エンジンの魅力

 硬派で性能第一主義な当サイトらしからぬ話題も取り上げてみましょう(^^;
 ここでいう魅力はあくまでも感覚的に気持ちが良いモノ、という意味です。
 主観的な問題なので良し悪しというより、あくまでばんざいの好みはこんな感じ、という独り言です。
 これを参考にバイクを選び「つまんねーよ」とか言われても責任は負いかねますのであしからず。
 シャシ等の要素は別として、エンジンだけで選ぶなら、という話です。

 私が求める要素は絶対条件として――
・レスポンスが良い(スロットルに忠実に、素早く過不足なく反応してくれる)事
 簡単に言うと反応速度が速く、かつスロットル開度に対し出力がリニアでありながら反応初期のゲインが適度に穏やかである事。
 クランクマス(回転質量)が小さいほど反応速度は上がりますが、やり過ぎると「適度に穏やか」の部分が犠牲になります。
 出力特性でこの部分を演出してあるのが良いエンジンだと思います。
・音が良い事
 官能的エキゾーストノートはバイクの魅力の大きな要素だと思います。
 音量は騒音規制をクリア出来る程度。
 特にアイドリングがうるさ過ぎると迷惑度高くて嫌。
 逆にあまり静か過ぎると危険な(4輪のドライバが存在に気付いてくれない)場合も多々あるのでそれも嫌。
 音質は比較的高音質で澄んだ音が好き。
 サイレンサのみならず、エキゾーストパイプの肉厚・素材・管長や取り回しも大きく影響します。
 エキパイ自体もスピーカーの様に振動して音源になるので、肉厚の薄いスチール系(ステンレス含む)の方がより 高音質になる気がします。
 ノーマルの排気系はコスト面の制約で加工法や素材面で妥協している場合が多いので、気に入らなければ社外品の エキゾーストシステムに変更するのも一つの手です。
 ちなみに排気系を変更したりすると問答無用で参加出来ない大会等もあるらしいので要注意。
・過度に振動が大きくない事
 あまり酷いと痺れるし。
「仕事してます頑張ってますイッパイイッパイです」と主張されると精神的にも疲れます。
 逆に振動が上手く抑えられているエンジンは高回転高負荷領域を常用しても苦にならないので、 絶対出力が低くても苦にならなかったりします。

 上記要件を満たすとなると、必然的に4ストローク、マルチシリンダの集合管が最有力候補となります。

・250cc、4気筒
 バブル期の馬力競争において4スト250ccクラスで各社が採った道は、いにしえのレーシングマシンと同じ 多気筒・高回転化でした。
 許容回転数は軒並み19000rpm前後。
 MOTO−GPマシンを遥かに越え、4輪のF−1以上です。
 これで良い音がしない筈があるだろうか? いやない(反語)。
 特に澄んだ金属的で甲高い音質と言う意味においては高回転が絶対条件なので、公道用内燃機関では問答無用で地上最高。
 大乗フェラーリ教開祖・清水草一さまは著作 「フェラーリF355フルスロットル。」の中で「伊藤レーシング(orキダスペシャルファイナルバージョン) のマフラーを装着したF355の音はF1そのもの」と連呼されておりますが、 許容回転数が半分以下なのに同じ音が出るわけありません物理的に。
 いやいや、恐れ多くも「地上最高の自動車芸術(©清水草一)」に ケチをつけようという気は毛頭ありません。
 なにせ清水さまのF355、フェアレディZのプレス向け試乗会に乗り付けるとエンジニア達が競って助手席試乗した挙句、 実験部の偉い人に「Zでああいう音は出んのか!(中略)ダメか? やっぱりダメか?(笑)」と言わしめた神車ですからのう (でも売却済)。
 数億円のストラディヴァリと数十万円のギブソンを比べても無意味であるように、どちらが良いという話ではもちろんなく。
 ただ、甲高いレーシングサウンドというただ一点においてはそのフェラーリ以上のエンジンが、新車丸ごとでも 伊藤レーシングのマフラー(サイレンサのみ。バイクで言うスリップオン)と同じ位の値段で、 中古では十数万円から買えちゃうんですよ?
 これって凄い事じゃありませんか?
 ノーマルマフラーでは少々物足りない気がしますが、社外品のフルエキゾーストが数万円で買えるのも魅力です。
 日本に生まれてよかったと思いませんか?
 更にこのクラスのメリットは大した事ないパワーです。
 全開にしてもいきなり非現実的な加速やスピードでコントロール不能に陥る事がないので、 比較的容易にその官能フィーリングが楽しめるわけです。
 高回転域を常用するから、極低速のジムカーナ会場ですら凄い快音発して走ってるし。
 パワーはあればあるほど良いかといえば、さにあらず。

・空冷、4気筒
 空冷エンジンはエンジン自体が音源になります(水冷だとウォータージャケットで振動が殺される)。
 昔のバイクがそれぞれ独特の音を発するのはこの辺の関係だと思われます。
 さほど高回転まで回さずとも、深みのある音が楽しめます。
 これが楽しめるのはエンジン剥き出しのバイクの特権と言えましょう。
 多くは出力自体が(今となっては)ほどほどですし、載せているマシンの車重も重いので、やはり加速も ほどほど。
 であるがゆえに、これも常用域で楽しみやすいわけです。
 後方から「クォォオオオオオオン!」と勇ましい音が聞こえ、煽られてるのかなと振り返ってみると遥か彼方にCBやゼファーが居たりします。

・over750cc、4気筒
 暴力的な加速と鋭いレスポンス。これに尽きます。
 有り余るパワーをスロットルで絞って走る形になりますので、レスポンスも鋭いのです。
 ガソリンエンジンは低スロットル開度(必ずしも低回転とは限らない)ほどレスポンスが鋭くなる傾向があります (吸気流速が速い為)。
 ただし、パワーがあり過ぎて公道で気持ち良く走ると生命と免許証を危険に晒す事になりますので理性が必要。
 逆にそれがフラストレーションの原因となる事もあります。
 音に関しても、リプレイスマフラーを含めどうもボーボーという重低音を強調したモノが多いようで、少々下品な気がします。

・単気筒、小排気量(250ccまで)
 適度なペースでトコトコ走ると気持ち良いです。
 排気音も「ぱぱぱぱ」と軽く歯切れ良く。
 これがビッグボアだと「どばばば」と重低音が強調されますし、レスポンス面でも不利 (シリンダが要求する空気量に供給が遅れる)。
 もともと高回転には不向きですし、低速重視エンジンの方が楽しい気がします。


 ――何故2気筒が出てこないかと言えば、恐らく爆発間隔の問題で、今ひとつ潤いに欠けるというか。
 その辺を考慮したマシンは大排気量車が多いので、私の好みから外れたり。
 3気筒とかは現代マシンで選択肢があまりないのでこれも除外。


 くどいようですが、あくまでばんざいの好みをずんだら並べただけですので。


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