カイロプラクティック治療の目的


 カイロプラクティックと聞けば、背骨をボキボキ整体のように鳴らしたり、特殊なベットでドスンドスン落とされたり、骨盤にクサビ型にブロックを置かれたりと色々な矯正法を想像される方が多いと思います。そして、治療を受けた後「ここの骨がこのように“ズレ”ていたので、矯正しておきました」と説明されるのが大部分です。しかし、本当に背骨は“ズレ”るのでしょうか?

診療風景 カイロプラクティックで言う“骨のズレ”は、一般的に思われている位置的なズレとは違います。手の指を例にとって説明すると、指は曲げたり伸ばしたりと2方向にしか自分の意思では動かすことは出来ません。しかし、他方の手で指をつまむと、微妙な動きながら真横にスライドさせたり、捻ったりと色々な方向に動かすことが出来るのが解ると思います。これを“関節の遊び”と言います。丁度、車のハンドルに遊びの部分があるためにスムーズに運転出来るのと同じように、人体の関節にもこの“遊び”の部分があるためにスムーズに動かすことが出来るのです。この“関節の遊び”が何らかの原因で障害を受けた状態が“関節の機能障害”で一般的に説明を受けている“骨のズレ”なのです。ですから、カイロプラクティックの治療で「ここの骨がズレています」と、説明を受けたところを整形などX線で確認しても異常は無いと診断されることがほとんどです。
 また、よく「ここの骨がズレているので矯正して下さい」、「ここの骨が飛び出ていてズレているのでは」または最近では「X線でここの骨がズレていると言われた」と言ってくる患者さんも多いのですが、これはズレているのではなく、発育過程における“骨の変形”のことが多く、“関節の機能障害”が存在しなければ正常なことがほとんどです。では“関節の機能障害”はどのような原因によって起こるのでしょうか?
 
診療風景 関節とは骨と骨が合わさって動きのあるところです。この合わさっているところは靭帯によって支えられ、筋肉によって動かすことが出来ます。そして、この関節には今どういう状態でどのような位置にあるかを常に感じている固有受容器という神経が関節内、靭帯、筋肉に分布しており、動作をスムーズに行っているのです。この受容器に異常があれば、神経の命令異常が生じ、筋肉が正常に働かなくなり動作がスムーズに行われなかったり、骨を正常な位置に留めておくことが出来なくなり、痛みやその他の体調不良になってしまいます。つまり、受容器の神経命令異常によって神経の働きが強くなったり、弱くなったりすることで筋肉に異常をきたし関節機能障害が発生するのです。
 
従来背骨の矯正と考えられていたのは、実は骨の位置異常やズレの矯正ではなく、関節や筋肉の末梢にある神経系の受容器に対して刺激を入れていたのです。神経系に適切な刺激を入れることにより、神経の機能を正常に戻し、過剰な働きや過小な働きを正常な働きにさせることがカイロプラクティックの目的となります。

 神経は身体の全ての部分に分布し、その情報を脳に伝えます。そして、脳からの命令を
すべての組織や器官に伝え、コントロールしています。手足を動かすことや、内臓の働き、内分泌系や免疫系、さらには心の働きまでも神経がコントロールしているのです。

神経図

 上の図は1本の支柱(背骨)を左右のロープ(筋肉)が支えている様子を現している図です。図aでは神経が正常に機能しているので左右のバランスが整っていますが、図bでは左の神経の機能が低下しているために筋肉が弱くなり、背骨は右側に傾いてしまっています。また、図cではbと同じように背骨が右側に傾いているのですが、右側の神経の機能が亢進しているために筋肉の緊張が強くなってしまっています。このように神経のバランスが崩れると筋肉の張りをコントロールできなくなり、身体にいろいろな歪みが起きてくるのです。ですから、骨盤や背骨の歪みは結果であって、原因ではありません。因原は神経系の働きが不十分でバランスを失っていることなのです。
 
カイロプラクティックは骨格上の歪みがあるときには必ず神経系の働きに障害があることを認め、その原因を探るのです。骨盤、腰、背中、首の歪みの原因は何か? 原因は手足の末梢神経にあるかもしれないし、身体の脊髄神経レベルにあるかもしれません。また、大脳や小脳などの中枢神経に障害があるかもしれません。そのレベルを特定して、神経系に刺激を与え、神経系の働きを正常に戻し、自然治癒力を高めていくのです。
 
診療風景 当院では、 アクティベータ・メソット というカイロプラクティクの数あるテクニックのなかでも、非常に安全で効果の高い治療法で神経系の異常を検出し、治療をしていきますので、子供からお年寄りまで安心して治療を受けることができます。