それにしても、まだ近隣には、土砂崩れのために道路が塞がれ、とりあえず片側交互通行だけでもできるようにしている場所だって幾つもあるのに、毎年のように災害を起こすような雨が降られたら、道路を修理する早さよりも壊される早さの方が勝ってしまうのではないか。近年の災害の多さは、そんな危惧を抱かせる。
理想を語れば、災害に遭ってもそれほど被害を受けないような世の中を、計画的に作っていくべきなんだろうけれど、実際には、そううまくいかないかもしれない。
災害に強い世の中を計画する前の段階から、次々と災害に弱い地域が被災し、復旧しようとしても復旧の途上でまた被災し、やがて復旧を断念して放棄されるかもしれない。
最悪は、災害に強い世の中を作ると言うよりも、たまたま災害に強い所にあった町だけが残る、という形だろうか。
一つ希望と言うか、有利な点があるとしたら、たぶんこれからは町作りの難しさが、20世紀の時代よりも楽なんじゃないかな、という点。
20世紀は、とにかく大都市に人口が流入し、本来は危険があって人が住むには不向きな所にだって、無理して住居を作ってきた。大きな川のそばだって、堤防を作れば大丈夫とばかりに、家でもビルでも建てた。これでは災害に強い町にするのは最初から難しい。
でも最近は、在宅勤務も徐々に浸透して来て、何も一極集中の町作りをしなくても良さそうな雰囲気になってきた。住宅地の分散化が可能になれば、何も災害に対して弱い所に無理して住む必要は無くなって来る。