愛が止まらない


「え゛!?」

私は、お風呂場で、思わず大きな声を上げた。

「もしかして……太った……?」

思い当たるほど、間食はしていないし、ヤケ食いもしていない。
考えられる原因は、ただひとつ。
あいつ。
長野博。
博と付き合い始めてから、外食が増えていろんな店へ出かけるようになった。
静岡まで車を飛ばすこともしばしば。
私としても、外食は嫌いじゃなかったし、
博の運転する車でのドライブは、とても楽しかったから、
博に時間ができる度、私たちは外食していた。
それがさらに頻繁に続いた今日この頃……。
私は、自分の体の変化にようやく気がついた。

「ヤバイ……」

おなかあたりのゼイ肉をつまみながら、さらに私のひとりごとは続く。
博にとってみれば、普段踊ったりしているし、
そんなのはすぐにエネルギーに換えられてしまうから、特に気にしてもいない。
私は、普段、全然運動なんかしなくなったし、
動くといったら、家と会社の通勤の間だけ。
そんなふたりが同じ物を食べてなんかいたら、
運動してない人だけが太っていくことなんて当たり前だ。

「外食少し控えようかな……?」

鏡の中の自分を見つめて、そんなことをふと思ってみた。



「あれ?、もしかして……太った?」

今日、久しぶりに会った友人に、会った途端、そう言われた。

「え…。やっぱり?見た目でもわかっちゃうかぁ」
「何?ヤケ食い?」
「ううん。彼氏と外食してるだけ」
「それだけで、太るもんなの?」

それは、普通の彼氏の場合だ。
博の場合、おいしい店をくまなく知っている。
そんな店へいつも食べに行っていれば、私の食も進み、次第に量も多くなってくるのだ。

「普通さぁ、彼氏がいたら、キレイになろうって、ダイエットして痩せるもんだけどねぇ。
あんたの場合、逆じゃん」

友人は、ケラケラ笑っていた。
確かに、友人の言うとおり。
何も言い返せなかった自分が悔しかった。
よし!決めた!
博には悪いけど、私はしばらく外食を控える!
そう、心に決めた……。



RRRRR………

博専用の携帯電話の着信音が鳴った。

「もしもし?」
『あ、?これからごはん食べにいこうよ。今から迎えに行くから、支度しといて!』
「ごめん、博。私、行かない」
『え!?なんで!?の好きなラーメンだよ?新しくおいしい店見つけたんだけど…。
もしかして、どこか具合悪いの!?』
「そんなんじゃないけど……」
『じゃあ、何でー?行こうよー!』

博のその子供のような声に、一瞬、私の決心がグラついた。

「ごめん!博!とにかく、今日は行かないから!」

私は、強引に電話を切った。
これも自分のため。
博のため……。
博と並んで歩いても、つり合う彼女になるため、私はがんばるんだ!
私は、さらに決心を固めるため、さも思い出したかのように、突然、腹筋をし始めた。



ピンポーン………

突然、インターフォンが鳴った。

「はい?」
『俺』
「博!?」

ドアの外には、心配そうな顔をした博が立っていた。

!?一体、突然どうしたんだよ!?」
「博……」
「汗なんかかいちゃって、熱でもあるんじゃないの!?」
「あ、いや、これは……」

今まで、腹筋してたからだなんて、恥ずかしくて言えない……。
でも、あんなよくわからない電話でも、心配して家まで飛んできてくれるなんて、
やっぱり博らしい。
私は、思わずふっと笑ってしまった。

「何がおかしいんだよ?」
「ううん。何でもない。心配してわざわざ来てくれて、ありがとう。
でもホントに、具合が悪いわけじゃないの。実はさ……」

外食続きで、太ってしまったことを正直に、私は博に話した。

「おほほほほほほほほほほ〜」

博の甲高い笑い声が、部屋中に響き渡った。

「ちょっと何よ〜。そんなに笑うことないでしょう?」
「ごめん、ごめん。だって、熱出して、汗かいてんのかと思ったら、
腹筋してたからなんて、絶対笑えるって〜」

と、謝りつつも博は、まだ笑っている。
まったく、誰のためにダイエットしようとしてるのよ……。
私は、頬を膨らませた。

〜。怒るなって〜!」

博が私の頬をつねってくる。
でも、すぐに声のトーンが下がってしまった。

「……でも、が太ったのって、俺のせいなんだよね。
俺がをいろんな店に食べに連れ回してたから……」
「博……」
「なんかさ、俺、のおいしそうに食べる顔が好きでさ。
だから、おいしい店にを連れて行ってあげたくなっちゃって……。
ごめん。今度からは、手作りのご飯にしようか?」

私の顔を見た博の目はどこか寂しそうな感じで……。
その博の顔を見た瞬間、私の中の理性が崩れていく音が聞こえた。

「……やっぱり、ダイエットなんて辞めたっ!」
「え!?」
「ダイエット辞める!博とおいしい店行く!」
「え…?でも……」
「いいのっ。博は、私のおいしそうに食べる顔が好きなんでしょ?
だったら、私もそう。私も博のおいしそうに食べる顔が好きだから」
…」
「それにね、おいしい店行くだけじゃなくて、博とドライブできるのも楽しくてさ」
「そっか…」

博の温かい手が私の頭の上へ乗っかった。

「ねぇっ、博。さっき電話で言ってた、おいしいラーメン屋さんこれから行こうよ!」
「え?これから?」
「腹筋したら、なんかお腹空いてきちゃった」
「実は、俺も腹空いてたんだよね。よしっ!行こう!」

そう言って、博は立ち上がった。
そして、上から博の手が私の目の前へと差し出された。
私は、そっと博の手の上へ自分の手を乗せる。
私の手が乗ると、博はぎゅっと私の手を握った。

やっぱり好きなものは、止められないよね。
博のおいしそうに食べる笑顔。
博とのドライブ。
それに、おいしい料理。

「あっ、ちょっと待って!私、汗かいてかきっぱなしだから、シャワー浴びてくる!」
「あ、そうだね。風邪ひいちゃうよ」
「博、悪いけど、ちょっと待っててね」

私が、お風呂場へ行こうとすると、今までつないでいた博の手に突然引っ張られた。
えっ?っと思った瞬間、唇に温かい温もりを感じた。
不意に、博にキスをされた。

「待ってるよ」

って、博が微笑んだ。
博の表意を付いたその行動に、私が思わず赤面してしまったのは、言うまでもない。

私がシャワーを浴びている間も、博はとってもご機嫌で、
お風呂場の外から、博の歌声が聞こえてきた。
やっぱり、体のことを考えるのは、また今度でいっか!
私は、シャワーを素早く浴びて、博の元へ飛び出していった。



−−−E N D−−−

最後の言い訳っ。

最近、博=食いもんって感じだよねー(笑)。
でも、メントレレストランをやるとしたら、きっと支配人は井ノ原に持っていかれると思う(笑)。
ぐっさんのように…(笑)。
あと、最後の博が歌っていたと思われる曲は、Dahliaだと思われます……(爆)。うひゃひゃ★
しっかし……このお話のタイトルが意味わかんねーなぁ(笑)。
2003.4.13


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