Oct.18.1999

「父さん」

 あぁ、ひさしぶりに父さんの夢をみた。ここに来てはじめて見たような気がする。な・つ・か・し・い。父さんはよく机にむかい家で仕事をしていた。本をよく読んでいた。家にはたくさんの本があった。
 父さんの記憶はあいまいではっきりしない。父さんがいなくなった後も、いつも夢の中に父さんが出てきていたから、いつから父さんがいなかったかはっきりしない。覚えていることが現実だったのか夢だったのよくわからなくなっている。


父さん

 これは現実だったと思うのだけど、まだ犬の姿では全然なかった小さなころ、たまに川原に行っていっしょにキャッチボールをするのがとても好きだった。家は電車1本で都会に出れるようなところにあったけれど近くに川幅の広い川があった。川原にはちょうどいいくらいの草が生えそろっていて小さな子が駆けまわるにはいい感じのところだった。


 父さんはキャッチボールが得意だった。ボールが川の流れの中に入ってしまうとバシャ、バシャと豪快なしぶきを上げてボールをとってきてくれた。陽が暮れるころまで遊んだあとはくたくたで父さんの背中にのせてもらって家まで帰った。よく陽に当たった父さんの背中はふかふかでとってもいい気持ちがした。
 今、父さんはどこにいるのだろうか。いつか会えるだろうか。




川原

−おしまい−


by ando