For you


 「おっはよー!!」

楽屋のドアをバンッと開けて、井ノ原くんが元気良く入ってきた。

 「おっ、岡田!お前ひとり?」
 「うん、そう」

今日一番で楽屋入りした俺。
鼻歌を歌っているご機嫌な井ノ原くんに、俺は話しかけてみた。

 「そういえば、井ノ原くん、東亜悲恋で韓国行ってきたんでしょ?ん!」

と言って、俺は手を差し出す。

 「なんだ、その手は」
 「お土産♪」
 「まぁだ!みんなが来てからのお楽しみ!」
 「ケチ〜」

そのとき、坂本くんを始め、みんなが楽屋に入ってきた。

 「おはよう!おっ!井ノ原も岡田も早ぇなぁ!」

最後に入ってきた健くんが、井ノ原くんを見つけた途端、韓国のお土産をすがってきた。

 「あっ!井ノ原くん!韓国行ってきたんでしょっ!お土産!」

健くんの後ろで、剛くんも黙って手を差し出している。
すると、長野くんも健くんと剛くんの隣にやってきて、手を出した。

 「なんだよっ。お前ら!しかも長野くんまで!意地汚ねぇよ」
 「は・や・くっ!」

井ノ原くんの言葉なんて、お構いなしの健くん。

 「早く」

ぼぞっと請求する剛くん。

 「いのっちぃ〜」

今年三十路の長野くんまで、お尻をフリフリさせている。

 「お前ら、みっともねぇよ」

と、言いつつ、坂本くんも手を出していた。

 「坂本くんまでかよ〜。岡田は、そんな意地汚いことしねぇよなっ!?」
 「早く出せよ」

俺がぼそっとそう言うと、

 「うひゃひゃひゃひゃ!岡田、最高〜!」

俺の言葉に、剛くんが笑い転げた。

 「んだよ〜、岡田まで〜。わぁったよ!渡せばいいんだろっ!?」
 「待ってましたぁ!!」

健くんが手を叩いて、喜んだ。

 「はい、どうぞ」

井ノ原くんが自分のバックから、ひとりずつお土産を出して渡してくれた。
だけど…。

 「…何これ」

俺も、坂本くんも、長野くんも、剛くんも、健くんも、
渡されたお土産に思わず固まった。

 「何って、oneの韓国語バージョン」

井ノ原くんが俺たちに買ってきてくれたお土産とは、
俺たちが韓国でリリースした、oneの韓国語バージョンのCDだった。

 「そんなの、見ればわかるよっ!!なんでこんなのがお土産なんだよっ!!」
 「こんなのとは、なんだよ!俺たちのCDじゃねぇかよっ」
 「同じヤツavexの人からもらって、もう持ってるじゃん」
 「向こうで買ってきたCDなんだから、ひと味違うだろ〜!?」
 「CDにひと味もふた味も違いなんてあるかよ」
 「1枚でも売り上げが上がってくれたほうが嬉しいじゃねぇかよ」
 「だからって、俺たちが売り上げを上げることないじゃん」
 「なんだよっ!みんなして、俺がせっかく買ってきたお土産にケチつけやがって!
  なぁ、岡田。お前は嬉しいだろ??」

みんなの言い合いを黙って見ていた俺に、井ノ原くんが涙目で話しかけてきた。

 「二度といのっちと遊ばねー」

俺の言葉が、井ノ原くんにトドメをさしたらしく、
いつもは細い目と口を大きく開けて、固まっていた。

 「うひゃひゃひゃひゃ〜」

剛くんがまた笑った。

 「…んだよっ!みんなしてっ!俺が、せっかく…。
  いいよ!いいよ!みんなで仲良くキャンプファイヤーでもやってれば!?」

そう言い残して、いのっちは楽屋を出ていった。

−−−バタン!

 「ホントにこれが韓国のお土産!?」

健くんは、CDをマジマジと見つめ、本当に不満そうにしていた。

 「俺、キムチがよかったのにな〜」

長野くんがoneのCDを開けて、中の歌詞カードを開きながらぼやいていた。
俺は、井ノ原くんのことが気になり、楽屋を出ていこうとすると、

 「おい、岡田。どこ行くんだ?」

坂本くんに呼び止められた。

 『井ノ原くんのところに…』

と、俺は坂本くんに目で訴えた。
すると、坂本くんは、

 『うん』

宜しく頼むぞとばかりにうなずいた。


テレビ局内を探し回ってやっと、ロビーにひとり座っている井ノ原くんを見つけた。

 「こんなとこで何しょぼくれてんの」
 「…岡田…。あいつら、ホント、ひでぇよな!
  人がせっかく買ってきた土産にケチつけやがってさぁ」
 「…ホントは、他にもちゃんとお土産買ってきてあったんでしょ?」
 「え?」
 「さっき、バッグの中見えた。井ノ原くんも素直じゃないからな〜」
 「岡田ぁ…」

井ノ原くんは、瞼をぱちぱちさせて、俺を見てきた。

 「心の友よ〜」

すると今度は、抱きついてきた。

 「早く楽屋に帰って、みんなに他のお土産渡そうよ」
 「うん!」

そう言って、椅子から立ち上がったとき、

 「よしっ!岡田。俺のこと心配して来てくれたお礼に、oneのCDもう10枚やるっ」
 「はぁっ!?」
 「実は、いっぱい買ってきちゃったんだよね〜♪みんなに配ろうかと思ってさ。
  あぁ、わかった、わかった。照れるな、照れるな!」

俺は、思わずポカーンと口を開けたまま、その場に立ちつくしてしまった。
井ノ原くんは、鼻歌を歌いながら俺たちの楽屋に戻っていった。


そしてそのあと、井ノ原くんがoneの韓国語バージョンのCDを
本当に10枚も俺の元へ持ってきたのは言うまでもない……………。


−−−END−−−

最後の言い訳っ。

このお話は、わたあめさんがあたしんトコのカウンター2000を踏み踏みしてくれた記念に書いたモノです。
今回、リクエストを頂きまして、「韓国のいのの土産で一騒動。それを岡田くん視点で」ってなリクエスト。
うまく書けていたでしょうか…??(^_^;)
てゆうか、あたしが韓国行ってる間に踏み踏みしてくれたのに、お贈りするのがホントーに遅くなってごめんなさいっ!!
でも、快く受けて取ってくれてどうもありがとうでしたぁ。

しかも、文章中の太字の岡田くんのセリフは、わたあめさんが考えてくれたんだ〜♪
いのっちにトドメをさしてくれてどうもありがとう(笑)。
てゆうか、てゆうか、ロビーで落ち込んでいるいのっちですが。
「あいつら、ひでぇよなぁ」と岡田くんにグチってるいのっちですが。
そのいのっちにトドメをさしたのは、岡田くんだと思うよ〜(笑)。

Dear...Wataame.
2002.9.14

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