以下の文章は、先日1月31日にポストに投函されていたチラシの全文です。この後に、私なりの、このチラシの主張に対する疑問点や感想を続けます。

表面

町民の皆様に訴えます

ふじの行政を考える会は
一市四町の合併を真剣に考え推進しています。


合併を推進する主な理由

@安全,安心な町づくりのため
 単独町政では財政は早期に破綻,ゴミ処理,消防,救急をはじめ住民への行政サービスは低下します。合併によって安全、安心な町づくりが実現できます。

A住み慣れた藤野町を守るため
 合併後も「地域自治区」が設置され、地域協議会を通じて住民の意見は充分反映されます、現在の「町役場」は自治区の「総合的な事務所」として住民サービスの提供機能,町づくり支援機能,戸籍,住民登録など身近なサービスの拠点として残ります。合併に反対する人達は藤野が消滅する、といいますが、合併することで逆に地域は活性化されます。

B安心の子育て,福祉の充実のため
 1市4町と合併することにより高度な子育て支援策として保育料の引き下げや幼稚園入園奨励金の上乗せ、小児医療費の支給対象年齢引き上げで行政サービスが充実し、高齢者在宅福祉では家族介護慰労金など更に重度身体障害者福祉手当、等々の充実した福祉施策を受けることが出来ます。

地域自治区の役割と機能

 合併することによる地域の疎外感から、役場が遠くなる、と口にする人がいますが、合併反対の口実に過ぎません、藤野町は合併後も「地域自治区」として、住居表示も従来通り「藤野町」と言う名前が残ります。地域自治区の下には住民の意見を行政に反映できる「地域協議会」が置かれ、現在の役場及び支所は「総合的な事務所」として従来と同じ行政サービスを継続して行います。地域自治区設置期間は合併後5年間とし、この間「新市」において都市内分権のあリ方を研究し、実施に移すこととなります。(裏面もご覧下さい)

裏面

総合的な事務所(現在の藤野町役場及び支所)のサービス、

○住民サービス提供機能
福祉,環境保全,道路、上下水道の維持管理
小中学校の管理など
○身近なサービス機能
戸籍,住民登録,印鑑登録、国民健康保険
,税収事務など
○町づくり支援機能
地域防災活動の推進,地域産業の振興地域の歴史,文化の保存など
○地域協議会の庶務

藤野町,市町村合併推進協議会での検討が終了しました。

 町は昨年8月の臨時議会での「1市4町合併決議」を受けて「相模原津久井地域合併協議会」で決定された協議事項について藤野町としての考えをまとめるため「藤野町市町村合併推進協議会」を設置し検討を重ね、1月11目の「推進協議会」をもって全ての検討事項が承認されています。推進協の構成は町広報でご承知の通り議会議員の代表をはじめ、商工会,観光協会,自治会、女性代表等、町内各界からの代表で検討がなされました。


合併阻止は私利私欲のためなの?

 最近、一部のグループや議会の責任ある議員が合併阻止の動きをしています。12月に行なわれた相模湖町の合併反対集会には藤野町議会議員教名が反対の立場で参加しています、町の議会では「1市4町の合併決議」に手を上げながら、町民の知らないところでは反対集会に参加する、これが藤野町議会の多くの議員の姿です。こんな動きの裏には津久井郡選出の県会議員が暗躍し、町議会議員を操っています、合併すれば「津久井と言う選挙地盤」が失われると考え合併を阻止しようと活動している県会議員や、藤野町を残して次の町長を狙っている議員、広域行政組合を解散させて事業を拡大したい議員、みんな私利私欲の発想です。津久井選出の県議は自分の後援会の新年会で「私は政治が天職であると思っておりますし、政治以外の職業は持っておりません」と公言しましたが、果たして本当でしょうか、耳を疑います。

