Through to...


“お客様のお掛けになった電話番号は、
 電波の届かない場所におられるか、電源が入っていないため、かかりません…”

まただ…。
これで何度目だろう…?
さっきからの携帯電話に電話しているのに、返ってくるのは、このアナウンス。
の奴、今日、何か大事な用事があるとかって言ってたかなぁ?
俺は、気になってしょうがなかった。
そんな俺に気づいたのか、健が話しかけてきた。

 「どうしたの?長野くん。なんか心配そうな顔して」
 「…うん。のケータイにさっきから電話してるんだけど、全然繋がんなくって…」
 「なんだ、そんなこと」
 「そんなこととは、なんだよ!?」
 「どっか、地下鉄とか乗ってんのかもしんないじゃん。
  すぐ繋がるって!」

と、健は、俺の肩をポンと叩いた。

 「なら、いいんだけど…」

だけど、俺はなんとなく納得できなかった。


 「長野くん!お疲れー!またねー!」
 「お疲れ様」

仕事が終わった。
メンバーが自分の家へ帰っていく中、俺はひとりで楽屋にいた。
やっぱり、のケータイは繋がらない。
これで、何時間になるだろうか…。
そんな長い間、地下鉄に乗っているわけがない。
もう夜も遅いけど、の家へ行ってみようと、ガタッと椅子から立ち上がった時、
坂本くんが楽屋の中に入ってきた。

 「あれっ?長野、お前、まだいたの?」
 「あっ、坂本くん…」
 「どうした?浮かない顔して」
 「実は…」

俺は、坂本くんに、さっきから何時間ものケータイに電話しても、
いっこうに繋がらないことを話した。

 「そっか…。地下鉄に乗ってるなら、そんな何時間も圏外なワケないもんなぁ」
 「…もしかして、病院とか…?」
 「病院かぁ。電源入れられないもんなぁ。
  でも、電源切ったまま、入れ忘れてるってことも考えられる…って、おい、長野!?」

俺は、その瞬間、楽屋を飛び出していた。
事故にでも遭ったのだろうか?
そう思うと、いてもたってもいられなくなった。


とりあえず、の部屋へ向かってみる。
夜の高速を飛ばす。
赤信号がじれったい。
一秒でも早くの家へ着きたい…。
俺は、カーラジオから流れてくる音楽さえ、耳に入らなかった。


のアパートへ着いた。
だけど、部屋の電気が点いていない。
時計を見ると、すでに日付は変わっていた。
当然、インターホンを押してみるけど、
中からは、元気なの返事は、聞こえてこない。

 「どこにいるんだ…」

俺の不安は、積もるばかりだった。


RRRRR………

俺のケータイが鳴った。

 「もしもし」
 「長野?俺、坂本」
 「あ、坂本くん…」
 「ちゃんいたか?」
 「いや、部屋には帰ってない。誰もいないよ」
 「そうか…」
 「、事故にでも遭ったのかなぁ!?どこ行っちゃったんだろ…」

俺は、の部屋の扉の前にしゃがみ込んだ。

 「長野、落ち着けよ。ちゃんの実家の電話番号とかわかんないか?」
 「俺ん家帰れば、わかるけど…」
 「じゃあ、とりあえず、ちゃんの実家に電話してみろよ。
  もし、事故に遭ってたら、何か連絡いってるだろうから」
 「わかった。ありがとう、坂本くん」
 「いいって。それより、運転気を付けろよ」
 「ありがとう」

坂本くんとの電話を切って、俺は、いったん自分の部屋に戻ってみることにした。
道路を走る車もだいぶ少なくなって、順調に車を飛ばせた。


急いで、自分の部屋に戻ると、俺の部屋の扉の前に人影が見えた。
俺は、その人影に近づいてみる。

 「あっ、博!やっと帰ってきたぁ」
 「!?」

扉の前にいた人影は、なんと、だった。
俺の顔を見た途端、は笑顔になった。
俺は、その笑顔のを見た途端、に抱きついていた。

 「ちょっと、博!?」
 「のケータイ全然繋がんないから、心配したよ…。
  事故にでもあったんじゃないかって…」
 「ごめん、博…」
 「何があったの?」
 「…実は、地下鉄乗ったあと、ケータイ水たまりに落としちゃって、壊れちゃったんだ…。
  ケータイショップも閉まっちゃってたから、どうすることもできなくて…。
  博に連絡しようと思ったんだけど、博の番号覚えてなくて…。
  心配かけちゃったみたいで、ごめんね…」
 「…だから、俺ん家の前にいたのか」
 「…うん…」

は、俺の腕の中で、小さく頷いた。

 「今が冬じゃなくて、よかった…」

と、言って、俺はズボンのポケットから、ひとつの鍵を取り出した。

 「はい」
 「…コレ……博の部屋の鍵??」
 「そう。近いうちに渡そうかと思ってたんだ。
  これで、もうこんなトコで待ってなくてもいいから」
 「ありがとう、博…」

涙ぐんでいたに、俺は微笑んだ。
とにかく、が事故になんかに遭ってなくて、本当によかった。
が笑顔で俺の前にいる。
心の底から、ホッとした。
そして、俺は、

 “と繋がってないと不安だから、早くケータイ直してね”

って、に言った。


−−−END−−−

最後の言い訳っ。

ちゃん、博にすっげ愛されてるよ〜(笑)
幸せモノだぁ〜★
てゆうか、「続・星に願いを」みたいだねん。

ちなみに、BGMは、S.E.S.の「I WILL...」(笑)←さっそくかよ。
いい感じに、あたしの執筆も進みましたぁ。

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