旅の非常食


 日本の鉄道は、定時運行することでは定評がある。新幹線が2時間も遅れれば新聞ネタだ。しかし、大雪・大雨・落雷などによる自然災害や車両故障などでダイヤが乱れることが時々ある。

 そうなった場合、旅の行程に影響が出ることもさることながら、ヘタをすると食事にありつけないことも発生する。大きな駅の待合室で足止めをくうならまだしも、列車の中でカンヅメ状態だと食糧の確保は重要な問題となる。ゆえに、食いしん坊の拙者は、最低1食分の非常食を旅行カバンの中に詰めておくようにしている。非常食の内容はその時々によって違うが、チョコレートや菓子パンなどである。時々キヨスクで見かける「4個入りのアンパン」は愛用品?のひとつだ。

 拙者が経験した中で最悪だったケースは、1991年7月3日にJR羽越本線の特急「いなほ」に乗って鶴岡から秋田へ向かっている時であった。鶴岡を発車してからしばらくすると大雨になり、運転規制となって吹浦で立ち往生してしまった。停電はしなかったので車両の空調装置が動いていたのは不幸中の幸いだったが、昼時なのに車販のワゴンはまわってこない。仕方なく、非常食として持っていたアーモンドチョコレートをかじりながら運行再開を待った。この時ほど非常食のありがたみを感じたことはなかった。
 蛇足だが、その数年前の冬に秋田から新潟に向かっていた時も、踏切内にクルマが立ち往生したとかで吹浦で立ち往生した。別に吹浦という土地が悪いわけではないが、拙者と吹浦は相性が悪いのかもしれない(爆)

 用意してあったその非常食も、旅が終わればお役ご免となる。家に帰ってから、旅の想い出を噛みしめながら食べるといいだろう。

 旅をしていると、いつどこで足止めをくうかわからない。ひもじい思いをしないためにも、非常食の携行は重要だろう。 

2000.5.3