参戦報告
最臭兵器シュールストレミング迎撃OFF

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シュールオフ決行報告 

 投稿者:ばんざい  00/07/15 Sat 23:28:47

 本日、昨年から計画されて予定が流れっぱなしだった「シュールストレミン
グを食すオフ会」(シュールオフ)がついに決行されました。
 首謀者は鷹司<マッドエンジニア>史朗氏。
 更に、忍女史(直射日光にさらすのが惜しい色白美人)のおかげで、ドリア
ンも賞味することが出来ました。
 改めてお礼申し上げますm(__)m

 シュールストレミングとは、世界一臭いと評判のスウェーデン製のニシンの
缶詰です。
 ここでは私の目を通したシュールオフの詳細を描写したいと思います。


シュールオフ参戦記1 
 西暦2000年、7月15日(土曜)。
 私はこの日の事を忘れないであろう(当分)。

 作業着用にとって置いた、着古しのジーンズとデニムシャツに身を包み、愛
機VTR250で出撃。戦闘服と呼ぶには余りに貧弱な装備だが、今日恐れる
べきは転倒ではない。
 奴に汚染された際は、惜しげもなく焼却処分する覚悟である。
 息が詰まるような高温多湿の大気を掻き分け、相模原へ。
 待ち合わせ場所の橋本駅はせせこましい。ロータリーを一巡した後、待ち合
わせ場所とおぼしきエスカレータ脇にバイクを停めてから、ふと見覚えのある
バケツ装備のラシーンを発見。
 コクピットをヘッドライトで照らし、ブリッピングして注意を喚起すると、
やや遅れてドライバが顔を上げる。やはりLAVI氏だ。

 PHSの着信を確認すると、某女史から敵前逃亡の連絡。
 2次会には参加したいとのたまうが、奴の返り血を浴びた我々を、一般市民
は受け入れるだろうか?

 程なく戦友達が集う。総勢8名。
 自己紹介もそこそこに、装備を調えに出撃。
 こんな馬鹿げた作戦に志願するイカレた奴らだ。どうせ一癖も二癖もある兵
共に違いない。

 決戦の地、相模川河川敷には、家族連れがちらほら見受けられた。阿鼻叫喚
の戦場となることも知らず……。
 川には鮎釣り客も見受けられたが、全く釣っている気配すらないところを見
ると、あるいは我々の作戦を感知した某国諜報部員の変装という可能性も否め
ない。
 我々もバーベキューを楽しむ無害な若者を装いつつ、奴との戦いに備え鋭気
を養う。

 やがて栄養補給も完了し、皆の戦意も高まる。
 頃や良し。
 いよいよ本作戦の最終攻撃目標、シュールストレミングとの
決戦の時だ。
 奴の鎧をこじ開ける為のアーマーピアシング(缶切り)――が無い!
 不手際の責任を追及された同志鷹司が、装備調達に走る。
 ――が、帰って来ない。
 まぁ、殺しても死なない不気味なタフな野郎なので誰も心配しない。

 その間に忍女史が捕獲してきたドリアンを血祭りに上げることにする。
「果物の女王」とかぬかしていきがっているらしいが、血に飢えた野獣共の前
には単なる濃厚なチーズとプリン風味のバナナでしかなかった。
 しかし立ち読み愛好家氏はこの女王様に魅入られてしまったらしく、「やべぇ、
止まらない」と貪っている。
 どうやらドリアン中毒に冒されてしまったらしい。
 これからは定期的に体内ドリアン濃度を保たないといられない身体になって
しまった事だろう。
 グッバイ、ドリアン立ち読み氏(注:死んでません)。


シュールオフ参戦記2 

「鷹司挙動不審につき逮捕説」などささやかれたが、無事帰還。
 キャンプ場だから缶切り位売っているだろうと言う見通しは甘かったらしく、
売店から徴発拝借してきたらしい。さすが腐れ外道勇者。
(ここだけの話だが、彼は今回他にもLAVI氏の椅子に焼き肉のタレを散布
するなど、恩仇行為の連打である)

