ヨット・ボート用アンカー

 ここでは、多種多様なヨット・ボート用小型アンカーの代表的なアンカーについて説明します。

錨の名称 説明 写真
ダンフォース アンカー
Danforth Anchor
 1940年頃にアメリカで飛空艇用に軽量なアンカーが必要となり、ダンフォースがこの錨を開発する。現在ではCQRなどと共に世界中で使用されている。シャンクや爪が薄いため風の変わった時などに簡単に曲がったりするのが少々問題である。
 フリューク角に非常に注意が必要だが軽量で高い把駐力を誇る。また、ストックがあるため安定性もある。
ダンフォース型 アンカー  世界中で使用されているダンフォースアンカーに似せて作ったダンフォース型は様々な物があるが、その殆どはまず使い物にならないと言っていい。形は似ているものの、フリューク角、ストックとシャンクの長さの比率、各部の強度など錨と言うより製品として注意するべき点がいいかげんな物が多い。安かろう悪かろうである。
CQR  イギリスのシンプソン・ローレンスが開発した錨で、ダンフォース同様世界中で使用されている。片爪でシャンクとの間にヒンジを持っている。ヒンジが270度ほど回転するので、どんな状態で落ちても砂地に入るようになっている。しかし、風の変わり目や、潮が変わったときに抜けたり、スタビライザーの効果が薄いため、錨がかりまでの距離が長く、狭い港での使用は危険である。ちなみにCQR型もあるが説明するまでも無いだろう。
デルタ アンカー
Delta Anchor
 CQRにおいて、なかなか海底に食い込まない事と風や潮の変わり目に抜けてしまい非常に危険だと云う指摘がなされ、1990年代に新しく開発されたのが、このデルタアンカーである。
 ヒンジを無くして一体型として、スタビライザーの構造も変えているものの、効果があまり無いため爪の裏側に重量の約1/3程度の重りを付けている。そのため、船に対してかなり大きなサイズのアンカーを使わなくてはならない。
ブルース アンカー
Bruce Anchor
 ヨーロッパや日本で多く使用されており、ドイツでは海軍が大型の錨を使用している。一体型で堅牢だが、ヘドロや軟らかい低質だとシャンクの方が先に沈んでしまい効かなくなってしまう。また、砂鉄雑じりのような硬い低質だと爪がすべるように引かれてしまい走錨してしまうので注意が必要である。
ブルターニュ アンカー
Bretagne Anchor
 国際ボートショウでは常に言っているが、この様なプレート爪のアンカーではストックに替わる機能を持たせないと、すぐに反転して走錨してしまう。船を守り、人命を預けるような避泊アンカーとしては、決して使用するべきではない。
フォールディング アンカー
Folding Anchor
 4本の爪が傘のように開閉できる構造になっており、取り扱いが簡単で釣りの際によく使用される。価格が非常に安く、どこのマリンショップでも取り扱っているので簡単に購入できる。
 把駐力は大きくないので、あまり風が強い日や潮流の速い場所では注意が必要である。
マッシュルーム アンカー
Mushroom Anchor
 ボートなどでも使用されるが、海上ブイ等の固定に使用されるような大型の物もある。尖った部分が無いので船体に傷が付き難く、ゴムボートでよく使用される。
 アンカーとして販売され広く使用されているが、分類としてはシンカーに属する。

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