恋愛偏差値
story1


 “恋愛ってなんだろう…?”

私は、ふと自分に問いかけてみる。
考えてみるものの、そんなことがわからない自分がここにいた。
気づいてみれば、何年も“恋愛”という言葉に触れていない気がする。


昨日、親友のあゆみちんから突然、こんなことを言われた。

 「ねぇ。恋愛っていいモノだよねぇ」

それは、単にあゆみちんが自分の新しい彼氏を自慢したかったに違いないのだが、
私は、親友のこの発言に、ふとそんな自分に気づかされたのだ。

 「何よ、突然」
 「まぁね〜。てゆうか、あんたさぁ、何この部屋!汚いなぁ。彼氏いないでしょ?メイクだってテキトーにしてる感じだし」
 「うるさいよ!あたしの勝手でしょ〜!?」
 「ハイハイ。でも、そんなんじゃ、大切な青春無駄にしちゃうよ〜?」
 「なっにが青春よ!?単に、あんたの彼氏自慢したいんでしょ?」
 「ちょっと聞いてくれる!?」


そのあと延々、ノロケ話を聞かされた。
ここだけの話、最後のほうのあゆみちんの話なんて、聞いてるフリして、テキトーに流してた。
一方的に、人の彼氏を自慢されたって、誰だってあんまりおもしろいもんじゃないし。
でも、確かに、私最近、“女”を怠けてたかもなぁ。
あゆみちんの言ってたことは、一理あると思った。
仕事の帰りに立ち寄ったコンビニのガラス越しに映った、自分を見つめてみる。

 『恋愛ねぇ……』

そんなことをぼんやりと考えて、帰路につこうと、振り返ったその瞬間、
すれ違う人の存在に気づかず、その人とぶつかってしまった。
そのとき、さっきコンビニで歩きながら食べようと買った肉マンが道へと転がる。

 「す、すいませんっ」
 「いや、こっちもよそ見して歩いてたから」

相手を見ると、男の人だったことに、思わず私はどきっとして、動きが止まった。

 「あ、肉マン…。もう食べられないね。弁償するよ」

彼がそう言って、道端に転がっていた肉マンを拾い上げる。

 「え…?あっ、そんな!大丈夫です!私も考え事してたし…」

そう言って、私は彼の顔を初めて見上げた。
キャスケットを深くかぶった、彼のその瞳はとても綺麗で、優しそうで…。
私は、その瞳に思わず引き込まれ、言葉を失った。

 「そう?ごめんね、肉マン。それじゃ…」

そう言って、微かに微笑んだ彼は、私に背を向け去っていった。
私には、ただ彼の後ろ姿を見守ることしかできなかった……。

to be continued...



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