お隣さんちの健ちゃん
「健ちゃーん!」
「健ちゃんて呼ぶのやめろよー」
これが、私と健ちゃんのいつもの会話の始まり。
健ちゃんとは、お隣さん同士で幼なじみ。
しかも、私たちの部屋は、2階で隣同士だから、
何か用がある時は、2階の窓から行き来してる。
今日も、私は自分の部屋から窓づたいに健ちゃんの部屋にやってきた。
「おまえさー、もういい年なんだから窓つたって俺の部屋来んの、やめろよー」
「えー?なんでー!?いいじゃん!いちいち玄関から入ってくるのめんどくさいよ。
てゆうか、健ちゃんだって私の部屋来るのに、窓から入ってくるじゃん」
「俺はいいの!男だから」
「何それー!?」
いっつもこんな調子。
だけど、私が昔から健ちゃんに想いを寄せてるなんて、健ちゃんは全く知らない。
「ところで、何の用だよ」
「あっ、そうそう。コレ、健ちゃんが観たがってた映画じゃない?」
前に健ちゃんが観たいと言っていた映画が今上演されていることを、
雑誌に載っていたのを偶然見つけた。
「あっ、そうだ!何、今上映してんのコレ!」
「そうみたいだよ。だからさ、今度の日曜、観に行かない?」
「おぉ。いいねぇ。行こう!行こう!
てゆうか、お前、日曜だってのに、彼氏の1人もいないのかよ」
「うっさいなぁ。健ちゃんだって、彼女のひとりだっていないじゃんよ」
「俺はいいの!ホラっ、俺はこれからお風呂に入るんだから、
自分の部屋に帰りなさい!」
「わかったよ!でも日曜日は約束だよ」
「はいはい。おやすみ!」
そっけないなぁ。
昔は、二人して大きな犬に追いかけられて泣いた仲なのに。
まぁ、今はお互いに大切なものが増えたんだから、しょうがないんだけど。
とにかく、日曜日は健ちゃんとデートだ。
楽しみ!
そして、日曜日。
私はいつもの通り、窓に消しゴムを投げて健ちゃんを呼んだ。
「健ちゃーん!支度できたぁー?」
呼びかけてみたけど、返事がない。
「健ちゃーん??」
仕方なく、窓づたいに健ちゃんの部屋に入った。
ところが、そこに健ちゃんの姿はなく、一枚のメモが置いてあるだけだった。
「何コレ?」
そのメモを手に取って、読んでみた。
そこには、健ちゃんの字で、
“ごめん!!友達から急な呼び出しがかかって、映画行けなくなった!!”
走り書きのような字で書いてあった。
やっぱり、幼なじみってのは、時々せつなくなる…。
気合い入れて支度しちゃったし、仕方なく私はひとりで買い物に出かけることにした。
ショッピング街をひととおり買い物をしたあと、
オープンカフェでひとりでお茶をしている時、
通りの向こう側に、健ちゃんが歩いているのが見えた。
「あっ、健ちゃんだ!」
そう思って、健ちゃんの携帯電話に電話しようとして、自分の携帯を取り出そうとしたら、
健ちゃんは、私の知らない女のコと一緒に歩いていた。
急に電話を掛ける気は失せて、私はバッグの中に携帯電話をしまった。
オープンカフェを出てからも、不思議に家に帰る気にはなれなくて、
近くの公園のブランコにひとり座っていた。
ああいう場面を見ると、いやでも私は健ちゃんのことが好きなんだって自覚させられる。
健ちゃんは、好きな人がいるんだろうか…?
そんなことをボーッと考えていた。
次第に日は暮れて、辺りは真っ暗になった。
それでも、健ちゃんが隣りにいる家には帰る気にはなれなかった。
キーコ…キーコ…
公園で遊ぶ子供たちは、すっかりいなくなって、私はブランコを寂しくこいでいた。
そういえば、小さい頃、健ちゃんとよくブランコに乗ったっけ。
どっちが最初に押すとかでよくケンカもしたな。
するとなぜか急に、悲しくなってきて、涙がこぼれてきた。
涙を拭きながら、私はまたブランコをこぎ始めた。
「あっ!!いたっ!!」
突然の声に、驚いて振り返ってみると、
その声の主は、息を切らして走ってくる健ちゃんだった。
「お前、こんなトコにいたのかよ!おばさんが心配してるぞ。
携帯もつながらないって!」
「……」
私は、うつむいて何も答えず黙っていると、
「もしかして今日のドタキャン、怒ってる?よね!?ごめんっ!!
今度なんか埋め合わせするから!本当にごめんっ!!」
健ちゃんのこういうとこ、昔から変わらないなぁ。
「…くっ…」
私は思わず、小さく笑ってしまった。
「なんだよ!俺が一生懸命謝ってんのにィ!」
今度は、健ちゃんが頬を膨らませた。
「ねぇ、健ちゃん。今日、女のコと一緒に歩いてたでしょ?」
「え?見てたの?」
「偶然ね」
「いや、あれは、いきなり急用だって男友達に呼ばれたから、何かと思って行ってみたら、
突然、あの子とデートしてくれって」
「それで?」
「別れ際に告白されたけど、断ってきたよ」
「ふーん…」
私たちの間を気持ちのいい、夜風が吹く。
「私たちって小さい頃からずっと一緒だったでしょ?
でもさ、今はもうお互いに他に大切なものが増えて、きっとこれからもどんどん増えていくんだよね」
健ちゃんは、私の話を黙って聞いている。
「健ちゃんにとっての大切なものの中に、私は入ってる?……私は、健ちゃんが好き」
私の突然の告白に、健ちゃんは少し目をぱちくりさせた。
だけど、しばらくして、
「ものじゃない。大切な“人”だよ」
って、健ちゃんが答えた。
「健ちゃーん!」
「だから、健ちゃんて呼ぶのやめろって!」
いつもの笑顔。いつもの会話。
私たちは、いつもと変わりなく窓づたいにお互いの部屋を行き来する。
ただひとつ違うのは、
お互いにただの幼なじみではなくなったということ…。
−−− E N D −−−
最後の言い訳っ。
V6ファンへ100の質問で、健ちゃんとの理想の関係は?との質問に、
幼なじみと答えたら、ホントにお話を書きたくなった(笑)
とゆうことで、書いてしまいました。
いやん、健ちゃーん(壊)。いい感じ、いい感じ(笑)
ラストがなんだか曖昧で、はっきりわかんないと思うけど、この2人はくっついたんだよ。くっついたの!(笑)
てゆうかさ、幼なじみがくっつくって、けっこう話的に多くってさ、
金田一少年の事件簿とかご近所物語とかプレゾン99とか(笑)
きっとどっかとカブってます。
ココだけの話。
このお話を頭の中でふくらませてるとき、山口さんちのツトムくんて童謡を思い出したのね。
そんなタイトルみたいにしたかったんだけど、健ちゃんだと名字も名前も文字数が合わないんだもん(笑)
健ちゃん…健ちゃん…ツトム…ツトム…って考えてたら、薬師寺力!?に辿り着いた(爆)
しかも文字数もぴったり!!(笑)
♪薬師寺さんちの力くん〜 この頃少し変よ〜 どうしたのかな〜
そりゃそうだ。実は金狼なんだから、日々銀狼に復習を考えてるんだもん(笑)
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