以下に記載されている事は
すべて、真実をもとに記録された
ノンフィクション・ドラマである。





尚、とてもデンジャラゥスな出来事の為
登場人物はすべて仮名です。









凶悪犯罪24時
逮捕の瞬間


〜その時カメラは見た?〜























蘊蓄編







その日の
想像を絶する
恐怖の体験

今でも鮮明に覚えている。


思い出すだけで
チビッちゃっ
手足の震えが止まらない。

全人類を震撼させるような(?)
そんな、話・・・。





実際に起きた俺の体験談・・・







時は2002年7月9日火曜日






梅雨の季節を感じさせない
爽やかな晴天だったろう。

俺は、こんな絶好の行楽日を 有効に使う術を知らない
いったい何をすればいいのか苦悩するだけ・・・。




俺はその日も
夜勤明けで寝不足気味であり
太陽の光がやけに眩しく感じた。
暑すぎる・・・。



夜勤明けの日はいつも暇を持て余す。

その時間を有効に使う術もなく
真っ直ぐ家に帰り、
真昼間から大好物のビールを食らい
そして寝るだけの生活を繰り返す。






そんな日々・・・。






ところがその日は違った。
誰も文句のつけようがない予定が入ったのだ。

泣く子も黙る、立派な用事。



それは

「お見舞い」である



なんとも優しく
品の良さを感じるイベントであろう




ダメ人間の名誉挽回の為に

同僚の「ベシャリ君」と
彼の恋人「車子ちゃん」と3人で

入院中の「直立君」のいる病院へ
行く事になったのだ。




ここからが


凶悪犯罪24時

逮捕の瞬間


〜そのときカメラは見た?〜



の始まりである!
























勃発編










その日,夜勤が終わって
同僚のべシャリ君
彼の恋人車子ちゃん
待ち合わせをして
会社を出たのは午前11時頃。



ここは、入院中の直立君のもとへ
一目散に駆けつけたいところだが
「腹が減っては戦はできぬ」ということで
先に飯を食いに行くことにした。


私もべシャリ君もラーメンが大好き!
二人で「ラーメン食べ歩き」に行ったりする程だ。
そうなると、お昼は当たり前のようにラーメンになる。

知ってる人もいるかどうか
我等が訪れたラーメン屋は
有名店「一風堂」。







美味い








すこぶるご機嫌になる




あまりの機嫌の良さに、そのままデパートへ行き
穴のあいたTシャツを直すための
アップリケなんかも買ってみる。



さらにルンルン





天気が良く

美味いもの食って腹も満たされ

一生、縁がないと思われるアップリケまで購入し

とても、とても充実した一日。

そして更に

超・良心的行動と思われる


「お見舞い」

に行くのである。




すがすがしさ100%

気持ちよさ120%






この後、ひどい事件に巻き込まれるとも知らず・・・。





病院に着いたのは13時30分頃であった。

その日の面会時間は14時からである。

正当化するわけではないが
一分でも早く直立君に会いたいが為
面会時間を無視することにする。


入院している病棟、部屋はリサーチ済みだったので
医者、看護婦、受付等を次々とスルー。

無事に直立君の待つ部屋へたどり着く。



直立君と久々のご対面



直立君が僕らの想像した以上に元気で
ひとまず安心する。


部屋の中で騒げないので、面会室に足を運ぶ。


面会室にて
久々に会う直立君
くだらない下ネタで話が弾む。



彼の仮名を直立君としたのも
その、下ネタにも由来する。

しかし残念ながら、その下ネタ
ここでお話するには 限度を超えているので
今回は省かせていただく。



面会室には他にも沢山の人達が集まっていたが
他人の目など気にするメンバーではない。


病院にいることを忘れ、
大事な話は後回しで
下ネタ一本で、とにかく盛り上がる。














ガダンッ














部屋の空気が凍りつく・・・























躊躇編











ガダンッ














部屋の空気が凍りつく・・・






とても嫌な空間・・・






物音のした方を見て見てみると・・・










包丁を持った
オヤジが











女を










刺そうとしてるっっ







その時



俺は正義感溢れる
心の鼓動を感じた




頭の中で「踊る大捜査線」のテーマが
2倍速で流れる。


走れ!走るんだ!