市町村合併に関する町民説明会に参加しましょう
藤野町市町村合併推進協議会の検討結果「最終報告」説明会に参加し、正しい情報をつかんでください。
2月6日
9時30分-11時30分佐野川児童館2階集会室
13時30分-15時30分農村環境改書センター(牧野支所)3階多目的ホール
17時30分-19時30分役場本庁舎3階会議室

ふじの行政を考える会代表 倉田茂(Tel 042-787-●●●●)


単独町政では財政は早期に破綻

 私の認識では、藤野町の財政はそれほど危機的ではないようです。確かに藤野町の財政力指数は、神奈川県で最下位レベルですが、これは神奈川県自体が、全国的に見て財政力指数が高い地域なので、こんな結果が出てしまいます。藤野町がテストで70点とっても、他の市町村が80点をとれば、藤野が最下位になる理屈ですね。ちなみに藤野町の財政力指数(0.478)は、全国平均(0.40)よりも上です。

 考えてみれば、藤野町は山村とはいえ、都心への通勤圏でもあります。それなりに税収もあり、今後の行政改革を行えば、単独自立も可能なだけの余力は充分あると私は思っています。

 藤野町が公債費負担比率の低い自治体である事も強調しておきましょう。これは、家計で言えば、給料の収入の内、どの程度の割合が借金の返済に使われているかを表す数字です。(藤野町はこの数字が9%で神奈川県では10番目に良い数字。全国平均は17.3%)
 藤野町は借金に関しては、非常に身軽な自治体です。

 これだけの好材量があるにもかかわらず、『行政改革しよう』とは考えないで『単独町政では財政は早期に破綻』と言い切るのは、諦めが良過ぎるのではないでしょうか。

 そもそも、全国平均よりも良好な財政力を持った自治体が、次々と破綻するような事がありうるのでしょうか。あっていいのでしょうか。これは藤野町の問題と言うよりも日本全体の問題です。

ゴミ処理,消防,救急をはじめ住民への行政サービスは低下します

 これは、合併するしないに関わらず、『あってはならない事』であって、『合併すれば大丈夫』とか『合併しなければダメになる』という問題ではありません。合併しなかったら、火事が起きても消防が来てくれなくなると言うのでしょうか。
 合併は住民を幸福にする手段の一つです。ですから、『合併すれば、ゴミ処理,消防,救急をはじめ住民への行政サービスは、このように(具体的に)向上します』という言い方なら私にも納得出来るんです。しかし、これでは『合併以外に、藤野に未来は無い』と思わせる脅迫に近い乱暴で強引な論理です。こんな言い方をされたら、誰だって考えも無く合併賛成派になるでしょう。
 それに、脅迫しようと思えば、『合併したら、行政サービスは低下する』という言い方も可能です。例えば、この冬は藤野町でもかなり雪が降り、そのたびに除雪車が出動しました。相模原市と合併した場合、相模原市は藤野町の積雪事情をちゃんと認識して行動してくれるでしょうか。

合併後も「地域自治区」が設置され、地域協議会を通じて住民の意見は充分反映されます。・・・合併することで逆に地域は活性化されます。

 このチラシの後半の文章で「ふじの行政を考える会自身が認める通り、地域自治区の設置期間は5年で終わりです。それにこの文章は『合併ありき』の論理です。「地域自治区」と言った組織に期待するくらいなら、『自治』がしたいのなら、藤野町を単独自立が可能なレベルに財政を改革したほうが、手段としては直接的で、実行力も期待出来ます。
 この文章には、藤野町が合併せずに単独で地域を活性化するより、相模原市に合併して地域自治区で地域を活性化する方が有利だ、とする根拠が書かれてありません。
 私はむしろ、真に活性化したければ、合併は有利だとは思えません。

