小諸徴古館,小諸市立藤村記念館,小諸市立小諸義塾記念館

小諸なる古城之本と里に誘われて

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詩人歌人へ  目次へ  参照(藤村A)

 小諸と聞けば島崎藤村の「千曲川旅情の歌 一」の歌い出し部分を連想する人も多いだろう。「小諸なる古城のほとり雲白く遊子かなしむ…」。この長い詩は元々彼の第四詩集「落梅集」の冒頭に「小諸なる古城のほとり」の表題で収められていた。

 落梅集には「千曲川旅情のうた」と題した別の詩もあってややこしかったが、後に彼は自選の藤村詩抄で両者を合体して「千曲川旅情の歌 一、ニ」とした。この詩は彼の若菜集にある「秋風の歌」や落梅集の「椰子の実」と並んで秀作とされている。

 彼が古城と表現した小諸城址は今では僅かに三の門(写真A参照)を現地に残すだけだが、その有様komoro-mがむしろ石垣や空ぼりのただずまいに古城の趣きを深く感じさせている。大手門も元の位置にあるのだが、現在ではそこは市街地の中になっている。

 この城が他の城と大きく違うのは、家臣や町民を住まわせた城下町が地形の制約から城地より高い位置に配置されている点だ。すなわち穴城といわれるこの城では、大手門を入ると坂を下って三の門へ至り、そこから少し上がると本丸になる。

 城址は公園化されて懐古園と名付けられているが、園内には各種公園施設のほかに「小諸徴古館」や「小諸市立藤村記念館」がある。本丸御殿を模して造られたという徴古館には場所柄、小諸藩や藩主 牧野家関係の品々が公開されている。

 tohsonn  藤村記念館は主として藤村の小諸在住時代の資料や彼の初版本などを展示している。中でも自chikumau筆の万葉仮名混じりの「千曲川旅情之うた」は興味を引く。それを青銅のパネルに写した藤村詩碑は近くの浅間台にあり(写真B参照)、そばの水の手展望台からは幅広い谷を蛇行する千曲川の流れを断崖上から眺望できる(写真C参照)

 谷間には近年取水堰ができ、民家も増えて大分開けた感じになったが、ずっと以前に訪れた時には建物も少なく、荒々しい川の景色が印象に残った。城もこの崩れやすい断崖と川を活用する形で築かれたし、それは藤村の見た風景にも近かっただろう。

 1899年(明治32年)、28才の藤村は恩師木村熊ニの招きで小諸義塾の国語と英語の教師として着任した。それから満6年、彼は教職に携わる傍ら、第四詩集「落梅集」を刊行し、数編の小説や随筆「千曲川のスケッチ」を執筆している。

 だが落梅集を最後にして、彼は詩人から作家へ歩を移している。大作「破戒」の執筆を手掛けるに及び、彼は教職を辞して上京する。執筆期間の生活費を借用して、退路を断って創作に専念している。

tohsonn1 また懐古園入り口の近くに旧小諸義塾本館建物が「小諸市立小諸義塾記念館」として公開されている。「千曲川のスケッチ」にはこの建物や教師などの描写がなされている。建物は現在の小諸駅構内にあったが、現在地へ少し移動して復元された(写真D参照)

 館内には小諸義塾の歴史、校長の木村熊ニの紹介、さらに藤村と同義塾の関わりを示す資料を展示している。小諸義塾は小さな学校だったが、米国帰りの牧師・木村熊ニの教育理念のもと、明治26年に私塾として発足し、近郷近在の高等小学校卒業者を集めて教えていた。数年後には私立中学の認可を受け、後に女学校も開設された。

 しかし富国強兵を唱え国家主義的傾向を強める国の政策や、実業教育を要望する地元の気運に適応しない面が徐々に表面化した。そのため公的補助金が打切られ、開塾後わずか13年で廃校に追い込まれた。藤村が去ってから一年後の出来事だった。

 藤村の小諸在住は僅か数年に過ぎなかったが、「小諸なる古城のほとり」は「千曲川旅情のうた」の曲名で歌曲となり、また国語の教科書にもこの詩や彼の他の詩が採択されたため、広く知られるようになった。市内には「千曲川のスケッチ」に登場する彼ゆかりの場所も散在し、年々多くの観光客を集めている。

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(作成日: 05/09/08 更新日: )

 

(施設情報参考)名称_住所_電話番号_駅からの概算路線距離(駅からの概略方位と直線距離)・所要時間・バス_展示規模_対象_開館時間(受付終了時刻)_休館日_備考_{施設情報確認日}開閉館時間と休館日はよく変るし臨時休館もある。事前確認が賢明

 

小諸徴古館_長野県小諸市大字丁311 懐古園内_TEL 0267-22-0296(小諸市懐古園事務所)0267-23-6419 _

JR小海線・しなの鉄道小諸駅から0.4km(60deg.W 0.3km)徒歩5分 駅の東西自由通路を渡ってすぐ_

駐車場 有料あり_小_大人_

9:00-17:00_

(12月から3月中旬の)水曜日、12/291/3

(なお4月〜11月は無休)_{17/06/01}

 

小諸市立藤村記念館_長野県小諸市大字丁315 懐古園内_TELFAX 0267-22-11300267-22-0296(懐古園)_

JR・しなの鉄道小諸駅から0.7km(75deg.W 0.5km)徒歩9分 駅の東西自由通路を渡った懐古園内_小_大人_

9:00-17:00_

(12月から3月中旬までの)水曜日、12/291/3

(なお4月〜11月は無休)_{17/06/01}

 

小諸市立小諸義塾記念館_長野県小諸市古城 2-1-8_TELFAX 0267-24-09850267-22-0296(懐古園)_

JR・しなの鉄道小諸駅から0.3km(65deg.W 0.27km)徒歩4分_小_大人_

9:00-17:00_

(12/13月中旬までの)毎週水曜日、12/291/3

(なお4月〜11月は無休)_{17/06/01}

 

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