開通式・出発式


  新しい路線が開通する時や、新型の車両・新設列車がデビューする時は、たいてい始発駅で開通式や出発式が行なわれる。

 高速で走る新幹線を除いては、列車の先頭には「祝 ○○線開通」「特急○○号 デビュー」とか書かれたヘッドマークが誇らしげに掲げられ、地元の「ミス○○」が、 一番列車の乗務員や乗客代表にニコやかな表情で花束を渡す

 新幹線や特急の新列車なら、一番列車の指定券は、運行開始1ケ月前の発売と同時に、ものの数秒で売り切れる。一番列車の自由席に乗ろうとする人は、開業の何日も前から駅に泊まり込みで並ぶ。

 始発駅には地元の名士が招かれ、鉄道会社の首脳と共に紅白のテープにハサミを入れたりクス玉を割ったりする。ホームでは地元の学校の生徒らによるブラスバンドが軽快な音楽を演奏し、記念のヘッドマークを掲げた列車は高らかに警笛を鳴ら し、ホームにいる人は手を振って列車を見送る。始発駅の近くでは、一番列車を一目見ようとする人でごったがえしている。

 途中の駅でも、ホームや駅コンコースなどで郷土芸能が披露されたりして、まさにお祭りムード一色である。鉄道斜陽の時代とか言われ、開通式・出発式に集まった人の大半は明日から鉄道に背を向けてクルマで移動したりするのだろうけれど、地元に新路線・新列車が誕生するとあれば、やはり嬉しいのであろう。

 記憶をたどってみると、意外にも新路線の開業初日に乗りに行ったことはあまりないし、新列車がデビューした初日に乗ったことは無い。
 開業初日に乗りに行ったのは、国鉄武蔵野線の新松戸−西船橋間、京王相模原線の京王多摩センター−南大沢間、多摩都市モノレールの立川北−上北台間、都営12号線の新宿−国立競技場間、都営大江戸線の都心環状部、つくばエクスプレスの全線と、ほぼすべてが都市路線だ。地方ローカル新線の開業日に行ったことは無い。

 そんな開通式・出発式の模様を時々テレビニュースで見かける。大半は自分の生 活には関係ない路線・列車ではあるが、そういう光景を見ると何だかコッチまで嬉し くなってくる。  

2000.7.29