Ultrafast Photonics-Optics Essay, the Fiber to the Home (in japanese)
June 24, 2007

Ultrafast Photonics-Optics Essay

the Fiber to the Home (FTTH)

Yoshiyasu Ueno, Ph.D
University of Electro-Communications, Tokyo




ADSL (最後の電気信号接続技術)から、FTTH (人類最初の光信号接続技術)への、歴史的な転換期


最近、光ブロードバンド回線急増中のニュースが、続々と出ています。
末尾に、約4ヶ月前のニュース速報を挙げました。

2007年度上半期現在のNTTの報道発表によると、
  • 2007年度末、個人・小規模ユーザ向け光接続回線サービス契約総数がほぼ確実に1,000万回線に達する。
  • 2010年度には3,000万回線に達する見込み。最近着任した新社長が、設備投資計画を発表した。
とのこと。NTTの契約数にauやyahoo BBの契約数を加えると、日本全体の光回線契約数が今年度、日本人口の1割を大きく上回るということです。

いよいよ、ADSL(1〜10メガビット秒)やCATVなどの電気信号接続から、 光信号接続への歴史的転換期に入ったと考えられます。
1990年代初頭のインターネット黎明期の段階ですでに、
世界中のインターネット基幹網の大部分は、光信号を伝送する通信網システム
でしたが、その約15年後に当たる2007年現在、とうとう、
個人・小規模ユーザ向け末端接続回線まで全てが光システム
への技術転換が、本格化したといえます。

エレクトロニクスが先導した過去の巨大な技術転換は、
  • 音楽レコードから音楽CDへの転換 (1980年代)
  • コンピュータ産業が大型コンピュータ中心時代からパソコン中心時代へと転換 (1990年代)
  • ポケベルから携帯電話へ、アナログ固定電話からIP電話へ (1990〜2000年代)
  • ブラウン管テレビから液晶フラットディスプレイへ (2000年代、最近ほぼ完了)
などです。音楽レコード、ポケベル、ブラウン管テレビの大半が、その歴史的役割を果たした後、私たちの日常生活から姿を消しました。21世紀初頭の現在は、
  • 家庭用テレビ、ビデオ、パソコンの融合
  • VHSビデオテープからDVDビデオディスクへの転換
が目立って進み、今後数年で完了しそうです。


さて、ブロードバンド回線に話を戻すと、
日本国内では、今後5年程度で
電気信号接続(64キロ〜10メガビット秒)から光信号接続(100メガ〜1ギガビット秒)への歴史的転換
が完了するのではないでしょうか。
なお、過去約10年かかって少しずつ克服を重ねてきた、光信号接続方式の短所は、
  • 電気信号に比べて割高だった各種の光部品製造コストと施工作業コスト
です。
光信号接続の強力な長所を、改めてまとめると、
  • ビットレートが高速なこと(当初100メガ〜1ギガビット秒、10〜100ギガビット秒への拡張も可能)。
  • ケーブル伝送損失が小さい。50km程度まで無中継で届く。
  • 隣接回線との混信が皆無なこと。
です。

技術者・研究者の領域から、文化・社会の領域へ

「そんなに大きなビットレートは必要無い、売れない」という種類の意見は、過去の先端技術分野でも、必ずありました。 例えば1メガビットDRAMが最先端技術だった時代、16メガビットDRAMメモリーを開発しようという勇敢な目標提案に対して、「そんな巨大なメモリーの先行研究に投資しても、買う人がいない」と反対する研究所幹部が珍しくありませんでした。 現在ならば専門家でなくても、初心者に使いやすい簡易型パソコンに最小限必要なDRAMは、
64〜256メガビット程度
だったと即答するでしょう。すでにそれらが実現し普及した現代は、誰にでも使い易くて、小規模事業・学校教育・地域社会に至る社会全般に役立つためには、 『16MビットDRAMでも不充分だった』と即答できるわけです。

振り返ってみると、ごく一部の人たちだけが歓迎したパソコン誕生時代(1980年前後)から、 それが小規模事業、学校教育、地域社会、医療、福祉を含めた社会全般に、日本全国で役立ち始めた1990年代半ばまでに、なんと、 10年以上の歳月が必要でした。「普及が遅れた」のではなく、「普及に必要な歳月だった」と思います。
インターネットと携帯電話についても、ごく一部の人たちだけが使う時代から10年近い歳月を経た現在は次第に、小中学生や高齢者を含めた防犯・防災対策、福祉・在宅医療・救急医療に欠かすことのできない社会基盤となっています。

このように過去20〜30年の科学技術の歩みを振り返ってみると、革新的な新技術の場合はこれまでもこれからも、発見・発明・開発されて旧技術から新技術へ転換するまでに10〜20年かかる(技術者・研究者の領域)、その新技術が社会に浸透して社会に広く役立つまでにはさらに10年以上の歳月(文化的・社会的な領域)が必要だと思います。
今後も、省エネルギーな技術、安全で持続可能な社会の実現に役立つ技術が新しく1つずつ生まれ育ち、社会に普及していくのではないでしょうか。
20年後の未来が楽しみですね


NTTの光ファイバー通信契約数、08年夏に1000万回線に (日経オンラインニュース、2007/3/3付け)
  NTT東西地域会社が提供する光ファイバー通信サービスの契約数が、来年夏に1000万回線を超える見通しだ。今年1月にはADSL(非対称デジタル加入者線)の契約数を超えており、ブロードバンド(高速大容量)通信の主役交代が鮮明になる。
  NTT東西の光回線サービス「Bフレッツ」は、昨年12月末の契約数が536万回線で、今年3月末には611万に達する見込み。
  近く発表する07年度事業計画では、光回線敷設に東西で計4000億円超を投じ、今年度末実績見込みに比べ約340万回線増やす予定を盛り込む。来年3月末の契約数は950万前後となり、来夏には1000万を超える見通しだ。






閑話休題: 身近な自然と、最先端の科学技術






手厚く手入れされた並木の足元を、濃淡豊かな苔が柔らかく包んでいる。
東京都西部の静かな公園にて。

自然の象徴は、植物、動物、海、河、野山です。
同様に、私たちの各種の半導体もレーザ発振もブロードバンドインターネットシステムも、
『自然の潜在力』を科学的に引き出している、自然と調和させようとしている、といえます!



University of Electro-Communications
Graduate School of Electronic Engineering / Dept. of Electron. Eng.
Ultrafast Optical Logic Laboratory