日本語を書け!
まず、普通に読めるように日本語で書いていただきたい。
作品うんぬん以前に国語の作文が満足に出来ていない文字・単語の羅列が多い。あまりにも多い。
・書く以前にまず、読解力を身につけろ。
その為にまず、文章を読む事。浴びるほど。埋もれるほど。溺死するほど。
小説だけでなく、新聞、技術書、家電製品の取説など、身の回りにあるどんな文章からでも学ぶべき事はある。
読み難い、判りづらい、つまらないものはどこが駄目なのか、どうすれば改善出来るのか考えろ。反面教師となる。
・行頭一字下げ。
・「!」「?」等の後には空白を1スペース空ける。
・「……」(三点リーダー)「――」(全ダッシュ)は2スペースが基本。
義務教育の国語の授業でも教わったであろう。手持ちの書籍で確認されたい。
これらは基本的文章作法であり、絶対不可侵のものではないが、それなりの理由無く無闇に破ると読みづらいだけである。
・無意味な漢字の多用を避けよ。
IME任せでついつい難解な漢字を使用しがちなのは素人がおちいりやすい過ちである。
本当に漢字に変換すべきか、また複数候補がある場合どれが適切か吟味すべし。
時代小説等でも、良作は意外と平易にかなにひらいて書かれているものが多い。
大まかな基準として、通常新聞で使用されないような漢字は避けた方が無難である。
・辞書を引け。
小説に限らず、大事な文章を書くときは必ず辞書をかたわらに。
web環境がある状態で書くならweb辞書が便利だが、併せて紙媒体の辞書も手元に置いておくべし。
また常日頃から判らない言葉があったら即座に辞書を引く事。
正しく豊富なボキャブラリを身につけるにはとにかく辞書を引け。
辞書を引いても載っていない言葉はサーチエンジンで検索するのも手。特に専門用語等は辞書には載っていない事が多い。
ただし検索の結果辿り着いた情報を鵜呑みにしない事。常に情報の妥当性を多角的に検証せよ。
・読み返せ。徹底的に推敲しろ。
ズサンな出来の作品を他人に読ませるな。
下手な事以上に、雑なのは本当に読者に対し失礼だ。
特に不慣れなうちは、一度書き上げてから一晩以上寝かせて自分の頭をリセットしてから読み返せ。
それでも直すところが無いなら音読しろ。
読み返して直すところが一つも無いなんて事はありえない。
誤字脱字だけではなく、『本当にここはこれでいいのか?』と迷いが生じるはずである。
ギャグ作品などは推敲すると勢いが死ぬという意見があり、それはもっともだ。
しかし勢いで書いてまともな文章になるだけの実力が自分にあるか? そのあたりもよく考えてから公開せよ。
・会話を自立させよ。(ディーン・R・クーンツ「ベストセラー小説の書き方」)
誰が話しているのか明確に。
そして口調や状況、話している内容をきちんと書き分け、意味を持たせれば台詞だけでも会話が成立し、
「〜」と○○は言った。
――等と無駄な(誰の発言か示すだけの)注釈を付ける必要は大幅に減るはずである。
・読み手に判るように書け。
何は無くとも判りやすい状況描写を。
書き手の脳内でだけ判っていても仕方が無い。
どんな素晴らしい内容でも、読み手に伝わらなければ無意味である。
いつ(When)
誰が(Who)
どこで(Where)
何を(What)
なぜ(Why)
どのようにして(How)
――いわゆる5W1Hを必要に応じ描写する事。
ただし、無味乾燥な説明をする必要は無い。
意味が伝わればよいだけのシナリオと、文章だけで独立した作品となる小説とは違うのである。
・模写で技術を盗め。
「巧い作品を丸ごと書き写す」つまり模写する事により技術が身につくのは、絵を描く場合と同じである。
無論、模写だけで基本デッサンの労を惜しめば片手落ちであるのと同様、これさえやれば良いというものではないが、やって損は無い。
一場面ではなく、始めから最後まで全部丸ごと写す(リタイプする)事により、文章の呼吸(センテンスの長さ、句読点の打ち方、改行のしかた等)や構成(話の展開の仕方、ボリューム、バランス)など、学ぶべき事が多いはずだ。
作品全体の構成を把握する為、
五月雨式ではなく最初から最後まで一気に書き写すのが望ましい。対象は短編がよかろう。
ここで重要なのが、「巧い作家」の作品を模写する事。
特にアニメ脚本兼業作家の小説もどきは要注意である。
シナリオと小説の区別がついていないやからが多く見受けられるからだ。
文責 ばんざい 2004.9
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