々の行ける所なら誰でも行けると思っているので、つい余計なことを言って苦しい思いをさせたかもしれません。
 我々も二人ともひざが弱く、痛み出してつらい下山を強いられたことを一度ならず経験しています。(下りてしまえば懲りもせずまた行くんだけど)それ以来ストックとサポーターとテーピング用テープは標準装備です。どうかご無事で、よい山行を。

 国民宿舎の解体工事のほかにもうひとつの工事が始まっていました。山を下って湖岸道路を大同の駐車場へ向かって歩いていると、丁度赤城神社の裏あたりの道路より山側の枯れ沢に、何台もの建機が入っています。
 黒檜山から駒ケ岳に囲まれたU字型の谷の、絶壁のように急な崖が風雨で浸食されると、その土砂はすべてこの沢に集まってきます。本来その土砂は大沼に流れ込み埋めてゆくはずですが、大沼や湖岸道路や赤城神社を今のまま保とうとすれば、堆積するその土砂を人為的に運び出すか、いずれ溢れ出すにしろ頑丈な砂防ダムを築いてそこへ溜め込むか、どちらかを選ぶしかありません。
ハンゴウソウ


 どんな工事が始まったのか知りません。無粋な砂防ダムなど目にしたくありませんが、しばらくはこの工事と付き合うほかは無いでしょう。 
 近年猫岩の上から覗くと従来緑に覆われていた枯れ沢が、湖岸道路の近くでは堆積した白い砂が見えるようになり、環境の変化は素人目にも見えていました。一度人が手を入れた環境を守ろうとすれば、自然との終わりなき戦いが始まると言うことですね。

 藪の中に珍しくツルニンジンの花を見つけました。昔森林公園から荒山高原の登山道の脇に、毎年何株か花をつけていましたが、何時の頃か絶えてしまいました。そう言えば毎年会いに行ったフシグロセンノウも、鍋割山にあんなにあふれていたオオバギボウシもオミナエシも、マツムシソウもワレモコウもほんとに寂しくなりました。
ツルニンジンの花



 キツリフネは今を盛りに咲いています。一頃赤い花のツリフネソウに比べてキツリフネが少ないように思っていましたが、どうして赤城道路の周辺に雑草に負けずに頑張っています。新坂峠から大沼に下るカーブのあたりにはオタカラコウも咲いていてカメラマンが狙っていました。そう言えば黒檜の猫岩の下あたりにマルバダケブキが一株だけ咲いていて、周囲には何株か花の無い株もありましたので、何年か後には数が増えるかもしれません。
キツリフネ




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