そこはまさに事件の現場なのだ






たっ

助けねば














でも、ちょっと待てよ・・・。




いくら,ダラダラと日常を過ごしている俺でも
生きたいと願う気持ちはあるし
その権利もあるはず。

しかもまだ20代という若さ。

死ぬにはあまりにも悔やまれるじゃないか。


まだ人生これから、

酸いも甘いもあり

辛いことや

悲しいこと

楽しいこと

興奮するこ

あんなプレイや

あんな体位も


たくさん、色々な経験するはずなのに。





まだ死にたくねー・・・


危険地帯には入りたくねー・・・


できる限り入りたくねー・・・



そんな事を考えちまってる。



気付けば自分の保身のことで頭がいっぱいだ。









?!







しめた!



なんて、ラッキーなんだ!




俺よりも現場に近い奴がいるじゃねーか!!


彼奴等に止めてもらえば
いいじゃないか




改めて思う。

たまには、良いこともしてみるもんだと!

何てったって「お見舞い」に来てるんだから。




そう。お見舞い・・・。




ここは病院・・・。




みーんな怪我人ばっかり?!





うおぃっ





現場から一番近い奴ら
みんな車椅子じゃねーか









ついてねー!!!








ここでもう一度整理しよう。



1・人が刺されそうになっている。

2・誰かが止めに行かねばならない。

3・一番近い人たちは皆、車椅子=歩行不能=除外。

4・二番目に近い奴が死を覚悟で突っ込む。





うーーーん・・・。


他に方法はないのか


逃げ道はないのか。


行かないで済むような理由を模索するが

いくら考えても状況は変わらない。




明らかに



俺たちが第1シード






でも、まだ優位なだけであって
勝ち抜いた訳ではない。




考えてみれば
多人数で行っても混乱するだけだ。

ここは、選び抜かれた選手が代表して
一人だけ行けばいいのだ。


超ファインプレー俺


逃れられるかもしれない!



ここで、僕等チームのメンバー紹介。
ちなみに人数は4人。





直立君
入院中で歩くのもやっとな状態。
却下。





車子ちゃん
まさか女性に行かせるわけにはいかない。
却下。





ベシャリ君
僕の対面に座っている!









対面に座っている!!












微妙な距離だ!!







どうなんだ








二人に緊張が走る・・・・・・



しかし、勝負とは非常であった。








ほんの何十センチの差であるが
俺の方が微妙に近い
勝負はあっけなく決まる。




北斗の拳志郎に
「お前は既に死んでいる」って言われた時の
雑魚キャラの気持ちが痛いほど分かる。

圧倒的に不利なのは分かっているのに
ボスの命令により
仕方なく突っ込んでいく雑魚キャラの
悲しき性。





本当についてねー・・・







3本勝負で


でも、もう諦めろ!





もたもたしてると
その女が始末され

その後に
矛先が俺等の方に来るとも限らんぞ。

考えている余地はない。


行くしかないのだ。



行け!




行くんだー!





でも、相手は包丁を持っている。

行けと言われて
「行ってきまーす」なんて
気軽に行ける訳ない。


よくニュースで、包丁持った奴が無差別に
次々と10人を殺したなんて事件あるでしょ?

「誰も止めなかったのかよ」って思うでしょ?


本当に怖いんだって!!



そりゃ、助けたい気持ちはあるよ。

でも、恐怖のあまり
体が竦んで動かないんだよ!



これは、経験しなけりゃ分からないと思う・・・。






躊躇するはずだった・・・。



しかしここで
奇跡が起きた。



突進していく俺に
一つだけ恵まれている事があったのだ。



それは
俺という人間が



普通



であった事。




よく友人に言われるんだよ。

「お前が一番普通な人間だよ」って。



誉めてんだか、けなしてんだか分かんねーけど
そう言えば自分自身でも、普通だなーって痛感して
本気で落ち込む事があったなー・・・。







そう。例えば

ティッシュを買わなくて済むように
ティッシュ配りの姉ちゃんの前、何往復もした。

それも真顔で。



平凡だよなー・・・





あの時もそうだ。

大晦日の大掃除の時
隠していたエロ本が見つかりそうになった。

焦った俺は
普通に自分家の庭へ
全部投げ捨てちまった。

自分家の庭だよ?!

