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眠れぬ夜はキミのせい
Junichi Okada 「ふふ」 部屋の電気を暗くして、枕元に置いた小さなクリスマスツリーに灯りを灯して、ひとり不気味に笑う、私。 最も、部屋が暗いのは、これから寝るところだったんだけど。 だけど、眠れない。 と言うか、眠りたくなかった。 この小さなクリスマスツリーをずっと眺めていたくて。 早めにお風呂に入って、早めにベッドの中へ潜り込んで。 ドキドキしながら、クリスマスツリーの灯りをつけた。 ちっちゃくて、かわいらしい、このクリスマスツリーが明るく光りを放ったとき、 思わず、准の笑顔が浮かんだ。 寒さで真っ赤に染まったほっぺで、息を切らしながら、私の部屋へやってきたときのあの准の笑顔。 あのときの准の笑顔が忘れられなくて、私は眠れずにいた。 それに、眠ったら、忘れてしまいそうだったから……。 今夜は、クリスマスイブ。 “たったふたりの時間を過ごそうよ” と、准が私の部屋に来てくれるって、そう言ってくれた。 いつもふたりで逢っているのに、なんだか今夜は、妙にドキドキしちゃって、 テーブルにセッティングされた、料理を何度も置き換えたりしてみたりして。 准が私の部屋のインターホンを鳴らしてくれるのを今か、今かって待っていた。 それなのに……。 来ない。 准から、電話もメールさえもない。 准のことだから、約束を忘れるハズはないし、 きっと仕事が延びてるんだろうってことは、予想ついたけど…。 このまま、料理を出しておくのも、冷たくなっちゃう…。 そう思って、皿に手を掛けた瞬間、やっと私のケータイが鳴った。 「もしも…」 「あっ、!?ごめん!急に仕事が延びちゃってさ! 今から急いでの部屋向かうから、料理そのままにしておいて!」 准は、それだけを早口で言うと、さっさと電話を切ってしまった。 さすがに待ちくたびれた私は、ちょっとふてくされてたけど、 でも、あの准が私の返事も聞かずに電話を切っちゃうなんて、 よっぽど急いでくれてるんだろうって思ったら、 なんだか急に嬉しくなってきて、 テーブルの上に並べてあった料理を、准がここへ辿り着いて、すぐ食べられるように、 私は、もう一度、料理を温め直した。 そして、准の電話から30分後。 ようやく私の部屋のインターホンが鳴った。 「はい」 「ごめんっ!」 ドアを開けた瞬間、准は、謝った。 しかも、息を切らしながら。 よっぽど急いで走ってきてくれたんだ。 おまけに、ほっぺが真っ赤っか。 なんだかV6のデビュー当時の准をを思い出して、私は思わず笑ってしまった。 「ふっ…」 「なんだよ。俺が謝ってるのにー。なんで笑ってんの?」 「別に」 「気持ち悪いなー」 私は、待ちくたびれてたことなんて、すっかり忘れていた。 准の笑顔を見た瞬間に。 そして、部屋の奥へ入ろうと、准に背中を向けたとき、 突然、准が私の名前を呼んだ。 「」 「何?」 そう返事をして、私が准のほうへ振り返ると、 目の前に小さなクリスマスツリーがあった。 「わ!ビックリしたぁ。どうしたの、コレ?」 「約束の時間、遅れたお詫び」 「…え?」 「ここへ向かう途中で見つけたんだけど…。、かわいい!とか言いそうと思って、買ってみた」 准は、少し照れている。 私は、そのクリスマスツリーを受け取り、 「うん、かわいい……。気に入った。ありがとね、准」 「俺のほうこそ、ごめん」 「ううん」 そのとき、私は、触れた准の指が冷たかったことに気がついた。 「外……寒かったでしょ?」 「んー?夢中で走ってたから、あんまりわかんなかった」 そう言いながら、また照れている准は、私の隣をすり抜けて、部屋の奥へ歩いていく。 私は、うしろから准の手を握った。 「すぐ食事の支度するね」 准は、突然の私の行動に、驚いていたけど、 すぐに口元が“うん”って微笑んだ。 突然だけど、予定変更! 最初は、テーブルで食事をして、ロマンチックにしたかったけど、 今日は、こたつで! 「ムードのかけらもない……」 「たまには、いいでしょ!?」 そして、こたつの真ん中には、さっき准が買ってきてくれたクリスマスツリー。 それと、グラスに注がれたシャンパン。 たとえこたつでも、いい感じの雰囲気だった。 なんといっても、隣に准がいてくれるからね。 それからしばらくして、食事も済んだ頃。 准が床にゴロンと寝そべった。 「おなかいっぱい〜」 「食べてすぐ寝ると、太るよ?」 「今日くらいいいでしょ」 「そのまま寝ちゃっても知らないよ?」 私がクスクス笑っていると、准がいきなり私の腕を引っ張った。 「もおいでよ」 「え!?ちょっと!」 そうして、私と准は、狭いこたつの中で寝ころんだ。 「そういえば、、俺が今日、ここへ着いたとき、なんで笑ってたの?」 「准、急いで走ってきてくれたでしょ」 「うん。なんでわかった?」 「ほっぺが真っ赤だったよ?デビュー当時みたいでかわいかった」 「マジで!?めっちゃ恥ずかしいじゃん、それ!」 「なんで?いいじゃん。いのっちに言っちゃおうかな?」 「うわ!それ、絶対やめて!」 「嘘だよ」 幸せそうに笑う私たち。 「あったかい……」 「そりゃ、こたつだもん。あったかいに決まってる……」 「違うよ、准がだよ!」 「お酒も入ってるし、それに今日は走りすぎたからなぁ」 私、そういう意味で言ったんじゃないんだけどなぁ…。 准てば、そういうとこ鈍感かも。 しばらくの沈黙のあと、そういえば、准に聞きたいことがあったことを私は思いだして、准に話しかけた。 「ねぇ、准?そういえばさぁ…」 だけど、私が准の名前を呼ぶと、帰ってきたのは、准の返事ではなく、かわいらしい寝息だった。 「准、寝てるの…?」 横向きで眠っている准を見つめてみる。 うわ、やっぱり、准て、まつげ長い…。 女の私でも負けてるよ、きっと。 無邪気な顔して寝ている准は、相変わらずかわいい寝息を立てている。 きっと今日、私のために走ってくれたから、疲れちゃったんだね。 私は、准に体を寄せて、 「ありがと……」 こたつの中で准の手を握りしめた。 一生懸命、走ってきてくれたことと、小さなクリスマスツリーを買ってきてくれたこと。 とっても嬉しかった。 その感謝の気持ちを込めて……。 今日のそんな出来事を私は、ツリーの灯りを見つめながら思い出していた。 あれからしばらくして、准を起こして、明日も仕事だって言う准を見送った。 これからまたしばらく逢えそうにないけど、私は、准のくれたこの小さなクリスマスツリーを見つめて、 私は、頑張れる。 そうすれば、准のあのときの笑顔が浮かんでくるから。 こたつの中で握りしめた、准の手の温かさを思い出すから。 “准、今日はありがとう” 私は、そんな風に想いながら、ようやく眠りについた。 最後の言い訳っ。 MISIA=ドラマ「恋愛偏差値」。 恋愛偏差値=リュージ なの、あたしの中では(笑)。 この曲の歌詞の内容がどんなだか、あたし知らないんだけど。 とりあえず、いい感じかな〜と思って、タイトルとしてつけてみましたっ。 2002.12.24
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