学習活動を円滑に進めていくためには、行っている学習活動を評価し制御して行く学習方略(メタ認知的側面)と、読む、書く、聞く、話す、計算する、推論するといった直接的な技術が協調して機能しなくてはなりません。
学習方略(メタ認知的側面)とは、「認知の認知、メタ認知と呼ばれ現在進行中の自己の認知活動(知覚する、記憶する、理解する、問題を解くなど)の活動を評価し制御する」といったスポーツ競技における監督やコーチのような役割をする精神的作業ということができます。
メタというのは「より高次の」という意味で、メタ認知の考え方は、自己教育力に関連し、学習活動を考える際に重要な要因とされています。メタ認知は次のような学習活動を行う場面で重要な役割を果たすと考えられます。
(1)Planning and Evaluating
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師試験の合格に必要なレベルを把握し、それに必要な学習計画を立てる。その日に終わらせるべき学習、試験準備のための学習計画など。
(2) Task Analysis
- 各科目で学習すべき内容を分析し、どのような場面にどのような学習技術や学習ツールを用いるかの計画を立てる。
教科書はCDで読む。ノートは点字ワープロで作成する。 どうしても漢字が知りたいときは教官又はクラスメイトに聞く。それでもよくわからないときは、拡大読書機を使うなど。
(3) Monitoring
- 学習者は自分の学習過程が順調に進行しているかを見守る。
問題が生じたらその都度解決して行かなければならない。
(4) Transfer of Learning
- 理療の学習を進めていくために過去に経験した学習技術や知識の応用できる部分を活用する。
メタ認知は学習意欲にも関係しています。学習意欲が低い入所者は、メタ認知の一つである自己の能力の評価が低い可能性があると考えることができます。自分の能力の評価が低いと少し努力すれば出来る問題でも挑戦せずに諦めてしまう傾向が見られます。逆に、自分の能力の評価が高いと自分にとって少々難しい問題でも努力すれば解決できると考えて挑戦しているように見受けられます。学習成果がなかなか上がらない入所者は、何が分からないかが分からないのです。自分の問題が明確になれば解決の可能性を探すことができるわけですから、自分の問題を見つける方法や技術を備えている必要があります。この入所者の問題点を自ら意識化し解決策を見つけていただくために実施しているのが質問紙を用いたスタディスキルカウンセリングです。
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