映画監督の相米慎二さん、肺がんで死去 53歳
「セーラー服と機関銃」「あ、春」などで知られる映画監督の相米慎二(そうまい・しんじ)さんが9日午後4時10分、肺がんのため、神奈川・伊勢原市の病院で亡くなった。53歳だった。〔写真右:今年1月、遺作となった「風花」で主演俳優の浅野忠信=左=、小泉今日子と舞台あいさつする相米慎二監督。同下:代表作「セーラー服と機関銃」の薬師丸ひろ子をはじめ、若手女優を育てることでも定評があった〕
◇
関係者によると、相米監督ががんを告知されたのは今年6月。「変な咳(せき)が出る」と言って診察を受けたのがきっかけで、監督は誰にも告げず、がんと闘っていた。
「翔んだカップル」「ションベン・ライダー」などを手がけた伊地智啓プロデューサーによると、容体が急変したのは5日。治療先で呼吸が止まり救急車で病院に運ばれたが、すでに脳死に近い状態だった。監督は生涯独身で、事務所の女性と姉夫婦が最期を看取り「眠るような死だった」(関係者)という。
だが、「最後まで生きる努力をしていた」といい、25日には初演出した舞台「DEFILED(ディファイルド)」(10月25日〜11月4日、アートスフィア)のけい古がスタートする予定で、また、来年撮影をめざし、郷里の盛岡市をロケ地にした新作映画の準備も同時に進めていた。
|
故相米慎二監督 | 中大法学部中退後の昭和47年、日活に入社し、57年に薬師丸ひろ子主演の「翔んだカップル」で監督デビュー。1シーン、1カットの長回し、ロングショットの迫力が高い評価を受けた。遺作は13本目の作品で1月に公開された「風花」。
■通夜、葬儀・告別式 通夜は13日午後6時から、葬儀・告別式は14日午前11時から、いずれも東京都中央区築地3の15の1、築地本願寺第二伝道会館で。喪主は兄の相米琢磨(たくま)さん。葬儀委員長はケイ・ファクトリー会長の伊地智啓氏。友人代表は作曲家の三枝成彰氏。
★「気持ちが動揺しています」薬師丸ひろ子
突然の訃報(ふほう)で、邦画界には驚きと悲しみの声が広がった。「セーラー服と−」の薬師丸は昨年12月の忘年会で会ったのが最後に。「入院されていたことも全く知らず気持ちが動揺しています」とファクスでコメント。また、「雪の断章」の斉藤由貴は「本物の映画を作る人が失われてしまった。私たちの方が惨めで悲しい」。「台風クラブ」の工藤夕貴は「監督と出会ったのは12歳の時でした。今の私の根性はその時に監督から教えられたものかもしれません」とその死を悼んだ。
■故相米慎二監督の作品
公開 |
タイトル |
主演 |
S55・6 |
翔んだカップル |
薬師丸ひろ子 |
56・12 |
セーラー服と機関銃 |
薬師丸ひろ子 |
58・2 |
ションベン・ライダー |
永瀬 正敏 |
58・10 |
魚影の群れ |
緒形 拳 |
60・8 |
ラブホテル |
速水 典子 |
8 |
台風クラブ |
工藤 夕貴 |
12 |
雪の断章−情熱 |
斉藤 由貴 |
62・10 |
光る女 |
秋吉満ちる |
H2・6 |
東京上空いらっしゃいませ |
牧瀬 里穂 |
5・3 |
お引越し |
田畑 智子 |
6・4 |
夏の庭 The Friends |
三國連太郎 |
10・12 |
あ、春 |
斉藤 由貴 |
13・1 |
風花 |
小泉今日子 |
|