坂本衛の鉄道模型工作手帳 


  「坂本衛」というお名前を聞いて「摂津鉄道」を思い出す方は、かなり長い間鉄道模型に親しんでいらっしゃる方であろう。

 1972年に機芸出版社から刊行された『レイアウトモデリング』という鉄道模型レイアウト製作の指南書に、HOゲージのレイアウト「摂津鉄道」の製作記事が載っている。
 日本の古き良き時代の、晩秋の農村風景を見事に表現したレイアウトで、名レイアウトの誉れ高い。今ほどいろいろな材料が無かった1960年代に製作されたもののようであるが、身近な材料を駆使して作られたレイアウトは、今見ても古さを感じさせない。それほど優れたレイアウトである。その作者こそ、この本の著者である坂本衛氏である。

 この本でも「摂津鉄道」を例にしたレイアウト製作のことに触れられているが、ブラス製キットやペーパー製車両の製作テクニックも載っている。基本的にHOゲージのことが中心であるが、Nゲージにも応用できるであろう。
 
 拙者的に面白いなと思ったのは、台車を自作する裏技。詳しくは本を見ていただきたいが、鉄道模型版『伊○家の食卓』みたいな方法である。台車というパーツは比較的高価であるうえに、ものによってはなかなか入手しづらいから、編成モノを作る時はこの方法で数を揃えるのもいいかもしれない。もっとも、台車を製造する鉄道模型メーカーはいい顔をしないだろうが・・・(^^;

 レイアウトと車両両方の製作に役立つ本である。本のカバーが、昔の大学ノートのようなレトロなデザインなのもいい。刊行が比較的新しいので、一般書店やインターネット通販書店でも簡単に手に入るだろう。HOゲージのレイアウトや車両の製作を志している方は、ご一読することをおすすめする。

                                                         2005.6.5