星に願いを
Hiroshi Nagano


今日で1ヶ月…
博と逢っていない。
それは、博の仕事がとても忙しいから。
私は、逢いたくて逢いたくてしょうがないけど、
博にはそんな時間がない。

電話やメールは、かかさずだけど、
やっぱり逢えないっていうのは、どこか寂しくて、
思わず、テレビに映っている博に話しかけてたりする。

そんな想いがそろそろ限界だった。
そんなこと、つきあい始める時からわかっていた。
今まで、我慢していた。
博に迷惑はかけたくないから、逢いたいって言葉は、言えなかった。
だけど……

ふとカレンダーの今日の日付に目がいった。
あっ……
今日って、7月7日……七夕だ……。
子供の頃は、よく笹に短冊をつるして、願い事を星に祈ってたっけ……。
……願い事……?
私の今の願い事は……博に逢いたい……。
ただぞれだけ。たったひとつだけ。

私はもうとっくに大人だけど、子供みたいだけど、
短冊にその願いを託してみた。
そして、それをちっぽけなひとかけらの笹につるしてみる。
それだけで願いが叶うなんて、思わなかったけど、
ほんの少しだけ、寂しい気持ちがまぎれる気がした。

ベランダへ出て、空を見上げてみる。
満点の星空だった。
私は、星に祈った。
博に逢いたい……。

ピンポーン……

その瞬間、インターフォンが鳴った。
私は、扉を開けた。
その扉の外に立っていたのは、なんと、博だった。

 「……博……?」
 「久しぶり!」

いつもと変わらないあの笑顔の博が立っていた。

 「…突然…どう…したの?」

私は、一瞬、目の前に立っている博がホンモノなのか、幻なのか、
訳がわからなくなって、言葉がうまく発せなかった。

 「に逢いたくなった」

博は、また笑顔で答える。
その瞬間、私は博に抱きついていた。

 「ちょっと、!?」
 「ズルイよ、博」
 「なんだよ!?どうかしたの!?何かあった!?」

涙声だった私を心配して、博は尋ねてくる。

 「……逢いたかった……」
 「……俺も」

自然に、私と博の唇が重なり合う。

 「ご、ごめん。いきなり抱きついちゃって。博、疲れてるのにね。お疲れ様!上がって!」

博に逢えた安堵感から、我に返った私は、博を部屋の中へ招き入れた。

 「いや、そんなことないよ。お邪魔します」

冷蔵庫から、飲み物を出していると、何故か、博は私の後ろで黙っている。

 「どうしたの?」
 「何、コレ」
 「?」

博の目線の先には……さっき私が書いた短冊があった。

 「きゃー!!見ないで!!」

私は、急いで隠したけれど、時はすでに遅し。
博は、ニヤッと笑った。

 「ちゃん、かわいいでちゅねー。お星様にお願い事してたんでちゅかぁ」

わざと私をムカつかせるように、子供に話しかけるような言葉を使ってきた。
私は、思わず、

 「誰のせいだと思ってんのよ!!
  こっちは、逢いたくても逢えなくて、ずっと寂しかったんだからッ!!」

言ってしまった…。
今までニヤニヤしていた博は、真面目な顔つきに変わった。
そして、私に近づいてきて、抱きしめてきた。

 「ごめん」
 「…博…」
 「ごめん」
 「何度も謝んないでよ…」
 「ホント、ごめん。俺が忙しいばっかりに…」
 「大丈夫だよっ。私が勝手にひとりで寂しがってただけだからっ」
 「……それは違う」
 「え?」
 「俺だって、にすげー逢いたかった。逢いたくて、逢いたくてしょうがなかった」
 「…博…」

寂しい思いをしてるのは、私だけじゃなかった。
博も同じ想いだった。

 「、きっと俺に負担がかかるとかって思って、言わなかったんでしょ?」
 「え…?」
 「のことは、わかってるから」

博が微笑んだ。

 「これからは、ちゃんと言いなさい!遠慮なんかしないで!
  そしたら、すぐに俺は、の元へ飛んでくるからさっ。わかった!?」
 「わかった…。博…ありがと…」
 「よしっ」

と、言って、博は、私の頭をポンと軽く叩いた。

 「あ…」

私は、小さく声をあげた。

 「何?」
 「コレ、願い事叶っちゃった」

“博に逢いたい”と書いた、短冊をヒラヒラさせながら、私は言った。

 「もう必要ないね」

と、私はその短冊を丸めようとした。
すると、博が、

 「ちょっと待って!!」
 「え?なんで?」
 「俺が預かっておく」
 「なんでよ!?」
 「の想いが嬉しかったから」

と、博は、軽く私にキスをした。

 「んもう…」


私の子供じみた願いは、叶ってしまった。
空を見上げると、織姫と彦星の再会を祝うかのように、
星がキラキラと輝いていた。

 「私と博も、まるで織姫と彦星のようだね」

って、あとで博に言ったら、サムイなんて言われてしまったけど、
織姫が、彦星に再会できた時の気持ちって、きっとこんな感じなんだろうな、なんて考えてた。


ところで、博が私から奪ったあの短冊。
その後どうしたかというと、博は、他のメンバーに見せて、自慢しているらしい……。
ハズカシイなぁ、もう……。


−−−END−−−

最後の言い訳っ。

寂しくなったら、博は、ホントにすぐにちゃんの元へ飛んできてくれるでしょうね。
なんてったって、彼はウルトラマンなんですからっ(笑)。
優しい笑顔で、扉の外に立っている博……あぁ…目に浮かびます(笑)。

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