 さて、いよいよお待ちかねの最終決戦だ。
 しかし正直、私はかなり余裕をくれていた。
 バーベキューで腹も膨れ、女王様ドリアンもさして苦もなくいなした戦友達
と歓談し、すっかりリラックスしまくっていたのである。

 確かに奴(シュールストレミング)は、開封前の外観からして威圧的だ。
 スチール製の缶が内圧でかなりヤバめに膨らんでいる。
 しかし、これで開けたら大した事なかったら期待外れだな等と変な心配さえ
していた。
 ましてや缶を水没させていきなり水責めである。
 白いポンチョで完全武装し、異様な威圧感をキャンプ場に放っている鷹司氏が、
単なる道化に終わるのではないか?
 そんな人道的不安を抱きつつ、シュールストレミングに挑む勇者鷹司を生暖
かい目で見守る。

ばしゅうっ!

 うぉおお!?
 鍋に水没させているにもかかわらず、2、30cmは水柱が上がりましたよ
?
 うぅむ。期待を裏切らない難敵である。

ぼしゅう!

 ぅぬわっ!?
 なんと奴はまだ活きていた?
 第二撃で更に噴出。
 うわ、勇者鷹司に何かついてる! 何かついてる!! 灰色の粘液が!
 だが、ここは戦場。
 被害の拡大を防ぎ、戦力を温存する為、みな心を鬼にして戦士鷹司を見守る。
 そう、彼は勇敢だった。
 第三撃。

ぶしゅう!

 おぉ、まだ噴くか!
 我々は距離を取って警戒しつつ風下に回り、様子を伺う。
 腐臭だ。有り体に言って腐った魚そのものの臭いだ。
 不意に鴉が数羽、河原に降り立つ。死臭に惹かれたか?
 確かに強烈だ。が、臭気の強烈さにかけては、加熱するくさや程では無いよ
うな気がする。

 やがてダメージを負いつつも戦い続ける勇者鷹司の手で、奴の全容が白日の
下に晒される。

  何か、増えてやがる!

 明らかに缶の容積より、大気解放された奴らの体積の方がでかい。
 しかも、グロい。見た目が。
 缶詰のくせしてナマっぽい赤と灰色で濁ってる。
 ちょっと深海魚的な感じ。
 これ、ホントに喰い物か?

 皿にあけられた奴等は、魚の死体そのものだ。
 いや、普通我々が食する魚も当然死んでいるのだが、とても同列に語れない。
 どこからともなく蠅も寄ってくる。
 いままで他の食材を放置していても全く姿を見せなかったのに。

 だが、ここまで来て後には退けまい。
 我々は口直し用の茹でじゃがいもと共に、奴に箸をつけた。


シュールオフ参戦記3 
 さぁ、世界最凶の最臭兵器の攻略だ。

 箸で一切れ摘む。
 ぐずぐずに崩れているかと思いきや、意外としっかりした手応え。
 箸では千切れない(-_-; やむなく一尾丸ごと皿に取る。
 ドブ臭い(-_-; が、むしろ臭いより濁った色がイヤ。
 意を決して噛み千切る。
 身の歯ごたえはナマに近い。鰯の刺身のようだ。が、骨が柔らかくなってい
る辺りが発酵食品。
 皆は塩辛いと騒いでいるが、耐えられないほどではない。
 が、旨くもない。ドブ臭さが口腔から鼻腔へ広がるだけである。
 忍女史は「子供が美味しい」とのたまう。数の子が入っていたらしい。

 味と食感に関して言えば、「塩味の効いた活きの悪い刺身」が私の感想であ
る。
 ともあれ、義務は果たしたという事にして、一切れで撤収。

 あぁ、ジャガイモが旨い(もくもく)。

 だが、奴との戦いは終わってはいなかった。
 奴の真の脅威は、直接的なダメージよりもその汚染力にあった。
 なにせやたらと臭いがうつるのである。
 しかも普通の魚臭さではなく、生ゴミっぽい不潔感全開の臭いである。
 茹でジャガイモを貪り、烏龍茶で舌を洗う。
 もはや嗅覚が麻痺しているので、自分の息が臭いかどうかは判別できない。
 水道で手を洗う。が、まったりした感じでどうにも何かが油膜の如くまとわ
りついているかのように、すっきりしない。

