風邪薬


ピンポーン…

インターホンが鳴った。
あ、誰か来た。
そう思ったけど、私は玄関に出ていかなかった。
だって今日の私は、風邪をひいて熱が出てて、動くのがおっくうだったんだもん。

ピンポーン…

もう一回鳴った。
誰だかわかんないけど、今日はごめんなさい!
は熱で動けません。
と、思ったその時、ガチャっと鍵が開いた。
え!?
もしかして泥棒!?
インターホン鳴らして、中に人がいないかどうか確かめて、
今ハヤリのピッキングで入ってきたのかな!?
私は、恐くなって無我夢中で、入ってきた人物めがけて枕を思いっきり投げた。

「いてっ!!」

もう一回、近くにあった雑誌を投げようとして、相手の顔を見ると、
なんと健くんだった。

「なんだよ、お前!随分、手荒なお出迎えだなぁ!」

健くんは、私の自慢の彼氏です。
実は、健くんは芸能人なんだ。
人気アイドルグループV6のメンバーなの。
だから、私たちがつきあってることは、誰にも内緒。

、大丈夫?」
「何が?」
「何がって、風邪だよ!、風邪ひいてるから寝てるんだろ?
ってホントにおもしろい奴だよなぁ!」

健くんが笑った。
くーっ!健くんの笑顔、ホントにカワイイっ!
でも健くんは、カワイイって言うと、怒るんだよね。
だから、カワイイって言葉は私の心の中でしか言えない言葉なんだ。

「あっ、そうそう。にある物を作ってあげようと思って今日来たの。
ちょっと待ってて!」
「?」

そう言うと、健くんはキッチンへ行ってしまった。
しばらくすると、健くんはひとつのマグカップを持ってきた。

「健くん特製、かぜドリンク〜!」
「へ?」
「井ノ原くんに教わったの。ポンキッキーズで作ったんだって。
ま、いいから飲んでみて!」
「うん。‥‥‥うぅっ!すっぱ〜い!!」
「ははっ。だってライムだもん」
「こんなの全部飲めないぃ〜!」
「ダ〜メ!全部飲むの!ビタミンCが豊富なんだから。
…なんなら、俺が口移しで飲ませてやろうか?」
「ぶほっ!ばっ、ばかじゃないの!?」

私は、健くんの作ってくれた特製ドリンクでむせながら、健くんをちらりと見た。
健くんは、イシシと、まるで子供のような笑い方で私を見てる。
私は世界一の幸せ者だと思った。
お礼を言うのなんてすっかり忘れていたら、健くんが、

「ホラ、お礼は!?」

うっ!ムカつく!
こういうとこ、まだまだ子供なんだよね。

「お・れ・い!」

まだ言ってる。

「ありがとうございますぅ!」
ってホント、素直じゃないよね!」

健くんがまた笑った。
やめてっ!私、ホントにその笑顔に弱いんだよぉ!

「…!」
「んっ?」

健くんに突然呼ばれて、横を見た瞬間、健くんが私のおでこにキスをしてきた。
いきなりのことで、私が目を丸くして驚いていると、

「風邪が早く治る薬♪…なんちって」

テレビに出ている健くんは、しっかり者だけど、
彼女の私には、こんなカワイイ一面も見せてくれる。
やっぱり私って世界一の幸せ者だよね。

「ありがと」

私は、今度は素直に微笑んで言ってみた。
すると、健くんは、今度は口にキスしてきた。
そして、今度は真剣な顔つきで…

「…俺、風邪うつるかもな…」

その日、私は風邪で熱があったにもかかわらず、健くんと一晩一緒に過ごしてしまった。
でも、健くんという風邪薬が、どの風邪薬よりもよく効いたと思う。

翌朝、健くんは仕事だと言って、帰っていったけど、
私の風邪がうつったことは、言うまでもない...。
でも、大丈夫!
今度は私が特製かぜドリンクを作ってあげるから!

−−− E N D −−−

最後の言い訳っ。

この話、ホントは最初、いのっちで書いたんですけども、
(ポンキッキーズの風邪ドリンクが出てきてるし)
だけど、健ちゃんのほうがかわいいかしら?と思って、書き直してみました。
「ダ〜メ!全部飲むの!ビタミンCが豊富なんだから」っていかにも健ちゃんらしくて、
かわいいなぁ…(呟)

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