緑も鳥も魚も昆虫も
藤野の川でつながっている

第2回 川上川
みんなで
生き物調査

2002年 6月8日(土)

 この日、去年の12月9日に続く、川上川の第二回目の水棲生物調査が行われました。幸い、暑いくらいの好天に恵まれました。雨では川の水量が多くて調査は出来なくなってしまいます。
 参加者は、相模湖カントリークラブ前の川上橋近くに朝9時半に集合。市民ネットワーク藤野のメンバーや、今日のイベントに興味を持って参加してくれた方々など、前回同様、十数人の参加者が集まりました。

 前回も指導して頂いた篠田授樹さんが、この日も来て頂いて指導してくれます。今回は市民ネットワーク藤野の方で網やバット、ピンセットを用意しました。特にこの網には篠田先生も気にいったようでした。

 まず川上橋から川に降りて最初の調査地点です。始めに川の中に25センチ四方の正方形の枠を沈めて、その枠のすぐ下流に網を置き、その網に枠の中の石や砂を入れていきます。二回目とあって、参加者もだいぶ手際よく作業ができるようになっています。集めた石や砂や、濡れた落ち葉などを、バットの中にあけて、その中からピンセットで虫を一匹一匹採取していきます。採取した生物はエタノールを入れたフィルムケースに入れていきます。


 作業の途中で篠田先生が川沿いにある水たまりに案内して講議してくれました。水たまりには沢山のオタマジャクシが群れています。先生は水たまりに沈む落ち葉をかき分けて、一匹の虫を捕まえました。

『オニヤンマのヤゴです。ここのオタマジャクシを食べているのでしょう。』
『このような水たまりは、川が増水した時だけ川の水が流れ込み、それ以外の時は孤立します。』
『川の生態系は、川の流れている部分だけではありません。このような水たまりにも、水たまりによって支えられている生物がいます。』

 続いて車に分乗して次の調査地点に向かいます。ここは大羽根橋の近くで、前回の調査の時にはまだ事業が開始されていなかった残土処分場が事業を開始していました。ロープを使って急斜面を降りて行きます。


 残土処分場からの支流には、水が全く流れていない事が気になりました。3日前には激しい雷雨があったのですが。木々の繁る山と違い地面がむき出しの残土処分場は、雨の時は一気に水が流れ去り、雨があがると水を全然流さない山になるのでしょうか。ここの調査地点ではあまり生物が見つかりませんでした。先生も
『水棲生物が殆ど見つからない場所は、日頃、水が流れていない可能性がある。』と言ってました。

 

最後の調査地点(県立芸術の家から降りた所)に行って、川沿いの木陰で昼食にしました。魚が沢山泳いでいます。ここで篠田先生は前回の冬の調査から得た、この川の印象について話しました。
『川の生物には、様々な役割を負った種類があります。例えば川に葉っぱが落ちた場合、その葉っぱをばらばらに切り刻む種類の生物を『シュレッダー』と言います。ついで、『コレクター』という種類の生物がいます。これらは『シュレッダー』によって切り刻まれた葉っぱのなかで、決まった大きさの破片を集めて食料にします。

 前回の調査で特に注目していたのは『コレクター』です。これらは網を作って葉っぱの破片を集める為に、残土処分場が出来た場合に、もっとも影響を受けやすいのです。残土処分場が出来て、濁流がたびたび発生するようになると、網が維持できなくなるからです。
 実際に、『コレクター』の減少は顕著に見られましたが、これがすぐに残土処分場の責任とまでは言えません。「影響が考えられる」といった程度です。

 ほかに『スクレイパー』という種類の生物群がいます。これらは、フライパンにこびり着いた食べ物をへらでこそぎ取る様に、岩についた藻を食べる生物です。更に、今まで述べたような生物を補食する肉食の生物を『プレデタ−』といいます。』

 この調査地点では、どじょうを見つけたり、『オオアメンボ』を捕まえたりもしました。『けっこう珍しいんですよ。』そう言って篠田先生はオオアメンボを標本にしました。岩に茶褐色の藻が沢山付いていたのもこの地点です。
『藻は生活雑廃水に含まれるリンなどを吸収し、富栄養化した水質を浄化する働きを持っています。しかし、藻が増え過ぎると津久井湖のアオコのように、それ自体が水質汚染の原因になります。』
『ここには、こんなに藻があるのに、なんで「スクレイパー」が食べてくれないのでしょう?』
この質問には、篠田先生も判らないとのことでした。ただ
『川には、そこに棲息可能な生物量の上限は決まっています。たとえ藻が沢山あっても、何らかの要素が「スクレイパー」の増加を許さないのいでしょう。』と付け加えました。

 3時頃、調査は無事終了し、芸術の家で解散になりました。
調査の結果は7月ごろに出ると言う事です。