2010.05.17(月) 飯士山 新潟


 飯士山も花の山だと言う。登山口から山頂までイワウチワがずっと咲いているそうだ。新幹線や高速道路から見ると、南面は広大なスキー場が広がり、リフトの小屋が山頂近くの尾根の上に見える穏やかな山だが、西側は間近に鋭い尾根や切れ落ちた岩壁などの険しさが見え、危険なところもあると言う。便利のいいところにあるだけに、見るたびに何か気になる山である。

 コース:テニスコート駐車場10:05→負欠岩11:30→西峰12:35-12:45→山頂13:05-13:35→西峰13:50→負欠岩コース・尾根コース分岐15:40→駐車場15:55 (所要時間5時間50分)

 湯沢ICで降りて国道17号を石打に向かう。上越線の下をトンネルで抜けたら、最初の信号(塩沢町五十嵐入口)を右折して林道に入る。林道は広い舗装林道で走りやすい。

 テニスコート駐車場の200m位手前に登山口の標柱が有り、その手前にも3、4台位駐車できるスペースが有る。テニスコートは閉鎖しており、管理棟は廃屋になっている。その前に10台位は駐車可能。
テニスコート駐車場から見る飯士山
右下の大岩が負欠岩(おいかけいわ)
高く見えるのは西峰、山頂はその後ろにある。
標高1112m、標高差約550m位


 スキー場からも登れるが山の花は少ないらしい。湯沢の神弁橋から飯士山南峰へ登る鋸尾根コースはかなり危険で我が隊向きでは無いらしいので、塩沢町五十嵐から入るテニスコート登山口から負欠岩コースを登り、尾根コースを下ることにした。尾根コースは負欠岩コースの登山口近くで分岐し、飯士山西峰山頂でまた合流するバイバスのような道になっている。


登山口手前の駐車スペース 登山口 テニスコート駐車場
管理棟は廃屋になっている。


 初めての山はやはり駐車場と林道の様子が気になるが、ここの林道は走りやすく駐車場も使いやすかった。登山口手前のスペースには4〜5台車が駐車していたが、山では登り始めに一人下って来る男性に会っただけで、後は誰とも会わなかった。


 
スギ林を登る。    キクザキイチゲ


 登山口に入ると初めはスギの植林地、やがて雑木林に変わる。 早速道端にカタクリ、キクザキイチゲが咲いていて歓迎してくれる。今年は天候不順で5月に入ってからも冷え込んで高地では雪が降ったりしたから、花の時期は全く当てにならず、行き当たりばったりだが、まずは幸先がいい。


キクザキイチゲ カタクリ


 カタクリはたくさん咲いているがもう痛んでいるもの多かった。ショウジョウバカマも似た感じ。少し先で尾根コースへの分岐を示す標柱が出てくる。


スミレ ショウジョウバカマ



 


 
 だんだん険しくなる。    湯沢スキー場


 やがて道は勾配が増し、岩がごろごろし始めると、沢のドンずまりのような残雪の壁に突き当たる。これを右に巻いて尾根に抜けると少しずつ展望が良くなる。コイワカガミはたくさん咲いているが、お目当てのイワウチワは咲いていない。ちょっと遅かったかなあ。でも葉っぱも無いよ。


 
 スラブ状の岩壁、谷は深い。    ミツバツツジ


 やがてスラブ状の岩壁のふちを登る。谷底までさえぎるものは無いからちょっと怖い。かわいらしミツバツツジがたくさん咲いている。 坂戸山にも似たツツジが咲いていて人に聞いてムラサキヤシオたどばかり思っていたら、先日トラベエさんが坂戸山へ行ったブログを拝見したら、ユキグニミツバツツジと書いてある。気になって坂戸山を検索してみたら、ユキグニミツバツツジが正解らしい。ここのもユキグニミツバツツジだと思われるが、厳密に見分ける能力は無いので、三枚の葉をもったツツジということで以下ミツバツツジと書かせてもらった。


負欠岩(おいかけいわ) 負欠岩の下を巻く


 やがて負欠岩の真下に出る。ファインダーに入りきれないほど大きい。長いロープで横を巻く。


テニスコートの駐車場が見える
国道17号から林道への入り口まで見える
対岸の鋸尾根と苗場山


 負欠岩を越えると勾配はさらに急になり気が抜けない。湯沢側の展望がよくなり、向かいの鋸尾根も迫力を増す。 


イワウチワ スラブを登る


 イワウチワがやっと顔を出した。それまでもいくつかは痛んだ花があったが、何とか写真写りのよさそうな花が一輪咲いていた。 


やせ尾根 シャクナゲ


 タムシバやシャクナゲがちょうど見頃のようである。勾配が少し緩んでくると西峰の山頂が近い。 


シャクナゲ



 