 立ち読み氏持参のファブリーズをお互いに掛けまくる。
ば「肌に直接かけて荒れそうですな」
鷹「肌荒れした方がマシです」

 勝者の無い戦いの後の気怠さに身を任せ、皆でだらだらと後始末しつつ歓談。

 私と鷹司氏は今更辺りをはばかる事もないのでパイプ煙草を吹かしまくる。
 満腹だと特に煙草が旨い。
 普段はその強烈な香りから敬遠されがちで、私も公共の場では吸わない事に
しているのだが、LAVI氏も「私の車、今日に限って禁煙じゃありません」
という程度の物である。
 葉巻も用意しておけば良かった。

 しかし車やバイクの者は良いが、公共交通機関で帰路につく勇者達の運命や
如何に?
 時折こみ上げるげっぷがドブ臭いんですけど……。

 さて、まったりとダベって腹ごなししたが、空模様が怪しくなった事もあり
撤収。
 主にLAVI氏提供の機材を積載完了するとしっかり降り始めた。
 このまま降り続くのかどうか迷うところであるが、雨具を着込む。暑い。
 雨が戦場を清めてくれる事を祈りつつ、キャンプ場を退散。
 グッバイアディオスさよ〜なら〜(旅の恥はかきすてモード)。

 鷹司邸付近のコンビニで最集結。2次会は橋本駅近辺で飲み会という事で、
残念ながら辞退。
 皆さん、機会があれば又お会いしましょう。


 ――だが、私の戦いはまだ終わっていなかった。


シュールオフ参戦記:完結編? 
 雨。渋滞。猛暑。バイク乗りにとって三重苦である。それぞれが相乗効果で疲
労を倍加させてくれる。
 かてて加えて、食餌(含むシュール)から軽く2時間以上経過するのに、一向
に腹のくちさが軽減されない。食い過ぎたか?
 すり抜けに神経をすり減らしつつR246を上って行く。
 環七――は高円寺付近でさらなる渋滞が予想されるのでそのまま進路を保つ。
 だが、山手通りとの交錯地点で迂闊にオーバーパスに乗り損なう。
 何となくただ時間をロスするのが悔しいので、バクチに出て山手通りに左折。
 ――案の定、敗北。
 中野坂上までがっちり詰まっている。しかもすり抜けも出来ない。
 レインウェアはサウナスーツ状態である。

 板橋で環七に出る頃には食後4時間は経過していた。
 普通ならそろそろ小腹が空いてくるはずだが、いっかな飽満感は解消されな
い。
 そして時折胃から空えずきのように臭気だけがこみ上げてくる。

 腹の中でまだ発酵してやがりますか?

 翌日には警視庁交通安全指導所@砧でのバイクオートバイ教室(通称砧定例)
を予約してあるのに、これでは講習会野郎ではなく口臭怪野郎になってしまう。

 環七はまだまだ込み合う時間。次のコンビニに着いたら雨具を脱ごうと思う
と、バラバラと雨粒が落ちてきたり、遠くで稲光が光ったり。脱ぐに脱げない。

 結局3時間半以上掛けて帰還。
 雨具の中でじったりと嫌な汗を存分にかいたが、家人には特に悪臭は感じら
れないようである。
 ともあれ、とっととシャワーを浴びる。
 脱いだ衣服も、ファブリーズのおかげか特に気になる臭いはない。
 幸い、夕食はカレーである。
 どうにか他のもので胃に蓋をしたい思いで、半ば無理矢理詰め込んだ。

 ……が、部屋に戻ってキャメルをくわえると、フィルタが魚臭い,,"(/><)/
 これはフィルタに臭いが移っていたのか、それとも自分の呼気がアレなのか
?
 明日の講習会では休憩の度にブレスケアを飲もうと決意し、そそくさと就寝
する。


P.S. その飽満感は翌日の昼食を抜いてようやく収束した。



協力:鷹司氏  鷹司史朗の研究室


    
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