23区の外れ、N駅前の焼肉ライス」

 

 そのジャンクな美味は、10人も入れば満席の狭い店にある。

 「ヤキニク」と短く告げ、鉄板で焼かれる音を聞きながら待つこと数分、

出て来るのがこの店の名物「焼肉ライス」だ。

 七味を軽く回し、一切れ目を口に入れると、少し甘めのタレと肉の脂が口を満たす。

 美味い。

 決して至上の美味では無い。B級、いやそれ以下のジャンクな味だ。

 だが、だからこそ美味い。だからこそ、とりつかれてしまう。

 肉を食い、軽くタレの落ちた飯で追いかける。

 肉、飯、肉、飯、紅ショウガ、肉、飯。

 最後は一口分の肉と飯を同時に、そして味噌汁で締め。

 肉の脂でてかった唇を僅かに緩ませ、店員に告げる。

 「ごちそうさま」

 

 

〈ごちそうさま、否、お終い〉

 

 

 

 

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