   
西岳山頂:尾根コースへの分岐   西岳山頂


 西峰の山頂はそれほど広くない。緊張した急登から解放されて一息つく。尾根コースへの下り口を確認。 


 
タムシバ   飯士山山頂部


 西峰から一旦下って飯士山山頂へ登り返す。やせた尾根や、ロープに頼る急登もある。タムシバ、シャクナゲの多い楽しい登りである。イワウチワもあちこちに増えてくるが、登山道を外さずに写真に撮れる花は少ない。


 
飯士山山頂の石仏   飯士山山頂


  登りついた山頂にはまだ残雪があり、三体の石仏が出迎えてくれた。道標と山名表示が有るが、灌木を分けて南側に真の山頂が有る。360度大展望の気持ちのいい山頂である。山名を書いた標柱と三角点が有る。一通り展望を楽しみ山頂を独占して昼食。


山頂の展望 
 


   
八海山・金城山    


  巻機山


 
岩原スキー場と谷川連峰   関越自動車道と谷川連峰


 山頂から見下ろす鋸尾根
(危険らしい。) 
 



 


 
 イワウチワ   イワウチワ


  山頂でもシャクナゲ、タムシバ、イワウチワ、イワナシなどが咲いている。


 
 イワナシ    タムシバ


  尾根コースの下り   


 
山頂から見た西峰     西峰まで来た道を下る。


  下りは西峰まで来た道をもどり西峰の山頂から標柱の案内に従って尾根コースを下る。


 
 急降下    イワウチワ


  西峰からは急降下に次ぐ急降下でぐんぐん下る。灌木に囲まれているのであまり恐怖感は無いが、弱った足腰が悲鳴を上げる。こちらの尾根コースはイワウチワが多い。下の負欠岩コースとの合流点近くまで、むらはあるにしてもずっと咲いていたから、登山口から山頂までずっとイワウチワが咲いていた、と言うのもあながち嘘ではない。(多少大袈裟としても、また時期や当たりはずれもあるだろうから)


   負欠岩とほぼ同じ高さまで下ると杉のような大木が有る。急降下も一段落、ミツバツツジも咲いていて、休憩にちょうどいいところである。
 大杉とミツバツツジ、同じ高さに負欠岩が見える。    


 さらに急降下は続くが、少しずつ楽になる。  
     ミツバツツジ


 
 負欠岩とタムシバ    ナガハシスミレ
(テングスミレ)


  やがて道は少しずつ右に巻き気味に下り、デブリの沢を渡り、消えかけの雪渓の残る沢をこわごわ渡る。さらに下ると道標が出てきてホッとする。デブリや雪渓の上以外は登山道ははっきりしているが、見通しの悪い林の中を歩いて沢を二本も渡ると、自分の頭の中のイメージとずれてきて、何処へ連れて行かれるか不安になって来る。


 
 デブリの沢    雪渓の残る沢


  さらに雑木の林の中の深い沢を渡る。ここも対岸に道が見えず不安になるが渡ってみると崖を登るかすかな踏み跡が有った。さらにイワウチワの中を歩くと、負欠岩コースの分岐点に戻ることができた。イワウチワは尾根コースに圧倒的に多い。


 
登山口近くからあったイワウチワ    キクザキイチゲ


 飯士山、標高差550m、直線距離で登山口から山頂まで1kmの山と言えば、赤城の鍋割山へ獅子が鼻コースか、不動明王コースで登るのと変わらない(と言うことは平均斜度も変わらない)。山頂の標高はむしろ鍋割山のほうが200m以上も高い。しかし実際登ってみると、飯士山はなんでこんなに険しいんだろうと思うほど険しく感じる。初めての山と言うこともあるかもしれない。豪雪地帯が作り上げた滑り台みたいなスラブの岩壁や深い谷の迫力に気おされたのかも知れない。しかしショートコースなのに久しぶりに山へ登ったという感じがした(やっぱり歳かなあ)。その上、山の花も多く展望もいい。飯士山は濃くていい山である。




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