安心の子育て,福祉の充実のため

 相模原市が藤野町よりも子育て支援や福祉事業で充実しているのは事実です。しかし、はたして人口の密集している相模原市と同じサービスを津久井郡で実現できるのでしょうか。同じ手法が使えるのでしょうか。
 津久井郡は、相模原市の3倍を超える面積がありながら(そのほとんどが山地です)、そこに住む人口は相模原市の10分の1です。
 子育て支援や介護と言った福祉事業は、金をばらまけば良いと言うものではありません。地元に密着した、サービスを受ける側と与える側の『顔の見える』行政である必要があります。果たして、自治体の単位が広大になる事が、福祉にとって好結果に結びつくのでしょうか。

 藤野町は子育て支援のよう福祉事業に関しては、今まで冷淡でした。学校給食も遅まきながら一部で近年始まったばかりですし、学童保育も同様でした。この現象は、私が思うには、女性は家で子育てや介護などの家事をするのが当たり前だとする、山里の古い考え方がそのまま持続して、住民の多様なニーズに対応して来なかった事が大きいと思います。それはあたかも、藤野町に共働きや核家族が存在しないかのような。

 ここでも言える事ですが、合併によって問題改善を期待するよりも、「町政の意識を改革する」という手段を使ったほうが、合併によって想定できるデメリットを心配する事なく、問題が改善できるはずです。

地域自治区の下には住民の意見を行政に反映できる「地域協議会」が置かれ、現在の役場及び支所は「総合的な事務所」として従来と同じ行政サービスを継続して行います。

 しかし、予算の権限は相模原市が握る事になります。「地域協議会」と名前は立派ですが、相模原市長から「諮問」されて、藤野側の意見を「具申」する機関にすぎません。いかに「地域協議会」を設置して、住民の意見を行政に反映させると言っても、住民の意見を受け入れるか否かの権限は、藤野町民にはないのです。

 これは『藤野町の事を、藤野町で決める』という観点からは遥かに後退です。確かに、今までの藤野町が民意を積極的に汲み上げる事に熱心だったかと言うと、それは私自身にも疑問があります。でもその問題は、『町政を改革する』手段で解決すべき問題で、合併で解決を期待する問題ではありません。

こんな動きの裏には津久井郡選出の県会議員が暗躍し、町議会議員を操っています、合併すれば「津久井と言う選挙地盤」が失われると考え合併を阻止しようと活動している県会議員や、藤野町を残して次の町長を狙っている議員、広域行政組合を解散させて事業を拡大したい議員、みんな私利私欲の発想です

 こういう言い方と言うのはどうでしょうか。私はこの文章を見て、「ああ、あの人の事を言っているんだな」とだいたい想像がつきますが、こういう、相手に一方的に『悪』のレッテルを貼るような表現は、合併に推進の立場であろうと、反対の立場であろうと、慎むべきだと私は思うんです。
 あくまでも、住民にとって、何が幸福に繋がるかを、論理的に冷静に説明する態度こそが大事なんじゃないかと。
 こういう表現は、合併賛成派に対しても、文章を反対にすれば使えるんです。例えば、『合併して新たな選挙地盤を得ようとしている政治家や、広域行政組合を残して既得権を温存したい勢力が、合併推進活動で暗躍しています。みんな私利私欲の発想です。』という具合に。
(しかし、広域行政組合は合併した場合に解散するのであって、「広域行政組合を解散させて事業を拡大したい議員・・・」と言う記述には矛盾がありはしないでしょうか)
 以前から思うんですが、この「ふじの行政を考える会」の発行するチラシからは、いつも、どこか扇情的な印象を受けます。

 始めは、単にチラシの文章に対する疑問や反論を書いているだけだったんですが、書いている内に、自分自身、『ああ、そうなんだ』と発見する事がありました(笑)。何気なく自分が書いた文章に、改めて気付かされたと言うか。
 町政の財政と意識を改革すれば、何も慌てて、デメリットを心配して合併する事はないんじゃないかな。

 自分でも自覚しない内に、『改革』という言葉をやたら連発していました(笑)。でも思うんです。今、全国各地で行われている市町村合併というものは、実は自ら町政を改革することに熱意の無い人々によって、だらだらと推し進められているのではないかと。