永遠が終える時…



『ねぇ、僚』
「なんだ?」

『もう、さっさと起きろーっ』
「おいおい、勘弁してくれよ」

『もう、美味しいくらい言えないの』
「不味い……わけねーだろっ」

『僚、依頼よ、依頼が合ったの〜』
「男の依頼人だったら受けんからな」

『なんかー、雨は寂しいね』
「んー、おまぁの横顔はにぎやかだけどな」

『今日、美樹さんとバーゲン行っちゃった』
「おまぁは何着たって一緒だろ」

『ふふふっ、海坊主さんから新トラップ教えてもらったんだから』
「げっ、タコめ。俺を殺す気かーっ!」

『僚っ!!冴子さんに誕生日プレゼントもらっちゃった』
「げ、貸しからその分減らされてたら承知しねーぞー」

『今日はアニキに逢いに行きたい気分なの』
「しょーがねー。車だしてやるよ」

『ちょっ、な、どうしたの?大丈夫?は早く手当…』
「こんな傷なんでもねーよ。んな顔すんなよ」

『ね、僚……好き…』
「……あぁ」

『きっとコレが最初で最後かも』
「なに?」
『あんたを愛してる』
「サンキュー」

『え、ホントに?嬉しい。ありがとう』
「泣くなよ。んなことで…」

『ね、僚。ゴメンね』
「謝るな」

『ね、ゴメンね…』
「謝るなって」

『ごめ…』
「うるせーよっ」

『りょ…』
「うるせー、うるせーっ!!」

 


そして息を荒げ、彼は飛び起きた。

暗い眼から、一筋の滴が伝った。

 

細い月明かりが部屋に差し込んでいる。

彼の目の前には彼女が着るはずだった真っ白なドレスが掛かっている。

それを静かに見つめながら、彼は枕の下の黒蛇をとりだした。

彼の最後を看取るのは、今では彼の一番の相棒だった。

 

重い銃声が新宿の街に響いた。


                                    fin


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