もちろん、親にはすぐバレる。

偶然にも、俺には弟がいたので
どっちが捨てたのか判明せず
事件は暗礁に乗り上げたが
もし、弟がいなければ
現行犯逮捕は免れなかったろう。

もっと、マシな言い訳や、嘘や、行動が出来ないものだろうか・・・。

そのまま外に投げちまうなんて・・。



本当に平凡だよなー・・・

投げ捨てたのは平凡パンチだったが・・・。






他にも、思い出せばきりがない。

自覚症状ありあり

完璧に普通なのだ。



つまんねー人間になっちまったと


個性のない人間だと





そんな超一流の普通さが
どう役立ったか?












お答えしよう。









物音がしてその場が静まりかえる。

何だ?何だ?

物音の方を見てみる。

包丁を持った男がいる。



僕はそれを見て
心の中で一言。













包丁持ってたら
危ないよ
















普通












普通に突っ込み入れて
どうすんだよ












本当にクソつまんねえ奴










しかし

普通に突っ込み入れちまった俺は

そのまんま

犯人に向かって



本当に突っ込んで行くのだ





まさに、普通のバカ。

超単純。





しかし


行くと決めた限り
負ける訳にはいかん



負け=死なのだ



気合いを入れて行け!



行くんだ!





ノーマル野郎!






今日がノーマル人間卒業式だ










突っ込め!!









俺、叫ぶ。








「一番槍(ヤリ)じゃー!」

(これは嘘!)
























格闘編












俺が今まで、永遠と語った心の内は

すごく長く感じた人も

いるかと思うが

実は

実際の妄想時間は



わずか2秒



脳みその回転速度はギガヘルツ超えてたね。




しかも俺
あまりの出来事に
すっかり忘れてたけど


足折れてたんだ!


まだ、折たてホヤホヤ1週間。

歩くにも、ビッコひいてる状態。



走れるのか?







俺、走れてる





これが火事場のくそ力ってやつなのか。

人間いざとなると
信じられないような能力を発揮する。


こんな普通の俺にも
隠れた能力があったことに感動さえ覚える。






事件に戻る。




男が女を刺そうとしている!






足の痛みを忘れ
走り出す!





犯人の後方より突進!


男の両腕を後ろから掴む!


相手の腕を掴んだまま
素早く後ろに引き倒す!


包丁を持っている手を
膝で潰す!





御用だ!!








我ながら完璧







ここで、第2シード「べシャリ君」

満を持して登場


見事に犯人から包丁を奪い取る

以上
「べシャリ君」の活躍終了。
短い間ご苦労様でした。







俺も第2シードが良かった







そう。


相手にもう武器はない。

しかも、二人がかりで押さえつけている。





もう

恐れるものは何もない





後は警備員か警察官が来るのを
ひたすら待つのみ。






しかし

気持ちは動揺しているものの
少し安心した俺は
おかしな行動に出てしまった。







押さえつけてる犯人に
説教を食らわそうとしたのだ









俺が聞く










何でそんな事したんだよ















質問まで普通















それに答える犯人















お前には分からない
事情があるんだよ
















お前も普通









ごもっともな意見だけど
あんたも普通すぎ!









