音楽による心の教育について

 ロータリーでは、将来の社会を担う新世代への関心を高めるとともに、その接点を強化すべくさまざまな活動を展開しています。
 今回、その一環として聖徳大学付属小学校元教諭でいらっしゃる岩上廣志氏にお願いし、同氏の半世紀にわたる活動についてお話をいただきました。
 以下はその概要です。

<岩上廣志氏のお話>

  ●音楽による心の教育半世紀●

 今日は、人間の心を育てるということが、感動も含めて教育にとって如何に大切であるかを、理論や学説ではなく私の52年間の体験を通してお話をさせていただきます。
 私は、学習意欲の根源にあるものは感動する心であると思います。学習目標に対する憧れであると思います。これは音楽だけに限ったことではなく、総ての教科、領域に通じることです。
 これから挙げる事例も、子供たちの感動、あるいは憧れの心なくしては生まれるものではありません。丁度、憧れのディズニーランドです。そして、そこに行きたいという意欲です。そして、次に必然的に起こってくるのが、その憧れ、感動への到達方法です。学習方法です。学び方です。

  ●学び方を学ぶ●

 この意欲が、そこに行くために必要な思考や、知識や技術(学習の基本・基礎)を一生懸命獲得しようとするのは当然です。これが、学び方を学ぶということになると思います。学習方法を身につけ、自信を持った子供は、自らそれを駆使して、憧れの目標に向かって意欲を燃やすことでしょう。
 だからそのプロセスがたとえ厳しくとも、子供たちはそれに耐えては食いしばってでも活動していけるのです。それは、厳しさに耐えるというよりも、寧ろ、厳しさを快く引き受けて活動していく、という事かも知れません。これが、子供の学習活動としてのあるべき姿であり、これを育てていくのが教師の大切な仕事であると思うのです。

  ●親と教師の仕事●

 ここで、教師にとって最も大切なことは、子供たちに如何にして憧れの目標を、感動する目標を持たせるかということになると思います。どんな高邁な目標でも、教師の一人相撲では子供の心を揺さ振ることは出来ません。これは、教科だけではなく生活指導についてもいえることです。
 例えを1つ申し上げましょう。学級というのは、学校という大きな集団の中の基本集団であり、子供の学校生活の拠り所になる所です。この学級を作る活動をするとき、目標である学級の姿を、どう感動や憧れを持って子供たちに描かせることが出来るかは大きな課題であり、学級担任の力量が問われるところです。これが出来れば現在大問題になっている学級崩壊などは絶対起こらないでしょう。
 ここでもう1つ是非加えなければならないことは、感動できる心を育てると言うことです。それは心の素直さです。これは家庭教育に負うところ大であると思います。つまり、素直な心を育てるということです。素直な心は夢を育ててくれます。豊かな情操を養ってくれます。

  ●子供を取り巻く大人の生き様●

 最後に最も大切なことは、感謝する心です。事例で述べたような活動が総合されて身についてきた学力、体力、人間性、想像性(創造性)自主性、自立性などは、総て親、学校、社会の「お陰だ」という心情です。いや、それだけではありません。魚や牛や豚や、ほうれん草やキャベツや、柿やみかんなどの命を頂いて生きているということです。つまり、太陽の光を頂いた尊い地球環境の中で生かされている、ということです。
 これは、人間としての生き方であり、この心を育てるには、親が、教師が、大人がそう考えて生きていく生き様を、子供に直に見せるより他にないと思います。

 今、教育界も政界も財界もすべてが声を大にして叫び、実践していかなければならないことは、心の教育です。そこに目覚めれば、昨今、教育界で最大の問題になっている学力低下も自然に解消され、子供たちは目的をもって生き生きと生きていくものと信じます。

2002年12月5日

 

 


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