カーチャ・ブットは、ヴィデオとグラフィックのアーティストとして制作している。また彼女はその両方のメディアにおいて、建築の原理とその背景を分析している。彼女の場所やアーチ、町並み及びそれらとは異なるレベルのドローイングの要素は、それらが建てられた状況に対する彼女の興味を表している。その(建築の)静的な傾向は、彼女の視覚表現により不安定な空間概念へと変貌させられる。同様に、彼女特有の視点のヴィデオインスタレーションは展覧会の場の静的な建築状況を、動的で、外側と内側、上と下、過去と現在が一つになるような中性的な構造へと変化させる。カーチャ・ブットのカメラを通した特殊な視野や彼女の物に対する特異な遠近法は、彼女のインスタレーションや他のヴィデオ作品を形作る。これらの力強くミニマルなヴィデオ映像は、複数の繋がれたモニターによってリズミカルに構築された連続性により、構成されている。モニターそのものが芸術的要素となり、カーチャ・ブットの彫刻の原点を見せてくれる。彼女のインスタレーションは、建築的空間、モニター、イメージ、彫刻の素材、それから正確に用いられた装置をひとつの独立した体系へと融合させる。またそれらの要素は互いに関連し相互の影響を見せている。
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