keyword
──きぃわぁど──

   

太る恋愛─女と女のある日の会話


 「真由、そのオレンジのシフォンケーキ食べないのぉ? 食べなきゃ、私が食べちゃうわよ〜」

 「えっ? あ、うん…」

 「ちょっとォ〜 真由は食が細いよォ。もっと食べて胸だって大きくしなさいって」

 「くっ、言ってくれるわねぇ。でも、甘いものも男もちょっとでいいわ。はまったら最後、抜け出すのに苦労するもの」

 「はははっ! 言うねぇ〜」

 「でもさ、珠代もいい加減、食べるのやめたら? 胸の谷間は羨ましいけど、二の腕なんてぷるぷるでしょ?」

 「あ、いいのいいの。彼氏が『やせろやせろ!』ってうるさいったらありゃしなくて、この間、別れたばっかりだっしィ」

 「ふぅん。別れたんだ…始めは、あんなに『突然炎のごとく』だったのにね」

 「まっね。エッチしちゃうとなんか、もう、いいやって思っちゃうんだよね〜」

 「やだ。それって、男のひとのセリフじゃないの〜?」

 「だってさ、初エッチに備えてダイエットしたり、イソイソと脱毛したり、PJなんかのセクシー&ガーリーな下着を上下オソロで揃えたりするけどさ、最初だけよ、気ィ張ってんの」

 「え、そんなの自分の愉しみの為にやれば良いんじゃないの?? ま、私もナルシー入ってるけどね」

 「キャハ。真由はその体型通り、ご思想が続くけど、私なんてダメダメ。あっという間にスカートのフックなんて飛んじゃうわよっ!」

 「やだ、珠代ったら、使用前使用後でそんなに変わっちゃうの〜?」

 「当ったり前じゃないの。初エッチ前の意気込みは、その男にどれだけ惚れているかで変わるのよ。
 でもさ、アレしちゃうと、あっけなく萎えちゃうんだよねぇ…」

 「ぷっ。何よ、それ。何だか枯れた匂いが漂ってる…」

 「う、真由はないのォ〜?」

 「うーん…失望したことは確かに、ある…」

 「ほうら、やっぱりぃ〜!」

 「でも、私、お腹は緩まないわ。心は淋しくなるけど、ね」

 「あら、『淋しい女は太る』そうだけどォ?」

 「あはっ、私は淋しいと食べらんないのよ。乙女のように胸がいっぱいになって弾けそうなくらい…うふふ。
 ずうっと昔にさ、そんなタイトルの本、あったけど、あれ、書いたのオヤジでしょ? 適切なはずないわね」

 「あははは。そっね! あ、でも、私は淋しいときも満たされてるときも、おんなじくらい食べちゃう〜!」

 「一度、身を焦がすような恋愛してみなさいな。本当にジリジリと、ザクザクと身が削げるわよ」

 「いいわ、そんなのォ。私、真由みたいな濃厚なの、いらなぁ〜い。それよか寝っ転がって雑誌読んで、ドラマ観て、女友だち誘ってホテルのケーキバイキングにでも行ってる方が気楽〜♪ 
 だって、オナカがはち切れそうになったら、遠慮なくスカートのフックやボタン外せるしねっ! これぞ女同士の醍醐味ってヤツ!!」

 「あらあら。身も心もゆるゆるじゃない? 同性同士の方が案外チェックが厳し…」

 「あはっ! ま、こんな女でも良いよ〜って言ってくれる男がいたら、別だっけどォ?」

 「…ま、いっか。なんか珠代らしい…お手軽で楽な恋愛は『太る』だけよ」

 「はいはい、真由センセイ。ケーキ追加しよっかなぁ…今度はブルーベリーのタルトね♪」

 

 

 

 

──2005.6.8
  

  

home

/

back

 

 

 

 


 ** image (c) 摩有 **
全ての内容、画像・文章等の無断転載、複製、使用を堅く禁じます。
Copyright (C) Mayu.All Rights Reserved.