甘い香り

珍しく立て続けにあった仕事が一段落して、久しぶりに迎えたのんびり過ごす昼下がり。
相方も昨夜はお預けだった夜遊びに解禁指令が出て、帰って来たのは一般の勤め人が動き始める頃だった。
そんな訳で昼を大分回った今でもベットの中で心地よい眠りに落ちている。

「平和よねぇ〜」

そんな台詞まで出てしまう。
しかしそんな平和なひと時に招かねざぬ客が現れて、そのひと時に終わりを告げた。

「こんにちは 香さん♪ リョウいるかしら?」

チャイムの音にドアを開ければ、そこには大抵の人間が美女と認めるであろう女性の姿があった。

野上冴子。
警視庁、特捜課の刑事。
容姿端麗・頭脳明晰、褒め言葉ならば大抵彼女に当てはまるのではないだろうか。

「いらっしゃい、リョウならまだ眠ってるけど・・・」

どうぞ、とスリッパを差し出すと、艶やかな笑みを見せてソレに足を通した。
横を通り過ぎる彼女から、大人の女性を引き立てる香水の香りが漂ってきて香の鼻を擽った。

お土産にと貰った高級店のケーキとコーヒーを手にリビングに入れば、まだ眠そうな顔のリョウと冴子さんの姿があった。
どうやらまたリョウに厄介な仕事を押し付けようとしているらしい。

「今回、私が囮になって犯人を誘き出すんだけど・・・署のメンバーだけじゃ、
かなり心配なの。だからあなたにも少し手を貸して貰おうと思って・・・」

足を組み替える動作が美脚をスリットから必要以上に覗かせる。
露出度のたかい服装は胸元が大きく開いていて、リョウに体を傾けると谷間がハッキリと見える。

この展開からすると・・・

「それって〜〜〜勿論、報酬は・・・」
「そうね〜、今回は私の命も関わってくることだし・・・コレくらいでどう?」
彼女が細い指を3本、リョウの顔の前に差し出した。

・・・やっぱり.....

ガシャンと音を立てて手にしていたケーキとコーヒーを置くと、リョウが驚いて30cm程飛び上がった。

「どうぞ・・・」
「あら、ありがとう♪」

だけど彼女は一向に平常心を装ったまま、ニッコリと微笑んだだけだった。

「あら、香さんの分は?一緒に頂きましょうよ」
「でも、仕事の話しみたいだから・・・」

そう言ったのはたてまえだけで、本当の所はあまり二人一緒にいる姿を見ていたくなかっただけ。
気になりながらも自室へと逃げるように姿を消した。

姿見の前に立ってマジマジと自分を観察してみる。
化粧をしていない顔に、色気も何もない白いシャツにタイトジーンズのスカート。
お世辞にも大人の女には見えず、彼女には到底敵わない。

昔聞いた、リョウと冴子さんと兄貴の関係。
詳しく聞いた訳ではないが、リョウと兄貴は冴子さんを・・・
そして冴子さんも二人に心惹かれていたとか・・・


「そうだ!確かエリコからフランスのお土産で貰ったやつが・・・・あった!」

私には似合わないと思って、仕舞い込んでいた香水。

付ける場所なんてわからないから、よく聞く耳の後ろと手首に付けてみる。
だけどそれだけじゃ大人の女性には見えなくて、片手を腰に、もう片方を頭の後ろに回して
 “セクシーポーズ” 
をとってみた。

すると部屋の入り口付近から「ブッ」と噴き出す声がした。
鏡越しに見える人物は口を手で覆って、必死で笑いを堪えていた。

「勝手に入って来ないでよ!!////」

こんな姿を見られた恥ずかしさと、二人への嫉妬心からリョウに八つ当たりぎみに叫んだ。

でも、この行為自体が大人の女性がする事とは思えない。
解かってるけど、どうにも収まりが効かなくて・・・

「冴子さん放って置いていいの?早く戻りなさいよ!!」
「冴子なら帰ったよ・・・お前によろしくだとさ!」

そう言って顔をニヤつかせたリョウが部屋に入ってきた。
そして鏡の前の私に近づいて来てくると、鏡に映る私を覗き込んでからドレッサーに置かれた香水に目を移した。

「・・・こんなモン・・・つけんなよ」

フーンだ!どうせ似合わないとでも言いたいんでしょ?

そう言おうとしたけど、耳元でリョウに囁かれた言葉は予想もしなかった言葉だった。


「お前の匂いが感じなくなる・・・」


その言葉と同時に首筋にリョウの唇が降ってきて、そのままリョウが与える快楽の波にさらわれてしまった。

そして二人、蜜の時に溺れていった。

 fin

 

わーい!!うきさまから駄文のお礼に頂きました。
ずうずうしくもリクをさせていただきリク内容は
「冴子に嫉妬する香」でした。
せくしぃポーズするカオリンにメロメロ(笑)
ありがとうございます。
そうそうタイトルは管理人で…(泣

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