06.07.04(TUE) 谷川岳(天神尾根) 谷川岳


 コース:天神峠8:45→熊穴沢避難小屋9:30→天狗の留まり場10:10→肩の小屋11:00→山頂(トマの耳)11:10-11:45→肩の小屋12:00-12:10→熊穴沢避難小屋13:25→天神平14:10 (所要時間5時間25分)

 架け替えられた新しい谷川岳ロープウエイに初めて乗った。駐車ビルからロープウエイ駅まで広い回廊で結ばれ、安全で楽になった。ゴンドラも倍以上大きくなったが、梅雨の晴れ間の、この日の利用率は低く、空のゴンドラが多かった。
白毛門までは見えるが、笠ヶ岳、
朝日岳は(谷川岳も)終日雲がとれなかった。


 山らしい山の風景に出会いたいと思ったら、前橋に住んでいると一番手軽なのはやはり谷川岳である。架け替えられたと言う新しいロープウエイにもまだ乗っていないし、鬱陶しい梅雨の気分を振り払おうと久し振りに早起きして出掛けることにした。


 谷川岳ロープウエイの土合口駅は、駐車場も、真新しいロープウエイ駅もがらがら、広いゴンドラは二人で占有するには少し贅沢で落ち着かない。前の小さいゴンドラが懐かしい。古いロープウエイの設備はほとんど完璧に片付けられて、残骸が目に付くようなことはなかった。
 ロープウエイとリフトを乗り継いで天神峠へ。谷川岳は頭が雲の中でちょっとがっかり。峠に居た人は”今日はそのうち晴れるでしょう”と先に出発して行った。
 そのうち晴れるなら急がない方がいいか、我々は谷川岳に背を向けて天神山の展望台の方へ出てみた。スキーに来る人は当然こちら側にも出るのだろうが、谷川岳に登りに来ると、つい山へ直接向ってしまって、こちら側へ出たのは初めてだ。関東平野側は晴れていて展望は素晴らしい。正面に濃い緑の三峰山、その背後に赤城山が見えた。
架け替えられたロープウエイ


天神峠の天神様(天満宮) 谷川岳は雲の中


 展望台の手前に真新しい石の鳥居が三つ並んでいて、天満宮が祭ってある。となれば祠の中の坐像は天神様、菅原道真公だろう。水が出ているが天然のものかどうかは分からない。”ああ天神様が祭ってあるから天神尾根って言うんだ”これは分かりやすい。ところがそんなに単純ではないらしい。右手に「諸天善神嶽(中院)の由来」を書いた看板が立っている。この文面はちょっと分かりにくい。逆に日本人の宗教との係わり、歴史が透けて見える。この由来は古いものを転載した形になっているが、確かに地元の神社からこの文面を由来書として渡されても、分かりやすい現代語に翻訳するのは不可能だよね。ちなみにこの看板に建立者の名前はない。昔、この由来を代々書き継いだ人たちの気持は、行政改革の波に洗われながら、何とか自分や仲間達の権益を守ろうと、必死に法律を書いている、今のお役人の気持に通じるものが有るのかもしれない。時間のある方はこの看板を眺めて、頼るものは神仏しかなかった時代に思いを馳せるのも一興である。今でも頼むものはお上(神)だけで当たり前と思っている人も多いらしいから、大して変わってないのかな。看板には文字通り一線を画して分かりやすい説明もある。西暦1000年代の皇栄通宝、1100年代の政和通宝、1700年代の寛永文銭、寛永無背銭などの古銭が発掘されたそうだから、信仰登山の歴史は古い。


タニウツギ イワシモツケ


ウラジロヨウラク アカモノ


  天神峠からの展望を楽しんだ後は谷川岳の雲が晴れることを祈りながら、夫婦でいたわり合って?天神尾根をゆっくり登る。駐車場やロープウエイが空いていた割りには登る人が沢山居て、何人もの人達に追い越された。ウイークディなのに結構優しい若い人のグループが多く、労わられてしまった。今、タニウツギの赤い花が盛りのようである。ゴゼンタチバナやマイズルソウなど地味で小さな花が多い。山頂直下の雪渓の消えた裸地にはショウジョウバカマの、もう伸びきった花茎が何本も揺れている。雪渓を越えるとすぐ肩の小屋で、道の周辺にはミヤマキンポウゲが黄色く光っていた。


山頂直下の雪渓 山頂(トマの耳


 残念ながら山頂に着いても雲は消えず、トマの耳からオキの耳さえ見えず展望はまったくなかった。雨にもならず空気も乾いていたのは、まあ幸いと言うべきだろう。山頂はかなりの登山者で賑わっていて、山頂の標柱も新しいものに変わっていた。山頂を少し外して食事にしたが、その岩の下にオノエランが一株咲きかけていた。


カメラ目線のオコジョ
かなり人に慣れているのかな?
山頂付近のヨツバシオガマ


 帰りに肩の小屋でトイレを借りたら前庭でオコジョに出会った。そのときの様子は「ときタマ日記」に書いたので再録はしないが、人馴れしているのか大して人を恐れず、前庭の石積みでネズミを探し回っていた。案外何時も此処に居るのかもしれない。


ノビネチドリ シラネアオイ


 シラネアオイを探しながら歩いたが途中では見つけることが出来ず、天神平まで下ってきたらスキー場の斜面の真ん中に、一株だけ見事な株が花を沢山付けているのを見つけた。近くまで行ってみたかったがやめた。あの切り崩された斜面の、そこに咲いていることを知っているだけで充分だ。



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