久二男さんの木尽くし日記 その22



ツルアジサイ・イワガラミ
03/12/12

例年、いや昔はと言ったほうがいいかな、雪国ではこのころになると積雪がほぼ1メートルには達し、こども達が雪遊びに夢中になったものでした。もちろんスキー場は、この月の上旬からオープンしています。

カンジキ、ご存知でしょうか?

雪の上を、靴(当時は藁靴)の上から履いてあまりもぐらずに歩いていけるやつです。最近、スノーシュー(雪靴)がブームで、雪の森を観察して歩きます。私も97年ごろから3年間、玉原高原を催事「スノーシューで冬の森を歩く」というようなタイトルで案内しました。ときには猛吹雪に見舞われたときもありますが、結構参加者(圧倒的に中年以上の女性)は楽しんでいました。森の中、落葉紅葉樹林帯です。葉をほとんど落としている。夏にはササの葉が生い茂っているから決して入り込めない所まで行けます。

鳥に食べ尽くされることなく、また、子孫を残すための実はもうとっくに落としている。そしてまだ冬に残って鳥たちの餌となる、この木々の優しさ。そういった風景が、天気のいいとき(めったにないが)、霧の深いとき(これはしょっちゅう)、幻想的な雰囲気の中、自然と一体となった気分になります。

大木に伝わってよじ登る蔓性植物、その木にとっては、あまりありがたくはないようですが、これまたしっかりと共生しています。

ユキノシタ科のツルアジサイ、イワガラミを観ると、誰でも納得することがあります。どちらも大きな円形の花を付けますが、じつは周りの花のように見えるのは装飾花、飾り花、偽花というやつで雄しべも、雌しべもありません。本当の花は真ん中にあるチイチャイ、ルーペで見ないと解からないほどのものです。ではなぜ偽花なるものがあるのかな?虫たちを呼び込むためです。ちょうど人間社会でいうとスナックです。周りの綺麗どこが作った笑顔で男を呼びます。ママさんは黙って頼みもしないおつまみを作って出します。やがて高額な料金を請求するのもママです。

しかし装飾花たちはちょっと違います。虫たちを呼ぶために必死で目立とうと白く輝きます。やがて真ん中の花に受粉が完了して実になると役目が終わります。なんと周りの偽花たちは見事に全部裏返しになります。自分の役割を心得ています。ツルアジサイ、イワガラミとも非常に良く似ていて、遠くで見ると判別できません。(すみません、私はわかります)。装飾花の枚数が3〜4枚のツルアジサイに対してイワガラミは1枚です。比較的まっすぐによじ登っていくツルアジサイ、絡みつくように木を巻いて登るイワガラミ、葉の鋸歯はツルアジサイは細かい、粗く大きいイワガラミ。花の時期はちょっぴりイワガラミが遅くて、玉原では7月上旬。

蔓性植物、そのなよなよとした風情が日本人には合うようで、つるかご作り、リース作りなどに利用されています。藤も、葛もこんがらがって、もつれて、でも確実に登っていきます。葛藤しながら私も行きます。




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