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養護学校実践 どの子も回せるフラフープ指導法

TOSS茨城ML  河村要和

見本を見せ,挑戦させてみたが,「まわす」ということが掴めず,やろうとするが,すぐに手を離し,その場にフラフープを落としてしまう。そのような児童にフラフープをマスターさせるステップ指導の方法である。

 

―――――――――― 第1段階 腰の周りでフラフープを回転させる ―――――――――――

 

ステップ1 教師が鏡になり,何回も見本を見せる。

☆児童と向かい合って指導するので,教師は鏡の動きをしなければならない。

 

ステップ2 腕の振りを教える。

 

指示1 腕をぶん投げなさい!

教師が大きく腕を振る動作で手本を見せながら指示する。

 

☆フラフープを回しなさいといくら言っても,回すということはなかなかつかめない。まず,そこには腕の振りが必要である。その動作をつかませる言葉である。

 

指示2 体をねじりなさい。

教師が大きく体をよじる動作で手本を見せながら指示する。

 

☆腕の振りにさらに体の回転を加えることで,フラフープが一段とよく回る。そのための言葉かけ

である。

 

ステップ3 やらせてみて,誉める。

  指示1を伝えて何回かチャレンジさせ,少しでもできたら、「うまい!」「すごい!」と誉める。

 かなりできてきたところで,指示2を伝えて再度チャレンジさせ,さらに「うまい!」「すごい!」と誉める。

 

このステップ1.2.3で,休み時間の間に,かなりフラフープが体の周りで回転するようになった。次は腰を前後に振って,回転を持続させる指導である。

 

            別な児童に,

指示3 体も一緒に回してごらん。

 というと,体を一回転させ,フラフープもよく回った。

 

☆ただし,この動きにいってしまうと,体を前後に振って回す動きにつなげるのは難しくなる。

これはこれで集結と思って取り組ませるのもよいかもしれない。

 

―――――――― 第2段階 腰を振ってフラフープをより多く回転させる ―――――――

 

生活年齢が8〜9歳に達していても,精神発達年齢が4〜5歳の場合,また自閉的な傾向などを併せ持つと,「腰も一緒に回しなさい。」といっても体は動かない。まず腰の動きを身につけてから,フラフープを使ってやってみるということが必要である。

 

ステップ1 立ったまま腰を前後に動かす「おなかを出す,引っ込める」練習をする。

指示1 おなかを前に出す,引っ込める,と動かしてみましょう。

☆ まずはゆっくり行う。教師が児童の前に立って見本を見せながら一緒に行う。できたら「うまい!」と誉める。

 

ステップ2 両手を上に挙げ,「1・2・1・2」と振る練習をする。

指示2 「1・2・1・2」とおなかを出したり引っ込めたりしてみましょう。

☆ 早く行う。両手を挙げることで,腰の高い位置でフラフープが回せるようになり,腰の回転で回す動きにつなげることができる。

 

ステップ3 フラフープで実際にやってみる。

○ これだけではフラフープを回しながら腰を回すことにはなかなかつながらないが,まずは第1歩である。

 

ステップ4 腰を右,左に振る練習をする。

指示3 「1・2・1・2」おなかを横に振りましょう。

☆ 敏捷性のある児童は,これでかなり動きをつかむことができた。フラフープを実際に回し,腰を左右に振ると勢いよく回すことができた。

 

ステップ5 腰を回す練習をする。

指示4 腰をぐるぐる回しましょう。

☆ 教師が児童の前に立って見本を見せながら一緒に行う。できたら「うまい!」と誉める。

 

 12月から2月までの3ヶ月の指導

○第1段階はかなりの確立で,その場ですぐにできた。(腰の周りで2〜3回転)

○一人の児童は腰を左右に振って回せるようになった。(腰の周りで5〜6回転)

○特に指導した一人の児童は,第1段階は1日でできたが,第2段階はまだ未だ練習中である。

しかし,変化として次の様子が見られた。

 

1.からだの柔らかな動きを身につけた。

@取り組み初め・・・腰を前と後ろに動かすこともかなりゆっくりでないとできなかった。

A2ヵ月後・・・・・その場で腰をぐるぐる回せるようになった。

(これまで体が硬く,組み合わさった動きができなかった)

 

2.意欲と自信をつけた。

 @うまくできないとすぐにやめてしまうところがあったが,「回せた。」という体験が持続力のある意欲を生んだ。(冬休みに家庭で買ってもらっていた。)

 A小学部の発表会の自由参加で,発表ができた。

  「発表する?」とうきくと,「やる。」とすぐに答えた。