現金輸送荷物車<マニ30>の詳細をしかと見た!!
小樽の交通記念館に展示・公開されているマニ30の内部の詳細を見てきました。以下に画像
を交えて、マニアックな視点で紹介したいと思います。
マニ30全景内部の構造を簡単に示すと以下のようになります。
図.マニ30の内部構造
見学は第2荷物室から居住室,第1荷物室にぬける順路でした。まず外観で確認したのは、
撤去されたと掲示板に書込まれていたアンテナの状態です。下の画像のように台座を残して綺麗
に無くなっていました。その他アンテナも同様にありませんでした。
逆L型アンテナが撤去された台座
<第2荷物室>
次に第2荷物室の内部を見てみましょう。ここにはマニ30に関する資料が展示されていまし
た。
居住室方向を望む(ドアの上に監視カメラ) 床には現金を置く位置が書かれています
監視カメラ(松下通信工業製)天井の蛍光灯の周りには金網が張られ、居住室につながる扉の上には監視用のカメラが睨みを
きかせています。第2荷物室の向こう側には車掌室がありますが、当然のように通路などはあり
ません。
<居住室>
次に居住室の内部を見てみます。内部はかなり複雑です。マニ車には日本銀行職員,警備の警
察官など4〜5人が乗り込んでいたとのことです。
第2荷物室ドア付近から居住室座席を望む 第2荷物室側の壁に監視カメラのモニタ群
居住室にある乗務員用の扉の上にはチェーンロックと共に「
現送中は施錠し、到着後解錠すること
」の掲示がある
同じ扉の下には鍵が2つあり計3つの鍵 乗務員用扉を外から見たところ
居住室の扉には複数個の鍵があり、セキュリティには万全を期していたようです。
本来無線機類が設置されていた場所 切断された同軸ケーブル
本来ならば無線機類が設置されていた場所は、ラックと共に全て撤去されていました。壁に
残されていた穴の中には、太さの異なる同軸ケーブルが7本程度確認できました。
居住室の特殊な窓ガラス(結構な厚さがあります)
居住室の窓ガラスは噂のとおり防弾ガラスで、厚さが18mmあるそうです。叩いてみると
ゴンゴンという重い音がしました。
居住室第1荷物室寄りには寝台用のベットが設置されています。2段式のベットがセット出来
るようになっており、都合6人に対応できるようです。座席に座ってみましたが、結構座りごこ
ちは良かったです。
第1荷物室方向を望む プルマン式2段寝台と同じ構造のベット
その他居住室内の珍しい装備を見てみましょう。
室内に設置されていた灰皿(JNR仕様) 扇風機には何故かJR東日本の表示が
台所の様子 冷蔵庫,電子レンジ,冷水器が見えます。洗面所がレトロです。
大切な装備のトイレ 温度計(JNR仕様)車内温度は36℃!
製造者のプレート 日本銀行マーク付きのヘルメット
<第1荷物室>
次に第1荷物室を見てみましょう。居住室と荷物室を区切るドアには下の画像のようにスライ
ド式の覗き窓が設置されており、直接目視で荷物室の様子を見ることが出来ます(第2荷物室も
同様の構造)。
居住室側から見たドア 荷物室側からみたドア
荷物室内の構造は、第2荷物室と同じです。
模造紙幣が置いてありました 荷物室の扉には複数の鍵が取付けられている
<外装・床下>
車体側面の燃料給油口(ホーム側) 車体の床下機器(反対側から見たところ)
車軸発電機(蓄電池横) ディーゼル発電機(左にクーラントタンクが見える)
乗務員用扉の下にあるディーゼル発電機用給油口です。上には特3号のテプラが。寒冷地用の
軽油を使用していたようです(車体の左右に給油口があります)。
奥側台車の隣にディーゼル発電機(上に給油口),その隣にカバーの付いた燃料タンク,手前
が蓄電池のようです。蓄電池の隣に車軸発電機が見えます。
車掌室妻面側車両消火装置 非貫通妻面側消火器
消火装置,消火器も健在でした。ホームに隠れてしまい、汚物処理装置等は確認できませんで
した。
荷物室扉上部のフック 車掌室内部の様子
荷物室上部の用途不明のフックも確認できました。どのように使用したのでしょうか?
車掌室も確認しましたが、とても狭かったです。勤務は大変だったのではないでしょうか。
TR230B台車(日本車輌製) 非貫通妻面側から台車を望む
台車の製造者の銘板,普段は見ることのできないアングルで撮影してみました。
外装表記の一部外装に表記されている文字も撮影してみました。「荷物」を撮影するのを忘れてしまいました。
<まとめ>
運良く見学する機会に恵まれ、小樽交通記念館で幻の車輌「マニ30」の詳細をいろいろ見る
ことが出来ました。無線関係の装備は、残念ながら無くなっていましたが、その他の興味深い装
備も撮影出来ました。
居住室等も見放題でした。ただ残念なのは、内部の公開が8月22までだということです。
それ以降は、荷物室の覗き窓から見るだけになるそうです。小樽に行く機会がある方は是非出か
けられることをお勧めします。
(見学日:2004年7月30日)
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