一日遅れのハッピーバースデー


 「はい、カットー!お疲れ様でしたー!」

学校へ行こう!の収録が終わった。

 「お疲れ様ー」

俺は、の待つ部屋へ急ごうと、楽屋を一番に出ようとした。
なのに…。

 「あっ、坂本くん!ちょっと待って!」

井ノ原に呼び止められた。

 「…何?」
 「はいっ、ハッピーバースデー!坂本くん、31歳の誕生日おめでとう!!」

振り返ると、メンバーたちが俺にプレゼントを差し出していた。

 「これで、2歳違いだ♪」

長野が嬉しそうに言う。

 「体ムリすんなよ」

剛がぼそっと言う。

 「おめでとっ!三十代、2年目!」

健がまたからかうように言う。

 「夏のコンサート、がんばろうな」

岡田が微笑んで言う。

 「坂本くん。いくつになっても、俺たちのリーダーだからなっ!」

井ノ原がいつもの目をさらに細めた笑顔で言う。

 「お前ら…。ありがとう。素直に嬉しいよ。まぁ、めでたい年ってわけでもないけどな」
 「あーっ!坂本くん、涙ぐんでるよー!」

健がニヤニヤしながら言った。

 「うるせーよ」

楽屋に和やかな雰囲気が流れた。

 「さっ、じゃあ、これから坂本くんのバースデーパーティーだー!!」

井ノ原が叫んだ。

 「え゛」

俺は、その言葉で今まで自分が急いで帰りたかったことを思い出した。

 「こ、これから…?」
 「そう。居酒屋予約しちゃったもん」
 「俺も行かなくちゃダメ?」
 「何言ってんの!主役がいなくてどうすんの!さっ!レッツ剛ー!!」
 「「「「…さみぃよ」」」」

井ノ原の寒いシャレに他のメンバーは、一斉につっこんでいたが、
俺は、それどころじゃなかった。
俺の部屋で、が待っている。
俺の誕生日を祝ってくれようと、が待っている。
急いで、携帯電話を取り出し、へ電話をした。
なのに…。

 “留守番電話サービスセンターに接続します…”

とりあえず、俺はメッセージを吹き込んだ。
なるべく早く帰るから、それまで待っていて欲しい、と…。



 「坂本くんの31歳を祝って、乾杯ー!!」
 「乾杯ー!!」

ビールの入ったグラスを持ったものの、俺の酒はいっこうに進まなかった。
時間をちらちらと気にしてしまう。
グラスに口をつけない俺に気づいて、井ノ原が絡んできた。

 「あれっ!?坂本くーん!一口も飲んでないじゃな〜い!!」
 「え…?あ、あぁ、今日はちょっと体調が悪くて…。
  悪いんだけど、今日は帰ってもいいかな…?」

すると、一斉に、

 「え〜!?」
 「主役がいなくて、どーすんだよ〜」
 「つまんな〜い!」

井ノ原、剛、健が文句を言った。
すると、長野が3人を押さえて言った。

 「まぁ、坂本くんも体調悪いときだって、あるんだからさ。今日は、帰してあげようよ。」

そして、こそっと俺に向かって、

 「ちゃんと約束してるんでしょ?さっきから時計ばっか見てるんだもん。わかるよ。
  早く行ってあげなよ」
 「長野…」

にっこりと長野は微笑んだ。

 「ありがとう。今日は、帰らせてもらうよ」

と、俺が立ち上がったとき、長野が、

 「おい、みんな!
  今日のお詫びに今度、坂本くんがみんなに焼肉おごってくれるって〜!」
 「え〜!?マジで〜!?」

え?誰もそんなこと言ってねぇぞ!?
腹黒・長野の肩をつかんで、

 「一言余分なんだよ、お前は!」
 「いいじゃ〜ん。…てゆうか、みんな知らないんだね、坂本くんとちゃんのこと」
 「…うん」

以前、との食事の帰りに、長野に車で送ってもらったことがあったから、
長野にはいろいろ話していたんだけど、他のメンバーには言ってなかった。
だから、今日のことは仕方ないんだけど…。
そして、俺がこそっと店を抜け出そうとしていると、
一番、入り口の近くに座っていた岡田がこそっと話しかけてきた。

 「お幸せに」

長野以外には話していないはずなのに、と思って、岡田の顔を見ると、
二やついている岡田の横で、長野もニヤニヤしていた。
どうやら、長野の口から岡田に伝わったらしい…。



俺は、店を出ると、急いでタクシーを飛ばした。
時計を見ると、時刻はすでに11時を回っている。
さっきから、に電話しているけど、
は、いっこうに電話にでようとしてくれない。
赤信号にイライラしながらも、やっとのことで俺の部屋に辿り着いた。
急いで、部屋に帰り、扉を開けたが、
そこには、の姿は、なかった…。

 「あ〜あ、やっぱり怒って帰っちゃったか〜…」

思わず、俺は玄関に座り込んだ。
だけど…。
俺は、どうしてもに、おめでとうを言ってもらいたい…。
俺は立ち上がり、急いでの部屋に向かった。



息を切らし、俺はの部屋のインターホンを鳴らす。
しかし、返事がない。
だけど、が中にいることは、わかっている。
扉の向こうに、の気配がしている。

 「、そこにいるんだろ?」

相変わらず、返事はないが、が扉のすぐ向こうにいることを確信した。

 「今日はホントごめん!!井ノ原たちに、急に誘われてさ、
  乾杯のあとすぐに店出てきたんだけど…留守電、聞いてくれたんだろ?」
 「………」
 「長野と岡田以外のヤツらは、俺たちのこと知らないんだよ。
  だから、今日俺を飲みに誘ってくれて…。
  それは、嬉しかったけど…。俺はメンバーも大切に思ってるから…」
 「………」
 「だけど、俺はやっぱりに“おめでとう”って言って欲しいんだ!」
  一緒に、祝って貰いたいんだよ!!」
 「………」
 「許してほしい……」

扉が開いた。
そこには、目に涙をいっぱい溜めたが立っていた。

 「…………」
 「…ごめん、昌行…。昌行が他のメンバーを大切に思ってること知ってたけど…。
  自分勝手だってわかってたけど…」

の頬に一筋の涙がこぼれた。
俺は、そんなをそっと抱きしめ、

 「…もういいよ」
 「…ごめん、昌行…」

が同じ言葉を繰り返す。

 「何言ってんだよ、謝るのは俺のほうなんだから」

俺は、にキスをした。
そして、もう一度抱きしめ、

 「……ごめん……」

俺は、に謝り、
は、俺の腕の中で小さく首を振った。


日付は、7月25日−。
俺の誕生日は過ぎてしまったけど、は俺の腕の中で、潤ませた瞳で俺を見上げながら、

 『誕生日おめでとう』

そう言った……。

俺の一日遅れのハッピーバースデー。


−−−END−−−

最後の言い訳っ。

まーくん生誕31周年記念のお話「一日遅れのハッピーバースデー」なんですけども…。
一日どころじゃねぇぞってゆう…(笑)。
申し訳ありません。
しかも、半分以上メンバーとの話だし(笑)。
でも、いいの、いいの!
「終わりよければ、すべてよし!」だから!(オイ)
2002.9.15

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