ちょっと待ってよその合併!

法定の「合併協議会」に移る前に
市民の声を聞くべきです

なぜ合併なのか? の議論なし

 この四月からはじまった相模原市と津久井三町との(任意)合併協議会が、九月で事実上終わりました。
 協講会がこの間議論してきたことは、新市の名称、合併の時期や方式、合併後の事務事業の取扱いなど、「合併した場合の取り決め」だけ。なぜ合併しなければならないのか、合併すると何がよくなるのか、といった問題は何一つ議論されないまま、「まちづくり将来ビジョン(素案)」(合併後どういう町にするのか)や「財政シュミレーション(新市の財政状況はどうなるか)が提示されましたが、協議会での審議はおざなりでたった十数分。これで「審議すべきことはすべて終わった」といい、「法定協議会」へ移行、来年三月には合併を決めようとしています。
 さて、今回市が行った財政シュミレーションは何を示しているでしょうか?

「共に栄える」って本当なの?

大赤字を生むのは実は相模原市

 小川市長が言う合併の理由は、「(財政難の津久井三町から合併の申入れがあった。首都圏南西部唯一の中核都市として責任がある。これからは、個々の自治体だけでなく共に栄えるという考えが必要」.「相模原の都市機能と津久井の水とみどりが一体となれぱ、表情豊かな都市になる」ということくらいです。しかし、相模原市は「津久井を助ける」ほどゆたかではありません(下記のグラフ@参照)。合併後、新しい市に最も多くの収入不足(赤字)を持ち込むことになるのは、実は相模原市です。

「合併で黒字」というけどホント?

 下記グラフAのように、財政シュミレーションでは「合併しないと各市町とも赤字だが、合併した場合は黒宇になる」としています。津久井三町の地方交付税の増額や合併特例債など、若干の歳入増はありますが、「黒宇」の要因は歳出の物件費や補助費等の大幅減額を見込んでいることです。補助費は各種団体に対する補助金などで、今後十四年間でなんと約二〇億円(初年度の四分の一)の減額をみこんでいます。物件費では約四〇億円の減額。その通りに案施されれぱ、市民・各団体は大変な打撃です。そうでないなら、「作られた黒字」ということになります。

合併で「黒字」のからくり

「投資的経費を抑え」黒字に見せかけ

 シュミレーションでは、投資的経費(道路や施設の建設費など)を、今後14年間『平成11〜15年度で一番小きい額」で推移するとしています。合併すれば、「合併特例債」を利用できるといっていながらそれを含めてこの10年間の実績のなかで最少額に抑え続けるというのです。一方、「まちづくり将来ピジョン」(素案)では沢山の大型開発が計画されています(下記)。その財源は、どうするのでしょうか? 
 ここにも、「作られた黒字」のカラクリが。
 市は、本当に投資的経費を抑えるのでしょうか。

「まちづくりプラン」など相模原での大型開発ずらり

●相模大野北口西側再開発
●小田急相模原駅周辺市街地開発
●リニア中央新幹線の市内駅設置
●麻溝台・新磯野地区区画整理事業
●橋本地区建物整備事業(高層マンション建設)
●大山町工場跡地の都市再生事業
●さがみ縦貫道・津久井広域
●相模原インターチェンジ周辺地区整備

……など


「100年先を見据えた大事業」どころか
このままの合併は

相模原・津久井 破綻のシナリオ

面積約3倍化で

新市の行政サービス低下は明らか

 津久井郡の人口は、相模原市六二万人に対して七万に過ぎませんが、相模原市を上回る広い面積の中に分布しています。そのため、県はこれまで津久井に保健所、福祉事務所、土木事務所などを入口対比で相模原市よりはるかに「厚く」配置してきました。合併すれば、津久井にある県の保健所、福祉事務所はなくなり、土木・県税事務所、行政センターもなくなる可能性があります。
 保健所は北部、土木事務所、県税事務所は南部にあり、相模原市民の中にさえ不便という声があるのに、相模原市にこなければ用が足せない津久井町民にとってはなおさらです。
 その上、これらの事務所は限られた人員・予算で、津久井を含めた広大な地域をカパーすることになり、行政サービスは低下せざるを得ません。

県保健所と市保健所の04年度の監視計画の比較

保健所が県から相模原市に移管(2000年)で、監視行政がこんなに後退

(1)立ち入り検査実施回数

(2)収去検査(検体を持ち帰っての検査)

「政令指定都市」化は財政破綻につながる無謀な夢

市長は「合併は政令指定都市化へのステップ」と言っています。それが小川市長の、今回の合併にかける本当の「夢」なのかも知れません。しかし、政令指定都市になれば、たとえぱ、土木事務所や児童相談所も市が設置しなければなりません。国道、県道の維持・管理の費用は市も負担することになります(「津久井広域道路」の建設もそうです)。仕事は増えるが財源はついてこないのが政令指定都市の現実で、政令市はどこも赤字です。

「来年3月まで」の駆け込みは止め
合併の是非は住民投票で

 相模原市は、合併について、一度も市民の意見を聞いたことがありません。いま、市(合併協議会)がやるといっている「市民アンケート」も、合併の是非について市民の意見を聴くものではありません。「シンポジウム」でも一般市民が発言する場は、設けられていません。
 いま、市が無理を承知で、何が何でも「来年三月まで」と急いでいるのは「合併特例債」を借りられる期限に間に合わせるためです。
 市は一気に「法定協議会」に移行しようとしていますが来年一月には市長選挙もあり、審議期間はほぼ一ヶ月。
 この協議会で審議するほずの「新市建設計画」も、この短期間では実のある審議はできません。「五〇年、一〇〇年先を見据えた大事業」(市長)であるはずの合併が、こんなドタパタで決められていいはずはありません。少なくとも住民投票が必要です。

● 学習・討論集会 ●
第二回

これでいいのか
相模原・津久井の合併

誰でも自由に参加できます

11月27日(土)午後1時
けやき会館(大樹の間) 資料代300円
講演:遠藤 兵氏(名古屋大学法学部教員)

主催:津久井との合併を考える相模原市民懇談会


 以上の文章・資料は「津久井との合併を考える相模原市民懇談会」発行の、『合併問題市民懇ニュース』から転載しました。(無許可で)

「津久井との合併を考える相模原市民懇談会」の連絡先は
相模地域労働組合総連合 内
相模原市中央2-4-10 (神奈川土建組合会館 1F)