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初めて君と出逢ったあの日

「海堂薫です。
 よろしくお願いします!」

俺の目に飛び込んできたのは、真っ直ぐな瞳を持つ君だった。



ある日、部室の中から君の荒い声が聞こえてきた。

「それで謝ってるつもりかよ!」

急いで中に入ってみると、君は桃城とケンカをしていたね。
大石と二人で止めに入っても、君達はなかなか止めようとはしなかった。
桃城を大石に委せて、君と部室の中で話し合った。

「いい加減に落ち着けよ。
 ・・・以外とケンカっ早いんだな。海堂は。」

少し笑いながらそう言うと

「スミマセン・・・」

申し訳ないような、悲しいような、辛いような・・・・・・
何ともいえないような表情で君は謝った。
色々な表情を見せてくれる君に魅せられた。
君から目が離せなくなった。





努力家の君は、人より多く練習していたね。
桃城と張り合う気持ちが強かったのだろう。
「止めろ」といっても君は止めなかった。
でも、どう鍛えたらいいのか解らなかったのか、君は悩んでいるようだった。
少しアドバイスをしたら、君は驚く早さで成長していった。


天性の才能と、努力と精神力。
それが君の「武器」だった。





校内ランキング戦で君は越前に負けてしまった。
悔しさのあまり自分の脚をラケットで打つ君の姿を見たとき、
声にならない君の叫びを聞いた。

「相変わらずだね、彼は」

不二が言った。
そうだね。君は自分に厳しいから・・・・・
君が横を通り過ぎるとき「残念だったね」と言った俺に

「レギュラーの座は諦めねぇ!絶対にだ!」

君の熱い『想い』と共に答えたね。


まったく強いよ・・・・・君は・・・・・
そんな君だから・・・・・俺は・・・・・





あの試合に負けたこと、本当に悔しかったんだろう。
誰にも負けない体力を作りたいと、君は相談してきた。
俺がメニューを見せて「やってみるかい」と聞くと、
君は案の定

「その2倍でいい」

と言ってきた。
君が俺を頼ってくれたこと、本当に嬉しかったんだ。


・・・・・だから・・・・・
俺が君を強くしてあげよう
君が強くなってくれると俺も嬉しいんだ。





この気持ちが何なのか、それは俺にも解らない・・・・・
解ったとしても君には伝えずにいよう。
きっとこの「キョリ」が二人にとって一番良いと思うから・・・・・


そう思っていたのはいつの頃だったろう。
この「想い」は何処に隠そう
この「熱」はどうやって下げよう
何度考えたことだろうか。
日増しに熱くなっていく想いを抑えることが出来なくて、
俺はこの「キョリ」を壊す覚悟で君に想いを伝えた。
君は少しとまどっていたけれど、俺の想いを受け取ってくれたね。


  ありがとう


とても嬉しかったよ。
君を失うことが本当に怖かったから・・・・・


でも今は・・・・・
ただ愛しくて、心が砕けるように愛しくて、大切な君がとなりにいる。
そのことが、どんなに俺を救ってくれているかなんてコト 
君は知らないだろう。
君が俺を見て、俺を呼んでくれる。
それだけで幸せだと思っているコト
君は知らないだろう。
やっと手に入れた愛しい君を、俺は絶対離さないから・・・・・



今度こそ大切にしよう。
近づくことはあっても、これ以上離れることのない


この「キョリ」を・・・・・