|
DAY 〜今日から〜 カーテンの隙間から差し込む朝の光で、俺は目が覚めた。 ふと、横を見てもの姿はもう、ない。 ちょうど一ヶ月前、俺たちは突然の別れを決意した。 は、目にあふれるほどの涙を溜めて、何も言わずに俺の部屋を出ていった。 特別な理由があったわけじゃない。 お互いが嫌いになったわけでもない。 俺たちはどこかで、こうなることをわかっていた。 俺は、ふとカレンダーに目をやる。 今日の日付に、以前がつけた丸い印がついている。 今日は、10月9日−。 俺の30歳の誕生日だった。 「ハッピーバースデー!!長野くん!!」 俺は、井ノ原の家にいた。 メンバーが俺のバースデーパーティーを開いてくれたのだ。 「ありがとう。23歳でデビューした俺も、ついに、V6結成7年目で三十路を迎えました! これからも、坂本くんの後ろにぴったりとくっついて、 世間から、年のことを振られないようにがんばりますっ!」 「おいっ、長野!なんだよ、それ〜!」 メンバーの笑いが部屋中に、響き渡った。 だけど、俺はどことなく中身がスカスカしているよう感じがする。 もちろん、メンバーが俺の誕生日のために集まり、祝ってくれたことは、確かに嬉しい。 こんな素晴らしい仲間が俺には5人もいるんだと、俺はつくづく幸せだと思う。 だけど……。 この世で一番祝って欲しいが、俺の側にいない……。 井ノ原の家からの帰り、俺はふと、いつもより遠回りして帰ろうと思った。 なぜか突然、そう思った。 夜の街中を車を飛ばす。 今夜は、珍しく都会の夜空でも星が見られるような快晴で、澄み切った空だった。 見上げた目線を下へ下ろしたとき、ひとりの人物が視界に飛び込んだ。 だった。 俺は、一瞬ためらったが、思い切って、の側へ車を寄せた。 突然、現れた俺に、は驚いていた。 「今、ちょっと時間あるかな……。話がしたいんだ」 もしかしたら断られるかもしれないと思ったが、は黙ってうなずき、 助手席に座ってくれた。 俺もホッとして、運転席へ身を滑り込ませ、エンジンをかけた。 しばらく車を走らせ、俺たちは海岸へとやってきた。 珍しく透き通った夜空に、夜風が気持ちいい。 俺とは、砂浜に腰を下ろした。 「……久しぶりだね……元気だった?」 「……うん。……博さんも仕事無理してない?」 「うん」 1ヶ月ぶりのの声。 たった1ヶ月なのに、俺にはもう1年も聞いていないように思えた。 「「………」」 またお互いの沈黙が続いた。 そのとき、耳に髪をかけたの指に、光るものが見えた。 それは、俺には見覚えのない指輪だった。 「……新しい彼氏できたんだ」 「……え?……あっ、うん……」 俺の言葉に、は手をうしろへと隠した。 のその行動に、ちょっと救われたけど、それはそれでやっぱりショックだった。 はっきり言って、俺はに未練があった。 と別れてからのこの1ヶ月間。 俺は、あいの残像が見えて仕方なかった。 それほどまで、俺はを愛していたのかと、別れてから改めて自分の気持ちを知っ たのだ。 できることなら、このままとずっと一緒にいたい……そう願わずにはいられな かった。 「……新しい彼氏は、優しい?」 何、俺は自分を追い込むようなことを聞いてるんだ……。 は、俺の質問に、遠くの海を見つめながら答える。 「……うん、まぁね……」 「……そっか……」 またしばらくふたりの沈黙が続く。 すると、がその沈黙を破り、口を開いた。 「今日……博さん、誕生日だったよね」 「え…?」 が俺を見た。 今日、ここへ来て、初めて目があった瞬間だった。 「おめでとう」 が少し寂しげな笑顔で、そう言ってくれた。 その瞬間、気づくと俺は、に抱きついていた。 「博さん……」 「ごめん、ごめん。でも、俺はやっぱりのことが好きなんだ。 と別れてからのこの1ヶ月、俺は寂しくて、寂しくてしょうがなかった。 、俺のところに戻ってきてくれよ! が俺のそばにいてくれなきゃ、俺は……笑うことができない……」 そのとき、の背中がかすかに震えていることに気がついた。 の顔を見ると、あいは大粒の涙をこぼしていた。 「……」 「博さん……私もやっぱり博さんじゃないと、心の底から笑えない……」 「……だって、……今の彼氏は……」 「博さんのこと忘れようと思って……。 自分でもひどい奴だって思ったけど……。 博さんと一緒にいる頃より、博さんことばっかり考えちゃう自分がイヤだったか ら……」 大粒の涙を流しながら話すの体を、俺はもう一度優しく抱きしめた。 「、俺たちもう一度やり直そう。今度こそ、絶対失敗はしない。 俺もあいも、幸せになろうよ……」 俺の言葉に、は黙ってうなずいた。 そして、俺はの瞳を見つめ、誓いのキスをした。 俺は、の手を握りしめる。 は、俺の手を握り返してくれた。 この手は、ずっと離さない。 俺たちは、別れる以前以上に、絆を深めた。 新しい俺たちがここから始まる。 DAY、今日から………。 最後の言い訳っ。 博さん生誕30周年記念作品。 「三十路上等祭」にも置いてあります。 てゆうか、やだ、これ、恥ずかしい!(笑) しかも、最初にタイトルを決めてから書いたから、無理矢理だし(笑) せっかくの三十路だとゆうのに、ごめんなさいね!博さん! |