甘い香り 珍しく立て続けにあった仕事が一段落して、久しぶりに迎えたのんびり過ごす昼下がり。 「平和よねぇ~」 そんな台詞まで出てしまう。 「こんにちは 香さん♪ リョウいるかしら?」 チャイムの音にドアを開ければ、そこには大抵の人間が美女と認めるであろう女性の姿があった。 野上冴子。 「いらっしゃい、リョウならまだ眠ってるけど・・・」 どうぞ、とスリッパを差し出すと、艶やかな笑みを見せてソレに足を通した。 お土産にと貰った高級店のケーキとコーヒーを手にリビングに入れば、まだ眠そうな顔のリョウと冴子さんの姿があった。 「今回、私が囮になって犯人を誘き出すんだけど・・・署のメンバーだけじゃ、 足を組み替える動作が美脚をスリットから必要以上に覗かせる。 この展開からすると・・・ 「それって~~~勿論、報酬は・・・」 ・・・やっぱり..... ガシャンと音を立てて手にしていたケーキとコーヒーを置くと、リョウが驚いて30cm程飛び上がった。 「どうぞ・・・」 だけど彼女は一向に平常心を装ったまま、ニッコリと微笑んだだけだった。 「あら、香さんの分は?一緒に頂きましょうよ」 そう言ったのはたてまえだけで、本当の所はあまり二人一緒にいる姿を見ていたくなかっただけ。 姿見の前に立ってマジマジと自分を観察してみる。 昔聞いた、リョウと冴子さんと兄貴の関係。
私には似合わないと思って、仕舞い込んでいた香水。 付ける場所なんてわからないから、よく聞く耳の後ろと手首に付けてみる。 すると部屋の入り口付近から「ブッ」と噴き出す声がした。 「勝手に入って来ないでよ!!////」 こんな姿を見られた恥ずかしさと、二人への嫉妬心からリョウに八つ当たりぎみに叫んだ。 でも、この行為自体が大人の女性がする事とは思えない。 「冴子さん放って置いていいの?早く戻りなさいよ!!」 そう言って顔をニヤつかせたリョウが部屋に入ってきた。 「・・・こんなモン・・・つけんなよ」 フーンだ!どうせ似合わないとでも言いたいんでしょ? そう言おうとしたけど、耳元でリョウに囁かれた言葉は予想もしなかった言葉だった。
そして二人、蜜の時に溺れていった。 fin
わーい!!うきさまから駄文のお礼に頂きました。 |