美女丸様とお呼び! より
《あずみ 序》
牢獄から出されて、風呂に入る。
暖かい湯も久しぶりだった。汚れを落とし、髪を整え、準備をする。
部屋へ行くまでの廊下でふと空を見上げると、そらには満月が浮かんでいた。
恐ろしいほどの、大きく、紅く輝く満月が夜空に浮かんでいる。
自分には、紅色に縁があるようだ・・・・そんなふうに考えて唇に微笑を浮べる。
初めて人を殺した日も、こんな夜だった。
初めての相手は父だった。
次は、兄。
2人とも血の繋がった男だ。
美女丸にとって、血のつながりなど、なんの意味も無かった。
父に捨てられ、優しかった母は鬼になった。
父を恨み、美女丸を恨み、相手の女を恨み、勘兵衛を恨み・・・・・・そういった毒を全て幼い美女丸に吐き出した。
母の自分を見る目に、嫉妬の光が灯ったのを、美女丸は見逃さなかった。
母譲りに美貌は周囲の人間を、父を惹きつけた。
衰えていく美貌をひしひしと感じながら、目の前で咲き誇る花のように美しくなっていく、瓜二つの息子を見るのはさぞやつらかったであろう。
段々と狂っていく母に追い詰められ、徐々に美女丸の心は死んでいった。
やはり、紅い満月が出ていた夜。
刀を手に取り、初めて切り殺した相手は・・・・・母だった。
その時の快感に囚われた。
次々と母が引き入れた男達を切り殺したら、同じ様な快感に浸った。
それから美女丸は人を切る快感に執りつかれたのだ、と思う。もし最初に母を切っていなければ、人を切る快感に執りつかれはしなかったと。
剣は恐ろしい程自分の手に馴染んだ。
男達は盗人を装って押し入った男達の目的は美女丸だった。犯し、殺されそうになったとき、男達の漏らした言葉で美女丸は真相を知ったのだ。
もともとは母子共々殺すよう側室が手はずを整えたのだが、母はその男共を誑かし美女丸を殺し犯すように唆した。
真の首謀者は実の母だった。
その瞬間、頭の中が白くなっていた。躊躇いはほんの少しも無かった。
刀を手にした時間は、僅かしかなかったと思う。
それでも。美女丸は人の切り方を知っていた。
足元に転がる死体を見て、思う。鬼だと思っていた母の血は紅かった。自分の好きな紅い色。なんだかおかしくて笑ってしまった。
気づくと、そばに男が立っていた。
父だった。
母を殺したその日、美女丸は初めて父に抱かれたのだった。
「どうした、美女丸」
「・・・・・いえ、久しぶりだな、って・・・」
勘兵衛に手首を捕まれて引寄せられる。
剣の腕は確かに美女丸の方が上なのに、勘兵衛に比べて腕は細く、手首など捕まれてもなお余裕があった。美女丸は抵抗もなく勘兵衛の胸に倒れこむ。
そのまま髪をつかまれ、後ろに引っ張られた。頭皮ごと引っ張られる痛みに微かに顔をゆがめる。がくん、と顎が上がり、自然と唇も開く。
勘兵衛が覆いかぶさってきた。唇が隙間なく塞がれ、開いた口内にあっというまに舌がすべり込んだ。
「んむっ・・・・ん、ん・・・・」
濡れた肉の塊が、まるで軟体動物のように口内を這いまわった。
隅々まで嘗め回され、唾液を啜られ、相手の唾液を飲み込まされた。
「ん・・・・んふっ・・・・・」
美女丸も同じ様に舌を絡ませた。
軽く歯が立てられ、まるで表皮を削ぐかのように擦り上げられる。途端、なにかが背筋を這い上がって。思わず背筋をそらすと、反った背筋を辿るかのよう勘兵衛に指で撫でられる。
頤まで撫でられ、指が降りていく。帯の結び目を解き、尾?骨をなぞり、布の上から尻の割れ目をたどり布団の間に指が差し込まれる。
「んっ、んっ」
しゅる、と帯が引き抜かれる音がした。締め付けがなくなると、ゆっくりと着物がはだけていくのがわかる。
布団と尻の間に差し込まれた勘兵衛の大きな手が、薄い肉付きの美女丸の尻を揉みしだく。
美女丸の尻は小さくて、片方の山だけなら勘兵衛の大きな手にすっぽり嵌ってしまうぐらいしかない。それを鷲掴みにされて、ぐいぐいと揉みしだかれると、そちら側だけじんじんと痺れるようになってくる。
それがなんとなくもどかしくて、嫌がるように尻を揺らしてしまった。
口付けた勘兵衛が咽喉の奥で笑ったのが判った。髪を掴んでいた手が離れ、下に降りる。
「あ、むぅ・・・・ん」
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