普通な奴は何をするにも
計画性も想像力も無いから
物事が上手く運ばない事が多い。

ましてや、殺人など・・・。


お前みたいな普通な奴は
一度逮捕されないと
自分自身を見つめなおす事が出来ない奴だ。




とっとと逮捕されちゃいなさい








何だかんだで
警備員と警察官が来て無事逮捕。
逮捕時間1時56分。



良かった




みんな無事で何よりだ


しかも、殺人を未然に防いだんだ


一人の命を救ったのだ


はかなく美しい女性の命を救ったのだ











そこに聞こえてくる
被害者の女性の声











「あいつ、逮捕しちゃってー

殺人未遂だろ

早く連れてっちゃっえよ」














犯人の言ってた事情が
何となく分かっちゃいました










なんと、汚い言葉使い

喋り方もひどく生意気

生意気レベルは「秋吉久美子」級









犯人より先に彼女と出会っていたら
俺が真っ先に殺ってたかも知れねーな。










こんな奴の為に命賭けて戦ったのかよ






何だか、助けて損した気分だ。





実は、犯人のおっちゃんが善人で


本当の悪党はこの女だったかも知れねーぞ?










いい事したのに
全然スッキリしねーよ。








くそっ




怒りを抑えながら
ゆっくりと周りを見渡す。














羨望の眼差し













これこれ






広い面会室のすべての人が俺達を見てるよ

みんな俺等を尊敬の眼差しで見てるよ

その目を待ってたんだよ





もっと見なさい







もっと




もっと






もっと









気持ちぅいー
























留置編













警察官が来て僕等に尋ねる。

「君達が逮捕者かい?」

「ハイ」


ちょっと署まで来てくれる?


そのまま、警察署に向かう。


警察に行き
調書という物を取られる。

どういう状況で
どう取り押さえたか
僕らの発言を証拠として
書類に残す作業。




でも、警察って結構いいかげんだねー



俺とベシャリ君車子ちゃん
取調べを受けてる6メートル位先




犯人事情聴取中


その隣の部屋で被害者事情聴取中








近すぎない?!





おいおい、犯人こっち見てるよ・・・・



「あの時はよくも邪魔してくれたな」

なんて、変な逆恨みされても困るぞ。
ここは犯人と目を合わせないようにしよう。
そうしよう。




はぁ・・・

早く終わんねーかなー。
早く終わらして、お見舞いの続きがしたい。

まだ、これから面白い
話で盛り上がるんだから。

スムーズに終わらせよう。

とっとと終わらせて、早く病院に帰ろう



ベシャリ君も上手くやってるかな?



あれ?!



何やら凄く喋ってる



そう。ベシャリ君は名前のまま
よく喋る。

それだけなら、良いのだが
余計な一言が多い。

典型的に損するタイプである。

喋れば喋るほどボロが出る。



ほら。



案の定、警察はあんたを疑い始めたよ



なにせ、犯人の包丁を奪ったときに
あんた、ベッタリ握っちゃってるんだから。


容疑者だよ。容疑者。



あーあーあー。
全部の指の指紋、採られちゃってるよ。


そんなベシャリ君へ。

これ以上余計なことは言うんじゃない。

留置時間が長引くだけなのだから。


余計な事を言ったが為に

それを聞いた警察官が

「今、なんて言った?!」

なんて展開だけは絶対に避けたいのだ。




俺は早くお見舞いの続きがしたいんだ







そこへ警察様から
有り難い差し入れ。










リポビタンD







まだまだ終わらないんですね







そして2時間後・・・




僕らはやっと解放される。






帰り際に警察官が
「ご苦労様。」って言いながら茶封筒をくれた。


茶封筒の中を覗く。








現金







そりゃぁそうだろう


待ってたんだよ、それを!


突然巻き込まれた事件で
お見舞いを中断され
貴重かつ爽やかな時間が奪われた


20代の大切な時間はもう帰ってこない


迷惑もいいところだ


何よりも言いたいのは


命を賭けて
闘ったって事だ



掛け替えのない命だぞ


「ご苦労様。」の一言で
終わらされてたまるか


やらしい言い方かもしれないが
言葉よりも、物だよ、物!

命を賭けるに値する代物だよ





どれどれ、どんなもんかな





















俺の命
ごせんぇん?!






たったの五千円ぽっきり?


まだ入ってるのかな?

