南フランスにある協同組合は昨今、ワイン販売の不振に悩んでいます。近年は、スペイン、イタリアそしてポルトガルからフランスへワインが入ることを拒んで、組合の人々が高速道路をロックアウトした事件がありました。こうした状況に陥った一番の理由は、ワインの安さでは低価格ワインが多い南フランスといえどもこれらの国々には勝てないからです。つまり、低価格が売りのワインは、フランス産以外のワインが市場の主導権を握りつつあるとも言えるのです。
カステルモールは1921年に創業。この組合の最も素晴らしい点は、将来はラングドックのワインが価格だけでは売れなくなることを予見して、1978年に品質を追い求めたワインの生産に着手していたことです。確かに最近の南フランスワインのレベルは平均的には良くなってきていますし、目を見張るようなワインも一部にはあります。しかし、ラングドックの生産者達の多くが品質の向上をはかりはじめたのは、ここ7〜8年のことで、この協同組合のように古くから本腰を入れて品質向上に努めてきた生産者は非常に稀な例といえます。以下はこの組合が1978年当時から変わらず行っている生産ポリシーです。
・収穫は全て手摘み。選果台の導入。
・ブドウは潰れることを避けてカジェットに入れて醸造所まで運ぶ。
・発酵から熟成、瓶詰めに至るまで、一切ポンプアップしない。
1990年からは畑の区分(全300ha)を720の区画に分類、その区画の条件にあう営農法を指導しています。また、畑の健全性やブドウ品種、成熟度合そして土壌の種類ごとに収穫されたブドウを分けて発酵させることを実施しました。1993年からは品種別に発酵の手法を変えています。
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