|
ドキドキ
ひょんなことから、博の部屋に遊びに来ていたいのっちに、 私はこんなことを口走ってしまった……。 「こないだのミュージックステーションのアクロバット、最高にドキドキしちゃったよ!」 「でも、結局は成功してたじゃん」 「まぁね、俺たちは本番ボーイズだから」 「何それ〜?」 博がトイレに立ったときのその少しの時間に、そんな話になった。 それまで、いのっちの言葉に、私は笑っていたけど、 ふと、その瞬間、私は考え込んでしまった。 「私……最近、ドキドキするようなことがないなぁ」 「え?何、長野くんとの関係がマンネリしてきたってこと?」 「ち、違うよ!そんなんじゃないけど、ただここんとこ、ドキドキしてないなーって」 「ふーん……」 いのっちが鼻を鳴らしたとき、ちょうど博がトイレから戻ってきた。 「ふたりで何話してたの?」 「ううん、別に。こないだのミュージックステーションのアクロバットのこととかね」 私は、急に何を言い出しているんだ、とハッと気が付き、 それを博に悟られないようにと、振る舞った。 それから数日後。 私は、いのっちにあんなことをぼそっと漏らしていたことさえ忘れて、 今日も博の部屋にいた。 「、今日は、ゆっくり一緒にいられるんだよね?」 「え?うん。てゆうか、それって、普通、私が言うセリフじゃない?」 「あ、そっか」 「そうだよ。博、もしかして疲れてる?」 ふたりで笑い合った。 そんなことを急に言い出した博をちょっと変だなって思ったけれど、 それがまさか先日の自分の言葉のせいだとは、私はこのときは知る由もなかった……。 ふたりで過ごした夜も充分に深まった頃、博が突然、 「、ここに座って」 私に向かって、そう言った。 「え?なんで?」 「いいから、ここに座って!」 博は、私の肩を掴み、床に座らせた。 博の突然の変な行動に、思いっきりはてなマークを頭に浮かべる私。 そんな私に構わず、博は部屋の中にあった電気スタンドの明かりを点け、 部屋の電気を消した。 「ちょっと何なの?」 博は、私の質問に何も答えない。 さっきから博の意味不明な行動に、私もなんだかいい加減、イラついてきた。 自然と口調もちょっときつくなっていた。 「博ってば!突然、私をこんなとこに座らせて何するの?」 すると、博が私の目の前に腰を下ろした。 「博……?」 私が博の名を呼んだとき、淡い明かりの中で博が少しだけ微笑んだ。 それは、いつも見ている博の優しい微笑み。 テレビでも、コンサートでも、大勢の人に見せているようなそんな微笑み。 けれど、私が“え……?”と思った瞬間、 博の顔が変わった。 今まで見たことないような、すごく真剣な眼差し。 そのとき、私の心臓が“ドキッ”と大きく反応した。 「ひ、博ってば、何……?」 博は、私の言葉など気にもせず、表情も変えない。 そして、私にだんだんと近づいてくる博の右手。 その博の右手が私の耳元に触れた瞬間、 博の優しいキスの感触が私の唇へと伝わってきた。 その甘い感触に、今まで博のよくわからない行動にイラついていたことも忘れ、 私もゆっくりと瞳を閉ざす。 そして、博と私の唇が離れたとき、私は博の大きな腕の中にいた。 私の鼓動は、もうこれ以上は刻めないというくらい、頂点に達していた。 ヤバイ……。 私の心臓の音が、博に聞こえちゃう……。 「博……」 何がなんだか、訳のわからない状況で博を呼ぶ声も微かに震えている。 「井ノ原が……」 「え?」 やっと博が口を開いた。 「井ノ原が教えてくれたんだ。前に、ちゃんがこんなこと言ってたよって」 「え?」 「が最近、ドキドキを感じてないって言うからさ」 「いのっち、博にしゃべっちゃったの?」 「うん、聞いちゃった。だから、俺なりの演出を考えたんだ。どうしたら、は俺にドキドキを感じてくれるんだろうって」 「……」 私は、黙って博の言葉をひとつひとつ聞き入れていた。 「……の鼓動、今すっごく伝わってくるよ」 「博……」 博の温かい手が私の背中へと添えられている。 「私の心臓が、もうこれ以上、鼓動を打てないって言ってる」 「だって、の鼓動すっごく早いもん」 博の笑った声が斜め上から聞こえてくる。 「あ、別に博との関係がマンネリしちゃったとかってそういうんじゃないよ!?」 私は、いのっちがそんなことを言っていたのをハッと思い出し、 博の顔を見て、付け加えた。 「大丈夫、わかってるって」 博は、また優しく微笑んだ。 そして、博はまた私を優しく抱き寄せる。 「ねぇ、博、もうちょっとこのままいてもいいかな?」 「いいけど、の心臓、大丈夫?」 私の激しい鼓動は、博の手からまだ伝わっているらしく、 博はそう言って心配してくれたけど、 私は、全然大丈夫だよ。 博がそばにいてくれる“ドキドキ”なら、 私はいくらでもいつまでも鼓動を打っていたいから。 博が私のためにこんなことをしてくれるのなら、 どんなに早い鼓動でも耐えられるから。 だから、ずっと私のそばにいてね、博。 −−−E N D−−− 最後の言い訳っ。 すいません、すいません!(笑) もはやこのヒロスィは、あたしの趣味です!(笑) 基本的に「真剣な眼差しのヒロスィ」にドキッとするのは、あたし個人でして…(笑)。 『あたしは、そんなヒロスィなんかじゃなくて、にっこりヒロスィがいい!』なんて方は、ゴメンナサイね…(笑)。 それにしても、ヒロスィは随分クサイ演出をするもんですなぁ(笑)。あークサ……(笑)。 2003.7.19
|