封筒を広げて奥を覗く。











入れ間違いでもしたんだろうか。


ベシャリ君の封筒も見てみる。













同額





命を賭けて闘って
2時間以上拘束されて
これだけかよ

金では命は買えないんだぞ

一人の命を救ってるんだぞ

それで、たったの五千円ぽっきり?





重い虚脱感に包まれる。



見返りを期待して
人を助けたわけじゃーない。



でも・・・でも・・・





しかし、その時思った




冷静に考えてみると
確かに大した物を貰った訳じゃーないが




金では買えない物があるじゃないか


お金お金って乞食みてーに連呼してた

自分が恥ずかしい





そう

俺はとうとう手に入れたんだ





名誉を





病院でのあの羨望の眼差しを見たか?

みんなに感謝されているんだ。

それでいいじゃないか。

しかも、この事件が新聞やテレビで
大大的に報道されてみろ。

めったに会わない友人や
遠い親戚、
近所のオバチャンからまでも
「凄いねー!偉いねー!」
なんて電話がひっきりなしだぞ。


そうだ


警察署の入り口には

たくさんの報道陣が

俺たちの登場を今か今かと待っているのだ





報道陣の一人が
「凶悪な事件でしたね。」
なんて聞いてくる。

それに対して、俺、曰く。



「理由は何であれ、凶器を持ったり、
暴力を振るう奴は許せませんよ。
しかもそんな状況が目の前にあって
放っておける訳ないじゃないですか。
僕ですか?
僕は大丈夫です。
それより皆さんが無事で何よりです。」






かっちょいー





とりあえず、トイレに行って

髪型とか整えてから

警察署を出よう。






ヒーローらしく

胸を張って爽やかに

威風堂々と歩いて行こう







が、しかし

皆さんの予想通り

俺らの期待は

またしても裏切られる




見渡せど見渡せど
人影無し。



最後の希望も完全に肩透かし。



俺たちの夢、ここに散る



疲れがどっと押し寄せる。









<犯人との生死を賭けた戦い>

<態度の悪い被害者を助けた後悔>

<警察署での長時間にわたる拘束>

<謝礼の少ない事への不満>

<名誉すら貰えない!>








何のための一日だったのだろう





これじゃあ、結局
ビール飲んで寝てる日と
ある意味変わらないじゃないか。
いや、むしろそっちの方が良かっただろう。


虚しさいっぱい胸に秘め
病院に帰還する。




しかし、帰りながら思った。

そうだ。忘れてはならない。


今日はお見舞いに来たんじゃないか。


気を入れなおして、お見舞いの続きをしよう。




再び病院に帰ると

僕らはちょっとしたヒーローになっていた

入院患者さん達はみんな
暇を持て余してる人が多いので
噂が広まるスピードが異様に早い。

患者さんが僕らを見ている。

看護婦さんも話を聞きに寄って来る。

しかし、体力的にも精神的にも
疲労困憊だった僕等は

そんな患者の目線に対して
誇らしげにするでもなく

話を聞きに寄ってくる看護婦さん達にも素っ気なかった。


いつもなら、「ナース」って言葉を聞いただけで
昇天してしまうほどヤングボーイなのに・・・


ヒーローらしからぬ落ち込みぶり。

テンション下がりまくりで
下ネタさえ喋らない。

挙句の果てには、入院中の直立君
「大丈夫かい?」と励まされる始末


どっちがお見舞いに来てるんだか分からない



時間はすでに六時半を過ぎていただろうか。



直立君と別れを惜しみながら病院を去る。

駐車場の出口で踏み切りに引っかかる。



踏み切り?



そう。



ここの病院は有料駐車場。

長期にわたる駐車で

1人600円徴収。





俺達の命の価値が
更にマイナス600円








数々の困難を乗り越えて

やっと手にした5千円が

いとも呆気なく削られる







最後の最後まで本当についてねー・・・






こんな日は早く家に帰ってビールを飲もう







とどめを刺された僕らは静かに家路につくのだった













英雄ここに眠る












最後に、この体験談を通して
俺が最も皆さんに伝えたかった事





それは









もっと誉めて







暖かいメッセージをお待ちしてます。








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